環境を巡る最新の動きや特定のテーマを取り上げ(ピックアップ)て、取材を行い記事としてわかりやすくご紹介しています。
トップページへ
アメリカ横断ボランティア紀行(第23話)
2009年環境重大ニュース
小笠原諸島の世界自然遺産登録を目指して
シリーズ・もっと身近に! 生物多様性(第19回)
「海に浮かぶ動物園と生物多様性」:ヘルシンキのコルケアサーリ動物園を訪れて
アメリカ横断ボランティア紀行(第22話)
[an error occurred while processing this directive]
No. 2009年環境重大ニュース
page 3/3  12
3
Issued: 2009.12.25
2009年環境重大ニュース(海外編)
第1位:アメリカ オバマ大統領の地球温暖化対策が始動
 アメリカでは、1月20日、地球温暖化対策やクリーンエネルギーの導入に熱心なバラク・オバマ氏が第44代大統領に就任。就任直後から、早速、自動車の燃費向上を関係省庁に指示するなど動き始めました。
 2月には、省エネ対策や再生可能エネルギーの促進、水質・土壌汚染対策などで景気回復を図る「アメリカ復興・再投資法」が成立。環境分野で300〜400万人分の雇用を創出すると期待されています。
 その後も、温室効果ガスの排出量取引制度のための法案を策定するよう議会に求めたり、主要排出国(G8諸国や、中国、インド等の新興国)を集めて地球温暖化対策について話し合う「エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)」を開催したり、国内外で大車輪の活躍でした。
 地球温暖化対策に後ろ向きだった前政権から、まさに大きな「チェンジ」を果たしたオバマ大統領。今後も、ますます目が離せません。


第2位:世界に広がったグリーンニューディール旋風
 世界的に経済状況が悪化する中、各国とも景気対策に一生懸命ですが、「環境」分野への重点的な投資で景気回復や雇用創出を図ろうという「グリーンニューディール」が注目を集めました。
 国連環境計画(UNEP)では、世界各国で景気刺激策として予定されている2兆5000億ドル(約225兆円)の3分の1を、地球温暖化対策や生態系の保全、クリーン技術の開発等に充てるよう提言。特に力を入れると効果的な分野として、(1)建物のエネルギー効率化、(2)再生可能エネルギー、(3)持続可能な交通、(4)生態系保全、(5)持続可能な農業という5つの分野を指摘しました。
 世界中に広がったグリーンニューディールの動きですが、特に熱心だったのは、韓国や中国。景気対策に占める環境投資の割合は、韓国で79%、中国で34%にも上るそうです。ちなみに、日本は6%…。もうひと押し! でしょうか。


第3位:生物多様性保全に向けた動きが盛り上がる
 来年、2010年は国際生物多様性年。日本の名古屋で、第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)が開催される年でもあります。
 2009年もその前座(!?)として、様々な動きがありました。一つは、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のように、政策担当者に科学的な観点から助言する“ご意見番”のような機関を生物多様性分野でも作ろうという動き。「生物多様性及び生態系に関する政府間プラットフォーム(IPBES)」と呼ばれていますが、2010年に向けて設立準備が進められました。
 もう一つは、森林や湿原など様々な生態系や生物多様性の価値を経済的な観点からも評価してみようという国際的な研究プロジェクト。UNEPが事務局を務める「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」プロジェクトからは、2本の報告書が公表され、生態系に迫る地球温暖化の脅威、生物多様性保全対策の重要性をアピールしました。


第4位:EU 京都議定書目標達成の軌道に
 国際交渉の舞台では、地球温暖化防止の急先鋒として活躍するEU。外でカッコいいことを言うだけでなく、中でもしっかり対策を進めています(内輪もめも、もちろん、あるんですけどね)。
 昨年から議論を続けてきた「気候・エネルギー政策パッケージ」も、実施段階に入りました。2020年までに、(1)温室効果ガスを1990年比で20%削減、(2)エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を20%に拡大、(3)エネルギー効率を20%アップ という「20-20-20目標」の実現に向けて、温室効果ガスの排出量取引制度の改革、再生可能エネルギーの利用の促進、CO2の回収・貯留などに取り組みつつあります。
 2008年の温室効果ガス排出量も、基準年比(多くの場合1990年)で6.2%減。追加的な対策やEU域外からの排出クレジットの購入などで、13.2%減まで到達できる見込みで、京都議定書の目標(基準年比マイナス8%)達成の軌道に乗っていると評価されています。


第5位:国際再生可能エネルギー機関(IRENA) 設立準備が進む
 2009年は、再生可能エネルギーに特化した初めての国際機関「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」の設立準備も進みました。
 IRENAでは、加盟国で再生可能エネルギーを導入するための枠組みや資金調達方法についてアドバイスを行うとともに、途上国への技術・ノウハウの移転を促進していく予定です。設立協定には100カ国余りが署名し、事務局はアラブ首長国連邦のアブダビに置かれることが決定されました。
 太陽の光や熱、風、森林資源などから作られ、使っても無くなることのない再生可能エネルギー。地球温暖化対策の大きな柱として、また、エネルギー安全保障や資源の有効利用の観点からも、今後、さらに大きく成長して欲しいですね。


第6位:イギリス 国立公園制度誕生から60周年 新国立公園が誕生
 イギリスでは、国立公園制度を導入した「国立公園・田園地域アクセス法」の制定から今年は60周年ということで、様々な催しが行われました。公園内の土地が全て国有地のアメリカの国立公園とは異なり、イギリスの国立公園は、公園内に私有地の農地や家々、教会なども含まれている点が特徴(この点で日本の国立公園とも似ています)。今後も、自然を保護しつつ、この特徴を活かして、「人々が生活し、働き、くつろげる場所であり続ける国立公園」を目指すとしています。
 60周年を記念して、11月には新しい国立公園「サウスダウンズ国立公園」が誕生。イギリス南東部に広がる丘陵地帯や森林、田園風景の美しい国立公園です。
 また、国立公園制度については、より長期的な視野に立って国立公園を管理していくために、40年先を見据えた長期的なビジョンを策定する方針が打ち出されました。地球温暖化対策や生物多様性の保全、景観と自然遺産の保護も重視していくとしています。


第7位:フランス グリーン成長で雇用促進へ
 2007年にサルコジ大統領が有識者を集めて開催した「環境グルネル(環境懇談会)」の提言を、一つ一つ着実に実行に移しているフランス。中でも、今年、特に力を入れていたのがグリーン成長と環境分野での雇用促進でした。
 予算の配分でも、電気自動車ハイブリッド自動車、再生可能エネルギー、建物の省エネ改修といったグリーン成長分野を重視。また、環境関連で雇用促進の可能性が高い10の業種(再生可能エネルギー、農業、観光など)を選び出し、業種ごとに、求人の需要を分析し、職業訓練の必要性を検討するなど、きめ細かな雇用対策を展開しています。「環境」こそ、今後の経済成長戦略や雇用対策の要 という意気込みが感じられました。
 なお、賛否両論、いろいろと議論のあった炭素税も2010年1月1日から導入されることが決まりました。これも、今年のフランスの大きな環境ニュースの一つでした。


第8位:COP15/MOP5 国際交渉の打開に向けて
 2009年12月のCOP15/MOP5で、2013年以降の地球温暖化対策の枠組みを決定する…これが、2007年のバリ会議(COP13/MOP3)で世界各国が示した約束(バリ・ロードマップ)でした。その約束に向けて行動することができるのか、世界の注目が、COP15/MOP5の開催地のコペンハーゲンに集まりました。
 交渉妥結に向けて、国連ではインターネットで署名を集める「協定に合意を!」キャンペーンを展開したり、初めての「世界気候変動週間(9月21日〜25日)」を開催したり、機運を盛り上げてきました。
 アメリカ、中国をはじめ、各国も次々と温室効果ガスの排出削減に関する目標を発表。産業革命前からの世界気温の上昇を2℃以内に抑えるためには、2020年までに世界全体の温室効果ガス排出量を年間440億トン以下にする必要があるとされますが、各国が打ち出した排出削減目標を合計してみると、足りない分は、あと約20億トンに迫ってきているという推計もあります。
 ここまで来ているのですから、なんとか各国の利害関係を上手く調整して、新たな枠組みにこぎ着けて欲しいところでしたが・・・今後のさらなる国際交渉に期待したいと思います。


第9位:ドイツ 政権交代で環境政策は変わるのか?
 ドイツでは、9月に総選挙が行われ、メルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党とが連携する、中道右派連立政権が誕生しました。これまで、キリスト教民主・社会同盟と大連立を組んでいた、中道左派の社会民主党(SPD)は野党に転落。
 この政権交代で心配されているのが、環境政策の行方です。例えば、ドイツの脱原発路線は、SPDと緑の党が連立を組んでいた左派連立政権で打ち出されたものですが、その後のCDU・CSUとSPDの大連立政権でも堅持されていました。しかし、今回発足した、中道右派連立政権では、古くなった既存の原発を廃止するのではなく、利用を延長する方針を打ち出し、波紋を呼んでいます。
 新しく環境大臣に就任したレトゲン氏はCDU・CSUの出身。就任演説では、「環境政策は新政権のトレードマーク」と強調して、環境重視の姿勢を打ち出しましたが、さて、今後、環境先進国ドイツの環境政策がどのようになるのか。注視していく必要がありそうです。


第10位:国連 10億本の植樹キャンペーン 70億本の植樹を達成
 環境重大ニュース(海外編)で今年のトリを飾るのは、地球規模の植樹キャンペーンです。国連の「10億本の植樹キャンペーン」は、ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんらの呼び掛けにより、2006年にスタートしたキャンペーンですが、2009年9月には、目標を大きく上回る70億本の植樹を達成。世界中の人が、ほぼ一人一本ずつ木を植えた計算になります。当初は、10億本を植えるだけでも壮大な計画だと思っていましたが、70億本はスゴイ。一つ一つは小さな取り組みでも、集まると大きな力になるお手本のようです。
 世界167カ国で植樹が行われたそうですが、最も多く木を植えた国は中国(約26億本)、次いで、エチオピア(約14億本)、トルコ(約7億本)とのこと。
 このキャンペーン、個人でも、会社や団体でも参加することができ、まだまだ続くそうです。ご関心のある方は、国連環境計画(UNEP)の以下のホームページをご覧ください。
 → http://www.unep.org/billiontreecampaign/


 ページトップ
page 3/3  12
3

(EICネット海外ニュース担当 源氏田尚子)
[an error occurred while processing this directive]