一般財団法人 環境イノベーション情報機構

メールマガジン配信中

EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.031

Issued: 2002.08.15

どう減らす家庭のCO2「環(わ)の国くらし会議」がノウハウまとめたハンドブックを作成

目次
家庭でできる具体的削減方法が満載
住宅や交通の温暖化防止行動も促進
各省庁でもハンドブックに基づき温暖化対策を強化
今年2月に開催された第1回「環の国くらし会議」(新宿御苑 御休所)

今年2月に開催された第1回「環の国くらし会議」(新宿御苑 御休所)

 家庭からの二酸化炭素(CO2)排出量は、国内総排出量の約4分の1にのぼります。しかし、その削減は容易ではありません。国民一人ひとりの行動に結果がかかってくるからです。そこで、環境省は「環(わ)の国くらし会議」を開催するとともに、今般、一人ひとりの行動促進のためのハンドブックを配布しました。
 会議のメンバーには、作家の立松和平さんや俳優・歌手の西田ひかるさん、テニスプレーヤーの伊達公子さんなどの著名人や専門家が名を連ねていますまたハンドブックでは、すぐに取り組める具体的行動例などを紹介しています。


家庭でできる具体的削減方法が満載

 「自動車に乗るのを止めて公共交通機関に切り替えれば30%減」「屋根に3kWの太陽光発電装置を取り付ければ18%減」―。今月3日に「環の国くらし会議」で配布されたハンドブック「私の環(わ)のくらし」には、家庭から出るCO2を減らすためのノウハウがぎっしり詰まっています。
 同会議は、地球温暖化問題解決のためのアイディアを集めようと、今年2月から環境省が開催した会議です。本体会議の下に、「知ろう・学ぼう・考えよう」(環境教育・学習)、「住まいとくらし」(エコ住宅・エコ機器とエコライフ)、「国民の足」(交通)、「地域の取組」の4分科会で家庭からのCO2排出を減らすための方法を議論してきました。これらの議論のエッセンスを取りまとめたものがハンドブックです。
 ハンドブックでは、ほかにも「シャワーを1日1分減らす」「買い物袋を持ち歩き、省包装の野菜などを選ぶ」など38項目の具体的削減方法を提示。平均的な家庭からのCO2排出量を100とした場合に、取り組みごとにどれだけCO2排出を削減できるかも記載しています
 また、省エネ・超寿命の電球型蛍光ランプや節水シャワーヘッド、冷蔵庫の開閉時に冷気を逃がさないための冷蔵庫カーテンなど、CO2削減に役立つ製品も紹介。製品価格や入手先などの情報も掲載しています。
 環境省では、「ハンドブックを手にとった人がすぐに実践できるように、具体例を多く盛り込んだ」(地球温暖化防止国民生活推進室)としています。

「環の国くらし会議」では、温暖化防止の具体的方法などを話し合ってきた。8月3日に開催された第2回「環の国くらし会議」より

「環の国くらし会議」では、温暖化防止の具体的方法などを話し合ってきた。8月3日に開催された第2回「環の国くらし会議」より


住宅や交通の温暖化防止行動も促進

8月3日に開催された「環の国くらし会議で傍聴者に手を振るコマメちゃん。

8月3日に開催された「環の国くらし会議で傍聴者に手を振るコマメちゃん【1】

 環の国くらし会議の開催やハンドブックの作成は、暮らしの中のCO2排出を減らすためのさまざまな施策の一環として実施されています。同会議を運営する地球温暖化防止国民生活推進室ではこのほかにも、「地域調和型エコ・ハウス整備事業」や「地球にやさしい“魔法の箒(ほうき)”デザインコンテスト」などの事業を通して、温暖化防止行動の普及促進を図っています。
 地域調和型エコ・ハウス整備事業は、温暖化防止のための技術を活用した地方公共団体の施設へ補助事業。太陽光発電装置の設置や高効率断熱材の使用、間伐材の使用、屋上緑化などを行う施設に事業費の2分の1を補助します。北海道平取町や栃木県高根沢町、岡山県美作町など全国9カ所の施設が補助対象に選ばれ、2003年3月までに、順次完成する予定です。
 当事業の狙いは、地域の特性をふまえた環境配慮型施設の見学・体験ができる施設を各地に建設すること。環境に配慮した住宅を建築したい人の参考になる建物が少ないことから、施設を訪れた人が自宅を新築・リフォームする際の参考にできるよう、モデルハウスとしての役割が期待されています。
 一方、地球にやさしい“魔法の箒(ほうき)”デザインコンテストは、新しい乗り物のデザインコンテストです。持ち運び可能で電車に持ち込むこともでき、車外ではすぐに使える新しい乗り物のデザインを募集することで、自動車利用削減のための意識向上を図ります。


各省庁でもハンドブックに基づき温暖化対策を強化

※CO2削減効果は、平均的な家庭からのCO2排出量を100とし、対策例を継続的に取り組んだ場合の削減割合。

※CO2削減効果は、平均的な家庭からのCO2排出量を100とし、対策例を継続的に取り組んだ場合の削減割合。

 環境省では、これらの施策を総合的に推進することで、家庭からのCO2排出量削減を図っていく予定です。なかでも今回作成したハンドブック【2】には、「国民一人ひとりのライフスタイルを変えるための有効なツール」(地球温暖化防止国民生活推進室)と大きな期待を寄せており、今後、広く活用を呼びかけていく予定です。
 ハンドブックは、「環のくらし」ホームページからPDFデータとしてダウンロードしているほか、冊子としての実費頒布も予定しています。環境省では、ハンドブックの活用を通して実践行動を促すだけでなく、「エコライフは“質素”ではなく、“おしゃれでかっこいい”ライフスタイル」と意識の転換を図りたい考えです。
 政府側でも、ハンドブックに基づき温暖化対策を強化する予定です。すでに環境省をはじめ関連各省庁で、ハンドブックに記載された取り組み項目の実践を検討しています。


【1】コマメちゃん
「環のくらし」のマスコット、コマメちゃんは、空豆を模したキャラクターで、「コマメ」に買い物袋を持ち歩いたり、車の運転をやめて「コマメ」にバスや自転車を利用する地球温暖化を防ぐライフスタイル、「コマメ生活」の実践者
【2】ハンドブック
環の国くらし会議がまとめたハンドブック。具体的行動事例などが紹介されている。
アンケート

この記事についてのご意見・ご感想をお寄せ下さい。今後の参考にさせていただきます。
なお、いただいたご意見は、氏名等を特定しない形で抜粋・紹介する場合もあります。あらかじめご了承下さい。

【アンケート】EICネットライブラリ記事へのご意見・ご感想

(記事:土屋晴子)

※掲載記事の内容や意見等はすべて執筆者個人に属し、EICネットまたは一般財団法人環境イノベーション情報機構の公式見解を示すものではありません。