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No.177

アメリカ横断ボランティア紀行(第25話)
大陸横断(フォートコリンズ)

Issued: 2010.06.03

大陸横断(フォートコリンズ)[2]

政策目標の数値化

  国立公園局では、政策目標の数値化を、戦略的計画化(strategic planning)として取り組んでいる。このセンターでは、資源管理に関する政策目標設定のマニュアル作りや支援を行っているという。
 「この数値化自体は国立公園局全体の政策を管理する手法としてはうまく機能していないと個人的には感じていますが、個別の公園の目標としては有効だと思います」
 計測可能な数値データを、資源に対する影響を示す指標として採用し、政策目標のレベルにより数値目標を決定する。例えば、「エルクの個体数を10%増加させる」ことなどである。
 「これまで、公園資源への悪影響を無視した管理が行われたり、徐々に進む変化を見逃してしまったり、所長が代るたびに方針が変更されて一貫した資源管理が行われていないなどさまざまな問題があり、それが繰り返されてきました」
 こうした反省を踏まえ、資源のベースラインデータと目標を数値化して示す。それにより、公園ごとの資源管理が客観化され一貫性が保たれるというねらいがある。
 「ところが、こうした公園ごとの結果をとりまとめても、それだけで国レベルでの政策目標の達成を評価することはできないのです。個別の資源の状況はそれぞれに異なり、それを機械的に集計したとしてもあまり意味はありません」
 そこにあるのは、平均化された状況か、もしくは個別の資源のトレンドに過ぎない。それだけで政府機関のパフォーマンスを計測することは容易ではない。アメリカの制度が進んでいるとはいっても、実際はまだまだ試行錯誤の段階にあることがわかる。とはいえ、それを科学的な手法で積み上げようとしている姿勢には頭が下がる思いだ。

<妻の一言 ロッキー山脈国立公園>

ビーバーメドウズ・エントランスゲート近くの入口標識前にて
ビーバーメドウズ・エントランスゲート近くの入口標識前にて

 フォートコリンズに滞在中、ロッキーマウンテン国立公園に行くことにしました。国立公園の入口のエステスパークというところまで1時間ちょっとですので、ゆっくり日帰りできる距離です。
 ロッキー山脈を右手に見ながら、緑豊かな田園地帯を車で走ります。黄色く色づいたアスペンの木立があってとてもきれいです。途中、きれいな湖や川の流れなどもあり、ネバダ州、ユタ州、ワイオミング州といった乾燥地を走ってきた私たちにとってはとても新鮮でした。
 国立公園には、東側のゲート(Beaver Meadows entrance)から入りました。標高が高いからなのか急に天気が悪くなり、雪もちらついてきました。

 最初にビジターセンター(Beaver Meadows Visitor Center 標高2,390m)に立ち寄りました。このビジターセンターは、フランクロイドライトという有名な建築家とそのお弟子さんが設計したそうです。
 ビジターセンター外観の赤茶色は、まわりに自生しているポンデローサというマツの赤っぽい樹皮の色に合わせてあるそうです。素材は、コンクリートの板と鉄骨で作られているのですが、鉄の部分はわざと錆を出すことによって目立たないようにしているそうです。

ビーバーメドウズ・ビジターセンター
ビーバーメドウズ・ビジターセンター

ポンデローサマツの樹皮とビジターセンターの外壁の色調が統一されています。金属部分のこげ茶色は錆の色です
ポンデローサマツの樹皮とビジターセンターの外壁の色調が統一されています。金属部分のこげ茶色は錆の色です

ビジターセンターの設計にかかわったフランクロイドライトとビジターセンターの建設当時の解説版がありました
ビジターセンターの設計にかかわったフランクロイドライトとビジターセンターの建設当時の解説版がありました

ビジターセンターの内部は少し暗いですが、落ち着いた雰囲気です
ビジターセンターの内部は少し暗いですが、落ち着いた雰囲気です

小さなシアターもありました
小さなシアターもありました

 ビジターセンターを出て展望台に行ってみました。ロッキー山脈の方向は雪が降っているのか時々しか山が見えません。私たちが越えてきた縦断道路も閉鎖されてしまったそうです。
 しばらく散策したのですが、気温が低く天候も崩れてきたので戻ることにしました。

展望台にて。奥の方に少しだけ見えるのがロッキー山脈です
展望台にて。奥の方に少しだけ見えるのがロッキー山脈です

展望台までの遊歩道は木でできていました。車道のガードレールの石積みも雰囲気があります
展望台までの遊歩道は木でできていました。車道のガードレールの石積みも雰囲気があります

 入ってきたゲートとは別のゲート近くにあるビジターセンター(Fall River Visitor Center 標高2,511m)に立ち寄ることにしました。ビジターセンターは売店と一体的に建てられています。先ほどのビジターセンターより新しく、展示も充実していました。
 展示もたくさんあり、ロッキー山脈国立公園の成り立ちなどと一緒に、国立公園の中に残されている民間の土地などについても解説があります。展示をひととおり見てから、隣のおみやげ屋で買い物をしてから帰りました。

フォールリバー・ビジターセンター
フォールリバー・ビジターセンター

ビジターセンターの内部です。ビーバーメドウズと比べると新しくて明るい雰囲気です
ビジターセンターの内部です。ビーバーメドウズと比べると新しくて明るい雰囲気です

展示も立派でした
展示も立派でした

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記事・写真:鈴木渉(→プロフィール

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