環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第3講「Hキョージュ、水フォーラムを論じ、
ダイオキシンを語る」
第2講「Hキョージュ、循環型社会形成推進基本計画案を論じ、
環境アセスメントの意味を問う」
第1講「環境行政、2002年の総括と2003年の展望」
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No. 第2講「Hキョージュ、循環型社会形成推進基本計画案を論じ、
環境アセスメントの意味を問う」
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Issued: 2003.03.06
H教授の環境行政時評 (第2講 その4)
戦略アセスと政策決定システム
H教授―だからほんとうに必要なのは、そうした公共事業がほんとうに必要かどうかだよね。
で、さっきも言ったように、アセスは本来そのための場じゃないんだけど、開かれた政策決定システムが不在だし、閣議アセスよりも早期に、かつより広範な市民の声を聞くようになったから、反対派・批判派はアセスをそういう場の代替として使いかねないということさ。
だからこそ、最近では戦略的環境アセス(SEA)ということが言われている【13】

Aさん―なんですか、それは?

H教授―個々の事業計画に先立つ、政策や計画についての環境アセスメントのことだよ。例えば高速道路については、個々の路線が決定してからでなく、もっと漠然とした全国高速道路網計画立案の時点でアセスを行うことをいう。
その戦略的アセスを政策決定システムと統合させようというのが環境省の狙いみたいだね。ただ、問題は政策決定システム自体の公開性・透明性が未だ欠けているということ、そして財源の問題だね。多くの公共事業は国の補助金で地方自治体が事業主体になっている。だから国から補助金を取ってきて新しい公共事業をやるのが首長の腕みたいに思われてるんだけど、それじゃ、地方の時代なんて絶対こないね。税制を変えて大半は地方税にしなくっちゃダメだよ。そうすれば収入の範囲で支出を考えるって健全な姿になるよ。

大雑把に言うと税収は国が2で地方が1、実際使うのは国が1で地方が2。国から地方にその分補助金、交付金が流れていて、地方をいままで支配してきた。
【13】 戦略的環境アセス
事業計画が固まった段階で行う現行の環境アセスメント(いわゆる事業アセス)より早期の、事業実施段階(Project段階)に至るまでの行政意思形成過程(戦略的な段階)に対して実施する環境アセスメント。
戦略的段階とは、一般的に「Policy(政策)>Plan(計画)>Program(プログラム)」の3つのPをさすと説明されるが、抽象的であり、具体的にどの段階から戦略的環境アセスメントとなるか、厳密な定義は難しい。従前、計画アセスとよばれていたものより概念的には広い。
計画熟度が高まった事業の実施段階より、環境配慮の柔軟な取り込みがしやすいと期待される。環境庁(現・環境省)では、2000年8月に戦略的環境アセスメント総合研究会報告書をまとめ、現在、導入に向けた検討が再開されている。また先進的な自治体において、戦略的環境アセスメントを試行しているところもみられる。

そうしないといつまで経っても、オール与党で、ろくに議論もせず、ひたすら国頼みになってしまう。大体野党といったって地元はたいていは開発推進派だったし、開発に懐疑的な市民だって、いろんなしがらみがあるから、選挙になれば推進派に投票するってケースを腐るほど見てきてるからね。
でもここへきてだいぶ変わりつつある。三番瀬だとか、この淀川にしてもそうだけど、NGOや市民の声を聞く円卓会議【14】のようなものがはじまったのに注目しておきたいね。まだまだ夜明けは遠いけど、やっぱり地方からしか夜明けは始まらないと思うよ。

Aさん―でもそうすると地方と都会の格差がますます広がる一方じゃないですか。

H教授―お、キミもいいこというようになったねえ。でもねえ、少々貧しくたって豊かな自然と暖かい共同体に育まれたのんびりした暮らしの方がほんとうはリッチかも知れないよ。それに水源税だとか通過税だとか、都会からカネを環流させる知恵をみんなで絞るということだってあるんじゃないかな。ま、今日はこのあたりにしておこう。あ、それからこの特別講義は隔月じゃなく、毎月になったからな。

Aさん―えー、そんなのいきなりヒドイじゃないですか。どうして断ってくれなかったんですか。

H教授―しかたないよ。これも浮世の義理だ。それだけ反響が大きかったと思えばいいじゃないか。
【14】 円卓会議
公共事業などの政策や計画の立案に際して、これまで住民等の意見を反映する機会や仕組みはほとんどなかった。近年の環境意識の高まりや住民紛争の頻発等を受け、行政による市民参加の受け入れの動きも出てきた。手法のひとつに円卓会議がある。
円卓会議では、利害関係者や市民の代表が一堂に会して話し合いを重ね、合意形成をめざす。意見対立を経て対話が前進するなど一定の成果をあげる事例がみられたことなどから、全国的に注目され、広まってきている。

Aさん―あーあ、もう恥ずかしくって街を歩けないよ。
でも、こんどこそ、センセイの生々しい経験談を話してくださいね!
でないと、もうドロン(死語)して指導教官を変えますからね。
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