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激変するバッテリービジネス

【カテゴリ】 エネルギー 燃料電池

【開催日】2019.08.07

【開催地】東京都


【講師】
クリーンエネルギー研究所 代表
阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏

【重点講義内容】
米国にとって「エネルギー政策」は「国家安全保障上の問題」であり、また「雇用創出」でもある。 政権が代わり、大統領がトランプになり、パリ協定からの離脱等で、クリーンエネルギーには逆風が吹いているような報道が日本では散見されるが、実際問題としては、エネルギー政策は連邦政府よりも州政府が主導しており、大きな後退は感じられない。
連邦レベルのITC(Investment Tax Credit)の段階的な低下等、太陽光発電ビジネスには不安要素があるのも事実であるが、ITCの低下に伴う「駆け込み需要」がさらに再生可能エネルギー発電を増やすというポジティブなスパイラルとなっている。
ハワイ州では2045年までに再生可能エネルギー発電を100%にするという州法が2016年にでき、具体的な取り組みが始まっている。カリフォルニア州でも、2045年までに100%にするという州法が発効。
また、これら2州の後を追いかけて、メイン州、ワシントン州、コロラド州、ニューメキシコ州、イリノイ州、ネバダ州、ニューヨーク州が相次いで、100%再エネ発電を州法化した。
しかし、電気料金の上昇、電力網(特にルーフトップ率の高いFeeder線)の不安定化、NEM(Net Energy Metering)のもたらす不平等感、ダックカーブ、Over Generation等、弊害も指摘されだした。
これらの再生可能エネルギー発電比率の急激な上昇に伴う電力網の不安定化を補うための施策として、(1)スマートインバーターの必須化(2)再エネ発電施設でのエネルギー貯蔵装置の併設(3)グリッドエッジでの分散電源管理(4)商業向けや家庭向けの分散バッテリーの推奨(5)家庭向けTOU(Time Of Use)やデマンドチャージの導入(6)家庭や商業施設のエネルギーを統合するアグリゲーションビジネス(7)マイクログリッド(8)DERと系統運用者間の通信プロトコルの標準化等がここ数年矢継ぎ早に打ち出されている。
残念ながら日本メーカーは周回遅れの様相を呈しており、これらの施策の意義やビジネスインパクトはおろか、そもそも米国のエネルギー事情がどういう方向に進もうとしているかさえ把握できていない。
このセミナーでは、上記の再生可能エネルギー増加に伴う問題の解決策としてここ数年大きな注目を集めている「定置型エネルギー貯蔵(バッテリー)」と、「グリッドエッジでの分散電源管理」に焦点を当てる。
実例を交えながら、(1)エネルギー貯蔵システムのコストトレンドはどうなっているのか(2)カリフォルニア州やハワイ州が進めているエネルギー貯蔵はこれらの課題に答えられるのか(3)定置型蓄電ビジネスは利益が出るのか(4)定置型蓄電を用いたアンシラリーサービスマーケットはどれぐらいの利益が見込めるのか(5)米国ではどのような蓄電関連のベンチャー企業が出て来ているのか(6)需要家側に置かれた定置型蓄電の経済性は?(7)テスラは今後どうなっていくのか(8)日本の会社はこの波に乗るためには何をすればいいのか、等を細かく解説する。

1.はじめに
 (1)米国のエネルギー状況
 (2)ややこしいエネルギー関連の組織と近年の地殻変動
 (3)連邦政府・州政府・系統運用者の思惑は違う
 (4)電力会社・発電事業者・アグリゲーターの垣根が大きく変わる(電力会社はどこにいくのか?)
 (5)マイクログリッドとCCA
   (Community Choice Aggregation)が更なる地殻変動を引き起こす
 (6)送配電は鬼門であると共に、ビジネスチャンス
 (7)キャップアンドトレード制度
 (8)ベースロードは無くなる(要らなくなる)
 (9)卸価格は下がるのに、小売価格は上がる
2.米国内における再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵ビジネスの動向
 (1)温暖化ガス低減目標に向かっての施策
 (2)一歩先を行く、カリフォルニア州・ハワイ州
 (3)フロリダ州・ニューヨーク州の追い上げ
 (4)熱をどうやって制御し、エネルギーとして貯蔵するか
3.マーケット別の定置型蓄電ビジネスの最新動向
 (1)電力会社向けの蓄電ビジネスの動向
 (2)ビジネス向けの蓄電ビジネスの動向
 (3)家庭向けの蓄電ビジネスの動向
4.激変するファイナンスモデル
 (1) 誰が資金を供給し、どうやって回収するか
 (2)再エネ業界で今起こっている合従連衡(小さな会社は生き残れないのか?)
5.エネルギー貯蔵関連の技術開発動向と注目の会社
 (1)システムインテグレーター(5社程度)
 (2)リチウムイオン電池(5社程度)
 (3)新しい化学に基づくエネルギー貯蔵技術(3社程度)
 (4)やはりリチウムイオン電池なのか、それとも。。
 (5)テスラよ、どこに行く。。。
6.「グリッドエッジ」での分散電源管理
 (1)配電網で電圧を一定させることの難しさ
 (2)無効電力を用いた電圧制御(VVC)が徐々に標準になる
7.まとめ「日本はこれらの流れから何を学び、どうビジネスに結びつけるか」
8.質疑応答/名刺交換

【講師プロフィール】
阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏
シリコンバレー在住の著名コンサルタント。米国のクリーンエネルギーと、日本のビジネスへの影響にフォーカスしたコンサルタント会社の代表をつとめる。シリコンバレーを中心に、エネルギー問題の定点観測を長期間行い、今後の動向と日本企業の対応についてのきわめて明解なビジョンを持つ。専門分野は、エネルギー貯蔵、発送電分離、デマンドレスポンス、分散電源、太陽光発電、水素発電、電気自動車、等。
日本の大手エネルギー企業、日本政府機関、大学等のアドバイザーを多数務める。
シリコンバレーに20年以上在住。日立(日本と米国)にて17年間最先端の半導体の開発に携わったあと、そのビジネス経験や物性の知識を活用すべくエネルギー分野に。
ホームページ http://www.technology4terra.org
「日経エネルギーNext」に「シリコンバレー発、電力Biz」を連載中
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/112900154/113000002/

【登録日】2019.07.03

登録者情報

【登録日】 2019.07.03

【登録者】新社会システム総合研究所

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