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湧昇 環境用語

作成日 | 2017.07.18  更新日 | 2017.07.18

湧昇

ユウショウ   【英】Upwelling  

解説

一般的には水の上昇流の呼称。湧昇は様々なメカニズムによって生ずる。例えば、冬季表層が冷やされると密度が高くなり重くなるため沈降する。この流れに従い底層水は上昇する。底層水は底泥からの栄養塩を多く含むことから、底泥の栄養を表層に運ぶ役割を担う。冬季のこの上下混合が栄養の循環、すなわち生産性の高い表層への栄養の供給となる。高緯度における生産性が低緯度の生産性を上回るのはこのメカニズムによる。

また、陸から海に吹く陸風は、表層海水を沖に向かって運ぶため、これを補償するため底層水が海底に沿って沿岸域に上昇してくる。底層水は栄養塩が豊富なため、この風が卓越する海域では生産性が高くなる。南米のチリ沖などの良好な漁場はこの湧昇流の賜物である。

大西洋高緯度は、メキシコ湾流が流れ込んでいるが、この海流が冷やされ、また大量の水蒸気を供給することから、冷たく塩分の濃い海水が生まれる。この海水は水温と塩分によって密度が高く重くなるため沈み込み深層大循環(海のコンベアベルト)の引き金となる。沈み込んだ重い海水は北米、南米大陸に沿って南下し、南極の深層水と合流し、インド洋北部そして北太平洋で湧昇流となって表層に戻る。この湧昇流も底層の栄養を多く含んでいる。また、この地球規模の大循環(熱塩循環)によって、熱の分配が行われ気候の安定化に寄与していると考えられている。(2017年7月作成)

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