環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第4講「或る港湾埋立の教訓」
第3講「Hキョージュ、水フォーラムを論じ、
ダイオキシンを語る」
第2講「Hキョージュ、循環型社会形成推進基本計画案を論じ、
環境アセスメントの意味を問う」
第1講「環境行政、2002年の総括と2003年の展望」
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No. 第3講「Hキョージュ、水フォーラムを論じ、
ダイオキシンを語る」
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Issued: 2003.04.03
H教授の環境行政時評 (第3講 その1)
ネオコンの恐怖


Aさん―センセイ、浮かぬ顔ですね。

H教授―ああ、これほど大義のない戦争もめずらしい、ネオコンはこれからの世界のガンだね。

Aさん―ネオコン? ゼネコンとかボデイコンなら知ってるけど...。

H教授―冗談言ってる場合か! ネオコンはネオコンサバテイブの略、新保守主義などと訳されているけど、ウルトラ米帝国主義とでもいったほうがいいんじゃないかな。

Aさん―これからイラクはどうなるんでしょう?

H教授―ぼくとしては反フセイン・反ネオコンのイラク市民革命が起きて戦争を終結してほしいんだけど、春の夜の夢なんだろうなあ...。

Aさん―センセイ、そう落ち込まないで。こういうときこそセンセイの専門の環境問題を話してください。

H教授―ぼくは環境問題の専門家なんかじゃないよ。たまたま環境庁に勤めていたから、門前の小僧が習わぬお経を読んでるに過ぎないよ。

Aさん―そういじけないでくださいよ。
そういえば、第3回世界水フォーラムが開かれてましたね【1】。結構盛会だったみたいじゃないですか。こういうところからかすかな希望が生まれないですか?
【1】 第3回世界水フォーラム
第3回世界水フォーラム
去る3月16日〜23日を会期に、琵琶湖・淀川流域の2府1県、京都・滋賀・大阪を会場に開催された国際大会。水問題を通じて地球の将来について考え、行動につなげていくことを目的とした国際大会として、国際シンクタンクの「世界水会議」が呼びかけたもの。
1997年3月にモロッコのマラケッシュで開催された第1回世界水フォーラムで「世界水ビジョン」の作成が提案され、2000年3月にオランダのハーグの第2回でビジョンが発表された。第3回では、これを実行するための方法論や問題点などについて、各地の現場での経験を分かち合いながら議論された。
会期の最後、22・23日には世界の水担当閣僚による閣僚級国際会議も開催された。
フォーラムにはNGOや一般市民も参加登録でき、また水に関するフェアや子ども水フォーラムなどの関連行事も数多く催された。
170の国及び地域と43の国際機関等が出席し、閣僚級の出席も100名を上回るなど、当初の予測を上回る盛況をみせ、23日に閣僚宣言の採択を受けて閉幕した。
主な成果として、「閣僚宣言」および「水行動集」がとりまとめられた。
「閣僚宣言(Ministerial Declaration)」※英文・日本語文がPDFファイルで提供されている
「水行動集(Portfolio of Water Actions (PWA))」
第3回世界水フォーラム事務局(日本語版)
世界水会議(WWC/英語)

H教授―(気を取り直す)うん、そうだな。おもしろいと思ったのは、この水フォーラムは国土交通省、つまり旧建設省が後押ししていたんだけど、こんな場合、他の省庁はお付き合い程度ってのがふつうなんだ。ところが、今回はどの省庁も結構熱心に関与しようとしていたみたいだし、地方自治体レベルでは環境部局が非常に熱心に取り組んでいた。
それから、関連行事がやまほどくっついてて、それは行政サイドが上から組織したものだけでなく、いろんなNGOが押しかけ参加していたってことだ。自分たちが水フォーラム関連行事だと宣言し、主催者の運営委員会に通告すれば、関連行事になってしまったらしい。運営委員会でも全貌を把握しきれてなかったんじゃないかと思えたほどだ。あの組織論はちょっと昔のベ平連を思い出すよ。

Aさん―ベヘーレン? なんです、それ?

H教授―いや、いい、死語だから。

Aさん―ふーん、で、この水フォーラムのみどころはなんだったんですか?

H教授―1、2月はイラクや北朝鮮に霞んで、ほとんどメデイアにも取り上げられなかったけど、3月に入ってからメデイアでもよく取り上げられるようになったから、それを見てくれ。
一言でいうと、水質だとか水量だとか、そういった個別の視点ではなく、もっとトータルで国際的な水循環、水環境の永続的な保全利用の必要性が語られるようになったことかな。閣僚会議宣言もそれが色濃く滲んでたね【2】。国連安保理とえらいちがいだ。

Aさん―でも、具体的な政策としてなにかあるんですか?

H教授―うん、それがまさに問題だ。一発花火のお祭りで終わるのか、この動きが地下水脈のようにどんどん政策領域まで浸透していくかが問われている。キミはどう思う?

Aさん―そんなのわかんないですよ。

H教授―どうして?
【2】 閣僚宣言
第3回世界水フォーラムでとりまとめられた主要な成果のひとつ。
3月22日に閣僚級国際会議で合意された原案が、翌23日の最終日に「閣僚宣言」として採択され、第3回世界水フォーラムは閉幕した。
内容は、水が環境十全性をもった持続可能な開発や貧困、飢餓の撲滅の原動力として重要な役割を果たし、人の健康や福祉にとって不可欠であることを確認している。これに基づき、国際協力による資金や技術の移転・投入の促進や、汚染者負担原則の採用・徹底を図ることなどがうたわれ、上下水道整備のための民間の資金や技術の活用、またダム建設につながる水力発電の建設 などを盛り込んでいる。

一方、各国や国際機関が水問題解決のために取り組む422項目よりなる「水行動集」は、「安全な飲料水や衛生施設のない人の割合を15年までに半減」との国際目標をめざして36カ国と16の国際機関が進めている取り組みを、日本が中心になってまとめた。この中で日本は、人工衛星で世界の雨量データを集め各地の洪水を予測する「国際洪水ネットワークの設立」や、途上国への浄化槽
「閣僚宣言(Ministerial Declaration)」(英文・日本語文をPDF文書で提供)
閣僚宣言について(環境省報道資料より)
水行動集について(3rd WWFのHPより)

Aさん―所詮、ミズものですもん(笑)。

H教授―(溜息)そんなことを言ってる場合か...。

Aさん―ちょっと笑ってくださいよ、そのために言いたくもない駄洒落を言ったんですから。

H教授―そうか、キミにもそんな気配りができたんだ。
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