ヨセミテ国立公園は、1890年に国立公園として設立された。1872年に世界初の国立公園としてイエローストーン国立公園が設立されてから18年の年月を経ていた。
ヨセミテ国立公園の核心部、ヨセミテバレーとマリポサの巨木群(計約150平方キロメートル)は、1864年に連邦政府からカリフォルニア州政府に対し、公園の設立を目的に委譲されている。当時としては画期的なことで、連邦用地の委譲のために制定された「ヨセミテ公園法」が、後にイエローストーン国立公園設置法の下敷きにされたとも言われ、アメリカの国立公園の原型とみなされている。
「ヨセミテ」といえば、「国立公園の父」と呼ばれるジョン・ミューアが活躍し、アメリカの国立公園制度の原型が形作られた地として知られている。その意味で、米国国立公園の発祥の地とも言える。
1916年の国立公園局設置法によれば、「国立公園(national park)」とは、現世代がその資源を消費してしまうのではなく、次の世代にもその恩恵が享受できるような形で利用し、伝えていくというものだ。このような国立公園の概念は、カリフォルニア州知事に宛てて提出されたヨセミテバレーの管理の改善に関する要請書に、その原型を見出すことができる。この要請書は、ニューヨークにあるセントラルパークの生みの親である造園家(landscape architect)のオムステッド(Fredrick Law Olmsted)が、1865年に提出したものだが、当時の政治的な利害関係から握りつぶされてしまう。