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環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

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エコチャレンジャー

環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

目次
持続可能な低炭素・脱炭素社会の実現のためには産業界が積極的な行動を行うべき
パリ協定の合意によって世界がようやく動き始めたというような捉え方には、違和感をもつ企業もある
事業そのものを社会の変化に対応させるという意味で、パリ協定の合意はチャンスになる
企業活動というのは、ある意味では社会と企業とのコミュニケーション
【1】日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan Climate Leaders' Partnership: Japan-CLP)
 2009年7月30日に日本独自の企業グループとして設立される。持続可能な低炭素社会への移行に先陣を切ることを、自社にとってのビジネスチャンス・次なる発展の機会と捉える企業ネットワーク。
【2】パリ協定
 2015年12月12日にCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)で採択された協定。1997年に採択された京都議定書以来、18年ぶりとなる気候変動に関する国際的枠組みであり、気候変動枠組条約に加盟する全196カ国のすべてが参加している。
【3】日本の地球温暖化対策計画に対する意見書
 Japan-CLPは、パリ協定を受けて、2016年2月に「日本の地球温暖化対策計画に対する意見書」を発表。パリ協定により世界で巨大な脱炭素市場が創設されることを踏まえ、脱炭素社会の構築が日本の国際競争力の強化に繋がることを明示すること、「脱炭素社会への移行」という明確なシグナルを発信することを求めている。

No.053

Issued: 2016.05.20

第53回 株式会社LIXILグループ代表執行役副社長・川本隆一さんに聞く、我が国の産業界の地球温暖化対策への取り組み[1]

実施日時:平成28年5月10日(火)15:15〜
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

持続可能な低炭素・脱炭素社会の実現のためには産業界が積極的な行動を行うべき

川本 隆一(かわもと りゅういち)
川本 隆一(かわもと りゅういち)さん
株式会社LIXILグループ 代表執行役副社長 品質・テクノロジー・環境担当、株式会社LIXIL 上席副社長執行役員 Chief Technology Officer(CTO)兼 LIXIL Water Technology Chief Manufacturing Optimization Officer(CMOO)。

大塚理事長(以下、大塚)―  エコチャレンジャーにお出ましいただきありがとうございます。
 川本さんは、株式会社LIXILグループの代表執行役副社長をお努めで、LIXILグループは日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)【1】の中核メンバーとして活動されておられます。近年、とくに昨年のCOP21で「パリ協定」【2】が採択されるなど、地球温暖化対策の動きが加速され、産業界の貢献への期待がますます高まっています。
 本日は川本さんをお迎えし、我が国の産業界の地球温暖化対策への取組みを中心にお話を伺いたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 早速ですが、活躍が期待されています日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)について、組織の成立ちですとか、目標とされていること、さらには取り組まれていることなどについてご紹介いただけますでしょうか。

川本さん―  Japan-CLPは、持続可能な低炭素・脱炭素社会の実現のためには産業界が積極的な行動を行うべきである、という認識のもと、2009年に日本の有志企業により設立されました。加盟企業自らが率先して環境活動に取り組むことに加えて、民間企業として世の中に積極的な働きかけを行っています。
 例えば、政府や産業界、世間の皆さんに、民間企業としての意見を示していくことです。低炭素・脱炭素社会の実現に向けた積極的な政策提言をすることもありますし、国がとろうとしている政策を後押しすることもあります。
 また、Japan-CLPに参加しているメンバー企業にとっては、気候変動対応の潮流を理解して企業活動の中に組み込むために世の中の動きや事例の共有化などをとおし学習する場として活用するという側面もあります。

パリ協定の合意によって世界がようやく動き始めたというような捉え方には、違和感をもつ企業もある

大塚―  環境問題に立ち向かう上で、民間の力がなんといっても大きいわけです。お話しいただいたように、昨年12月のCOP21で採択された「パリ協定」で脱炭素化への方向性が明確になったわけですが、現在の状況を川本さんはどのように感じておられますか。

川本さん―  私の評価は、世界で広くなされている評価と変わるものではありませんが、「パリ協定」が世界のすべての国の参加を得て合意に達したという事実、これが何と言っても大きな成果だと思っています。今までも、環境に関するさまざまな国際会議が開かれ、取り組みもなされてきましたが、今回初めて、全世界が共通の目標に向かうという合意ができたのです。この合意が世の中を実際に変える大きな契機になると積極的に捉えています。

大塚―  パリ協定が採択されたことを受け、日本政府は以前から準備を進めていた地球温暖化対策計画の策定を終え、Japan-CLPはその計画に対する意見書【3】をまとめられておられます。日本の企業が、現状をどのように捉えているのか、川本さんから補足していただけますでしょうか。

川本さん―  業種や事業戦略などによって、地球温暖化をはじめとする環境問題への取組み方にも違いが出てきますから、一概に日本の企業という括りで話すのは難しいかもしれません。
 私は、日本企業の多くは以前から環境問題に対し、それぞれの企業が実行できる範囲内で一生懸命取り組んできたと思います。とくに、地道な努力が必要な省エネや環境保全に熱心に取り組んできたのではないでしょうか。したがって、「パリ協定」の合意によって世界がようやく動き始めるというような捉え方に対して、むしろ違和感をもつ企業もあるようですね。

大塚―  とはいえ、この機会にギアを1つ上げる必要が出てきたということなのでしょうね。

川本さん―  そういうことです。

COP21のメイン会場。
COP21のメイン会場。


事業そのものを社会の変化に対応させるという意味で、パリ協定の合意はチャンスになる

大塚―  日本政府の地球温暖化対策でも、温室効果ガスの排出量の約3割を占める産業界のさらなる努力が期待されているのはまちがいありません。パリ協定が採択されたことを踏まえ、改めて産業部門の取組みについてお考えを伺いたいと思います。

川本さん―  産業部門として一括りにお話することは難しいのですが、少なくとも私たちLIXILのように民生品を製造する企業では、温室効果ガスの排出削減は非常に重要です。企業活動をサスティナブルなものにする上で重要であるとともに、私たちが世界の人びとに提供している住まいに関わる建材や水回り設備といった商品やサービスの低炭素化・脱炭素化が重要です。人びとの暮らしの中からも温室効果ガスが出て温暖化の原因になっているのですから、これをいかに削減していくかがますます重要になるわけです。
 我々の事業は人びとの暮らしに直接つながっており、「暮らし」に関わる環境負荷を少なくしサスティナブルなものにしていくかが問われています。これは私たちの社会的な使命であるともいえます。事業そのものを社会の変化に対応させるという意味で、我々は「パリ協定」における世界の合意を前向きに、むしろチャンスと捉え、積極的に事業展開をしていこうと考えています。

大塚―  官民連携とか、あらゆるセクターの協働の重要性がよく指摘されていますが、川本さんのお話を伺っていると、民間が先行するのが適すことも多いように感じます。いろいろな個性をもつ企業の集まりの中から、新しい発想なり新しい展開が出てくるように思います。

川本さん―  もちろん、地球温暖化という大きな問題に対して、官による政策的なリードは必要でしょう。しかし一方で、それぞれの企業にとっては、地球規模の環境変化に対しどう積極的に適合していくか、あるいは企業の在り方をどう変えていくかが、自らの存続にとっての大命題になっています。大きな変化が目前に迫ってきているときに、それに向かって積極的な行動を起こさないことのほうがリスクを大きくしています。企業は自らの事業の展開において、世の中の変化に積極的に向き合うべきというのが私の考えです。

企業活動というのは、ある意味では社会と企業とのコミュニケーション

大塚―  心強く感じます。ところで、産業界あるいは企業と政府をはじめとする官との関係についてお話を伺いましたが、一方で、企業とユーザーあるいは消費者との関係についてもお考えを伺いたいと思います。

川本さん―  地球温暖化など気候変動が顕在化する中で、消費者の皆さんはいろいろな情報を把握されています。少し以前には、地球温暖化が本当に起きるのとか、というようなレベルの議論もありました。しかし現在は、既に地球環境の変化がはじまっており、さまざまなリスクが高まってきていることが、広く消費者の皆さんに理解されています。つまり、消費者の皆さんが商品やサービスを選択するときにも、環境性能を重視し、環境によいものを選ぶ傾向が強まっているのです。環境に優しくサスティナブルな商品を求める消費者の意思や消費行動を気持ちよくしたいという心理に、我々がどこまで応えられるかが、事業の本線になったと感じています。

大塚―  広い意味で、企業の側と民間の消費者の側とのコラボレーションということなのでしょうね。

川本さん―  企業活動というのは、ある意味では社会と企業とのコミュニケーションです。コミュニケーションをうまくとり、我々企業にとっても、社会にとっても望ましい方向に向かいたいと考えています。


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