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No.263

Issued: 2017.08.31

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)の一部を改正する法律について

種の保存法の概要と主な改正事項

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)の概要
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)の概要 ※拡大図はこちら

 種の保存法は、絶滅のおそれのある野生動植物の種(絶滅危惧種)の保存をはかるため、国内希少野生動植物種(国内希少種)と国際希少野生動植物種(国際希少種)の双方を対象として、希少野生動植物種の捕獲等及び譲渡し等の禁止といった規制を定めるとともに、国内希少種の生息地等の保護及び保護増殖事業の実施等の措置を規定しています。国内希少種は「その存続に支障を来す程度に個体数が著しく少ないか、又は著しく減少しつつあり、その存続に支障を来す事情がある種」など希少野生動植物種保存基本方針に定められた条件に該当する種を、国際希少種は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)」付属書T掲載種及び渡り鳥等の保護のための二国間条約等により通報された種を政令により指定しています。
 今回の法改正においては、次の三点が主な改正事項です。

  • 国内希少種の保護を進めるため、「特定第二種国内希少野生動植物種」制度を創設
  • 希少種の域外保全を進めるため、「認定希少種保全動植物園等」制度を創設
  • 国際希少種の保護を進めるため、個体の登録制度を改善するとともに、象牙に係る事業者登録制度を創設

 種の保存法は、平成4年に成立した法律であり、その後何度かの改正を経てきていますが、今回の法改正は新たな制度を追加するなど、最も大幅な改正となっています。

「特定第二種国内希少野生動植物種」制度の創設

二次的自然等に分布する絶滅危惧種保全の推進〜「特定第二種国内希少野生動植物種」制度の創設〜
二次的自然等に分布する絶滅危惧種保全の推進〜「特定第二種国内希少野生動植物種」制度の創設〜 ※拡大図はこちら

 我が国の絶滅危惧種の保護にあたり、規制や保護の取り組みにより絶滅を回避するため、種の保存法に基づいて国内希少種に指定しています。これまでも、国内希少種の指定を進め(平成29年8月現在208種)、保護を図ってきたところですが、里地里山など身近な自然に分布する種はあまり対象とされていません。一方で、里地里山など二次的自然の管理がなされなくなってきていることで、昆虫類、淡水魚類、両生類の約7割が二次的自然に生息するとされるなど、数多くの二次的自然に分布する種が絶滅危惧種となってしまっている状態です。
 身近な自然に分布する種は、国内希少種に指定されると捕獲等や譲渡等に強い罰則を伴う規制がかかるため、環境教育で個体を見せることやアマチュア研究者の調査研究などに支障が生じる可能性が高く、種指定して守ることがなかなか難しいのが実態です。例えば、子供たちが虫取りをして身近な自然に親しむような場所では、昆虫を一匹捕獲しただけで罰則がかかるような強い規制をかけることはしにくいのです。
 そのため、今回の法改正においては、販売・頒布等の目的での捕獲等及び譲渡し等のみを規制する「特定第二種国内希少野生動植物種」制度を創設しました。これにより、特定第二種国内希少野生動植物種に指定した種について、金銭を目的とした業者等による捕獲等の規制と、保護増殖事業の実施や生息地の保護等の保全施策の両立を図っていきたいと考えています。

「認定希少種保全動植物園等」制度の創設

動物園等と連携した生息域外保全の推進〜「認定希少種保全動植物園等」制度の創設〜
動物園等と連携した生息域外保全の推進〜「認定希少種保全動植物園等」制度の創設〜 ※拡大図はこちら

 現在、ツシマヤマネコ、トキ、ムニンノボタン等の一部の希少野生動植物種は、動植物園等の協力を得て生息域外保全や野生復帰の取組みを実施しています。さらに、希少野生動植物種の生息地等における生息・生育状況の悪化に伴い、生息域外保全の重要性が増大しています。一方、これらの生息域外保全の取組みは各動植物園等が自ら種の保存に貢献するために実施しているものがほとんどであり、自主的な協力に頼っている状況にあります。今後、生息域外保全の取組みを増加させていくため、さらに動植物園等と密接に連携し、取組みを促進する施策を実施していくことが不可欠です。
 そのため、希少種の保護増殖という点で、適切な施設及び能力を有する動植物園等(昆虫館や水族館などを含む)を認定し、「認定希少種保全動植物園等」として希少種の保存に向けた取組みを一緒に進めることができるようにする制度を創設しました。認定された動植物園等については、近親交配を避けるなどのために動植物園等の間で希少種を移動する際の譲渡規制に伴う手続きを簡素化して、連携を促進させていきたいと考えています。また、生息域外保全の推進だけでなく、多くの来園者を迎える動植物園等が種の保存に取り組むことで、希少種に関する環境教育や普及啓発が進むことも期待しています。

国際希少種に係る個体の登録制度の改善と象牙に係る事業者登録制度の創設

スローロリス(写真提供:自然環境研究センター)
スローロリス(写真提供:自然環境研究センター)

 国際希少種が生息・生育している国における種の保存に影響が及ぶことがないよう、国内における流通管理を実施しています。種の保存法では、適法に輸入された個体等については、登録して登録票を取得した上で、登録票とあわせて譲渡し等を行うことができることとなっています。しかし、国際希少種には高額で取引されているものもあり、違法に入手した別の個体の登録票を悪用して流通させる例も確認されています。
 そのため、今回の法改正で、必要な個体について、登録に有効期限を設定して古い登録票を悪用できないようにするとともに、マイクロチップや足輪などの個体識別措置を導入して登録票と登録個体をしっかり結びつけることとしました。これらの措置により国際希少種の個体の流通管理を強化しました。
 また、象牙については、多数の個体が密猟されているとの指摘があるゾウの生息に影響を与えないよう、非常に数が多い象牙のカットピースや製品についても、象牙の譲渡し等を行う事業者を管理することで流通管理を行っています。一方で、2016年9〜10月に開催された第17回ワシントン条約締約国会議では、アフリカゾウ密猟を抑制するため、「密猟や違法取引に貢献する市場の閉鎖」を勧告する決議が採択されるなど、国際的に象牙の取引への問題意識が高まっています。我が国の市場は、密猟や違法取引に貢献する市場とは認識されていませんが、こうした国際的な動きを受け、より厳正に管理することが適切と考えられます。
 そのため、象牙について「特別国際種事業者」の登録制度を創設し、これまで届出制で行っていた事業者管理を登録制とすることで、事業者の定期的な審査や不適切な業者の登録取消しなどをできるようにしました。併せて、事業者が所有する全形牙の登録を義務づけるなどの事業者の扱う象牙の管理強化を図るとともに、罰則を法人等で最大罰金1億円とするなどの措置により、象牙の国内市場の適正な管理の推進を図ります。

希少野生動植物種の流通管理強化〜国際希少野生動植物種の登録手続の改善〜
希少野生動植物種の流通管理強化〜国際希少野生動植物種の登録手続の改善〜  ※拡大図はこちら

象牙等の事業者の管理強化〜象牙に係る「特別国際種事業者」の登録制度の創設〜
象牙等の事業者の管理強化〜象牙に係る「特別国際種事業者」の登録制度の創設〜 ※拡大図はこちら

国会審議における対応と課題

 本法律案の国会審議においては、衆議院・参議院両院において様々な討論が行われました。本法律案の採択にあたっては、審議を踏まえて両院において附帯決議がなされ、多くの項目(衆議院12項目、参議院14項目)について対応・検討が政府に求められています。附帯決議では、例えば、国内希少種の指定について、2030年度までに(総計)700種を指定することを目指し、候補種の選定について検討すること、などが求められています。国内希少種の指定は、指定による種の保存に対する効果を勘案するとともに、国による指定が地域における保全活動を阻害したり、マニアを誘引したりすることのないよう専門家をはじめ、自治体やNPOなどの関係団体と丁寧に調整して進めることが必要です。今後もなるべく多くの種の保存を適切に行うことができるよう希少種保全の取組みを進めていきます。


(記事・図版:環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室)