環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第9講 夏のできごと&温暖化対策税雑感
第8講 盆休み 四方山話 
-電力雑感、読者の便りPart2、環境教育法、大気行政体験記
第7講 亜鉛の環境基準をめぐって(付:レンジャー今昔物語)
第6講 半年継続記念 読者の声大特集(付:コーべ空港断章)
第5講 脱ダム、自然再生、環境教育 三題噺
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No. 第8講 盆休み 四方山話 
-電力雑感、読者の便りPart2、環境教育法、大気行政体験記
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Issued: 2003.09.04
H教授の環境行政時評 (第8講 その2)
読者のお便り part2

H教授―本論のまえに、7月以降のお便りで気になったものがあるので、それを紹介しておこう。
最初がこれ、第5講についてのご意見だ。
「この記事中の流域委員会の文章を読みまして、驚きました。このサイトは、環境省も関連するような公的なサイトと思いますが、淀川水系流域委員会の記述については、正確ではないと思います。
委員会は、提言で、脱ダム宣言などしていませんし、原則ダムは建設しないという提言で、それに対して、国土交通省も提言を受けた整備計画作りを進めています。きちんとその辺は、委員会や行政に取材して、事実に基づいて記述くださるようにお願いいたします。」(03/7/25)

Aさん―これは手厳しいですね。

H教授―淀川水系流域委員会のメンバーの方からのお便りだ。
ぼくの発言が不愉快に思われたようだから、その点はまずはお詫びをしておこう。でもねえ、ぼくは流域委員会の活動にすごい敬意を払ってるんだということも知っておいていただきたいんだ。
そのうえであえて言わせてもらうんだけど、第5講に関してどこが事実でないかぼくにはよく分からないんだ。第2講の脱ダムの論評に関してはなんといわれても仕方がないけど...。
だって「原則ダムは建設しないという提言」は、すなわち「脱ダム提言」といえるんじゃないのかな? 以前からマスコミや世間でも「脱ダム提言」という表現はされてきたしね。
それと、国土交通省近畿地方整備局と流域委員会の関係だけど、流域委員会のHPに、大津で開かれた会議の議事録があった。それによると同局が流域委員会と真摯な議論を交わしていることはわかるけど、「現時点ではダム建設は有効」との同局の発言に対して、提言を踏まえてないじゃないかという批判も出たそうだから、「提言を受けた整備計画づくりを進めて」いると言い切るのはどうなんだろう。
誤解しないでほしいんだけど、同局や流域委員会のやり方を批判しているんじゃなく、ぼくらの役人時代とちがって情報公開や住民参加という時代にふさわしいものだとぼくは高く評価してるんだ。

Aさん―公的なHPに載せるのなら、きちんと当事者に取材すべきだというご意見はいかがですか。

H教授―直接の取材などは確かにしていないけど、いろいろなものを材料に判断したもので、もともと「時評」って、そういうジャンルのものだというしかないなあ。
ただ、この時評でのぼくの雑感は、環境省やEICネットとしての公的な意見や判断とはまったく無関係で、そのことは誤解がないよう、はじめに断ってあるし、たいていの読者はそう思って読んでくれている。それと、もし間違いなどがあった場合や、ご指摘いただいたことに関しては、いつでも訂正したり、こういうかたちでご紹介させてもらうということでご理解いただきたいなあ。
ま、いずれにせよこれからの流域委員会の活動に期待していますので、がんばってください。
あ、そういえば、第3講のダイオキシンのところでもいくつか誤りの指摘があったので、それは今回直しておいた。くわしくは、補足説明をつけておいたので興味があれば読んでもらいたい。

Aさん―他にもあるんですか?

H教授―うん、つぎは第7講の亜鉛の環境基準についてのご意見だ。
「亜鉛についての時評を読んで、あまりにも皮相的な見方であのような意見を載せることへの驚きを禁じ得ない。学者だったらもう少し実態はどうなのか、引用論文はどうなのか、フィールドでの現状はどうなのか、自分なりに科学的根拠を調査して、その裏づけを持って意見を公表すべきだと思う。」(03/08/08)

Aさん―ひやあ、これも手厳しいですねえ。でも、「学者だったら」って言ったって、センセイはそういう意味での学者じゃないものね。

H教授―うーん、キミに言われると複雑だけどね。ただそれを自覚したうえで科学論争そのものの背景や意義みたいなものについてのぼくの感想や印象を述べただけなんだけどなあ。

Aさん―センセイもツライ立場なんですね...。

H教授―ま、キミにいわれたらおしまいだ(笑)。
そういえば、ひとつおもしろいご意見があったよ。第6講のコーベ空港に対するご意見。
「駄洒落で〆るんですか(笑) ちょっと勉強になる軽い読み物程度には楽しめます。テレビ番組でいうなら情報バラエティ番組クラス」(03/07/07)
【第3講の修正】 ダイオキシン濃度にかかわるご指摘と修正のポイントについて
元の記述では、
「日本は世界一の魚食国民だ。だから、人体の各部や母乳のダイオキシン濃度も欧米より一桁高いみたいだ。」
などと、日本のダイオキシン濃度が欧米の値よりもひと桁高いと、何度か書いていました。
これに対して、関係省庁の共通パンフレット『ダイオキシン類』にも、
「我が国の母乳中のダイオキシン類の濃度は他の先進国とほぼ同程度」
などと書かれているように、現在のダイオキシン濃度は、欧米並みになっている とのご指摘をいただきました。
もう何年も前に発表された測定結果が高かったことが強いインパクトを与え、一般に誤解されているきらいがあるものの、その後のデータの蓄積により、今では欧米と変らないとされている とのことです。

謹んでお詫びするとともに、訂正させていただきます。

Aさん―情報バラエテイ番組か。うーん、言いえて妙ですね(笑)。

H教授―さしづめキミとの環境漫才ってとこかな。ま、こういう読まれ方も大歓迎だ。いっそのこと環境行政戯評に名前を変えようか(笑)。
亜鉛に関しては他にも2通、おっそろしく長い、匿名でのお便りが届いた。もっとも同一人じゃないかと思うんだけど。

Aさん―どんな内容なんですか。

H教授―情報提供しますとのことで、環境省がデータの隠蔽や改竄をしているという一種の告発や、亜鉛が必須元素で養殖などでは亜鉛を補給しているとかいったいろんな情報だ。ぼくには、その是非を判断するだけの知識も能力もないけど、同じ内容がパブリックコメントにあり、その回答ともども環境省のHPで公表されているから、それをみてくれればいい。
ま、いずれにせよ来月くらいに中央環境審議会水環境部会が開かれるだろうから、どうなるか楽しみにしておこう。
この人の対案というかご意見も書いてあった。
「水生生物の環境基準は、個々の物質毎に定めるのではなく、AOD値で定め、AOD試験によって各水域の合否を判定する方が妥当ではないか」、「今後、海域も含めて更なる実態調査を展開し、OECDや諸外国に対する日本国環境省の面子の為ではなく、本当に水生生物のためになる環境基準を検討すべきである。」

Aさん―AOD試験?

H教授―濃縮毒性試験といって個別の物質ごとの毒性じゃなくて、いろんな物質を含んだサンプルの水を濃縮させてアカヒレという小魚やヌカエビの生存をみるという一種の総合指標らしい。AODは、Aquatic Organisms environment Diagnosticの頭文字を取ったもので、直訳すると水生生物環境診断法といったところだ。
ま、これもパブコメに出されていたけどね。

Aさん―で、センセイはどう思われるんですか。

H教授―先日、「(環境省が)水質環境基準だけでなく、水量や生態系を含む『水循環』の視点から総合的な環境指標をつくる方針を決めた」と報道されていた(8月12日朝日新聞夕刊)けど、個別の物質だけでなく、こういう総合指標は必要だと思うよ。
でもねえ、例えばAOD値で環境基準を決めたとすると、汚濁負荷の削減とは直接リンクしないということになってしまう。
水環境中にある程度普遍的にみられる金属や人為的な化学物質は個別にどの程度以下が望ましいのかを可能な限り環境基準等として明らかにし、排水規制などの手段でその維持達成を目指すという大前提があっての総合指標だと思うけどなあ。
亜鉛については現在は環境基準は決っていないけど、水質汚濁防止法上の有害物質として排水基準は決められている。亜鉛に関して水生生物保全のための環境基準は決めなくていいのか、現行の排水基準は水生生物保全という新たな観点から強化しなくていいのかというのが、やっぱり一番の問題じゃないかな。

Aさん―なるほど。ほかにリクエストはなんかありました?

H教授―「連載の頻度を増やしてください」(03/07/03)、「安定5品目を決めたときのいきさつ」(03/07/04)、「排出権取引の評価」(03/08/07)とかいろいろあったよ、どうしよう...。(頭を抱える)

Aさん―じゃ、読者からのお便りはその程度にして、最近の話題はなんかありますか。
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