環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第9講 夏のできごと&温暖化対策税雑感
第8講 盆休み 四方山話 
-電力雑感、読者の便りPart2、環境教育法、大気行政体験記
第7講 亜鉛の環境基準をめぐって(付:レンジャー今昔物語)
第6講 半年継続記念 読者の声大特集(付:コーべ空港断章)
第5講 脱ダム、自然再生、環境教育 三題噺
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No. 第8講 盆休み 四方山話 
-電力雑感、読者の便りPart2、環境教育法、大気行政体験記
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Issued: 2003.09.04
H教授の環境行政時評 (第8講 その3)
環境教育推進法の成立
H教授―第5講で、環境教育法ができるかもしれないって話をしたよね。あれからトントンと話が進んで、あっという間に7月15日に衆院、18日に参院で可決され、成立した【3】
施行は、登録事業にかかわる規定を除いて、今年の10月1日からだ。正式名称は「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」という長ったらしい名称。議員立法で、主務省庁は環境省、文部科学省、農水省、経産省、国土交通省の5省共管ってことだ。

Aさん―たしか、去年、NGOがまとめた提言の骨子案では、学校のカリキュラムに「環境教育」という科目をつくって、専任教師が各校に張り付ける というような話だったんですよね?

H教授―まあ、元々NGOの提言をベースにして法案づくりをしたわけではないから当然だけどね。
ただ、法案作成にあたった与党のプロジェクトチームが文部科学省と折衝したときに、学校教育のカリキュラムは文部科学省の聖域だからと、恐ろしくガードが固かったとも漏れ聞いているよ。それに専任教員の貼り付けは予算や人員増がからむから、財務省だってノーだったんだろうな。
でもねえ、もう少し各省横断的に前向きにやらせるように持っていければよかったのになあと思うよ。

Aさん―へえ、じゃ、その法律にはなにが書いてあるんですか。

H教授―法律レベルでは抽象的、理念的なことばっかりだといって過言でない。環境省のHPから引用した図を掲げておくけど、政省令がまだできていないみたいだし、国が定めるとされた「基本方針」や、地方公共団体が定めるとされた「方針、計画等」がどんなものになるかさっぱりわからないから評価のしようもないなあ。もちろん、ないよりあったほうがましとは言えるだろうけど。
霞ヶ関ルールで作られる「基本方針」の方はあまり期待できないけど、各地方自治体でつくる「方針、計画等」に、市民やNGOがどこまで意見を反映させられるかだね。
【3】 環境教育法
7月18日に成立した「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」。環境省主催の意見交換会が全国5箇所(各地で昼の部・夜の部2回ずつ)で開催されることが報道発表されている。
また、8月末には環境パートナーシップオフィス(EPO)・地球環境パートナーシッププラザ(GEIC)主催の意見交換会が開催され、NPO法人環境文明21主催のシンポジウム(03/9/12)や日本環境教育学会主催のシンポジウム(03/11/9)など、各種の会合等が開催される。
環境省総合環境政策局「環境保全活動・環境教育推進法のページ」
NPO法人環境文明21提言 「持続可能な社会をめざす環境教育・環境学習の推進を」
フォーラム「環境教育推進法を考えよう!」
日本環境教育学会のホームページ
環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(平成15年7月制定)のイメージ図 環境省発表資料より作成
やる気のある自治体や学校長にはこのフレームをうまく使って、地域の理解と協力のもとで、実践的な環境教育や教員の研修を進めてほしいよねえ。そうした試行が全国各地でうまくいって、付則で定められた5年後の見直しに反映されることを期待しておこう。

Aさん―なるほどねえ、何事も一気呵成にはいかないもんなんですね。
ところで、今日は前置きが長すぎるんじゃないですか、早く本論に入りましょうよ。
今日のテーマは、いったいなんですか。

H教授―以前予告だけしておいた環境ホルモン【4】とPRTR【5】の話をしようと思ってたんだ。ぼくは環境庁の大気保全局で未規制物質の担当もしたことがあるから、ちょっと関心があってね。でも、紙数─というのかどうかしらないけれど─をだいぶ食っちゃったしなあ。「もう少し短くしてください」(03/08/07)というご意見もあったし、お盆休み明けなんだから、次回にしようか。

Aさん―じゃ、とりあえず予告編で、その大気での経験ってのだけ聞かせてください。
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【4】 環境ホルモン
正式には内分泌攪乱化学物質という。シーア・コルボーン他著による「奪われし未来」やデボラ・キャリバリー著による「メス化する自然」により内分泌攪乱化学物質が世界的な関心を集めた。
研究者や機関によって定義が確定していないが、「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」(2000年11月改定)では「動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、その生体内で営まれている正常ホルモンの作用に影響を与える外因性の物質」とし、疑われる化学物質として65物質をあげている。
環境省環境保健部 「内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)問題」
環境省環境保健部 「内分泌攪乱化学物質問題への環境庁の対応方針について?環境ホルモン戦略計画SPEED'98?」
【5】 PRTR
PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)とは、有害性のある化学物質がどのような発生源からどれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを、国、事業者団体等の機関が把握・集計・公表する仕組み。対象となる化学物質を製造・使用・排出している事業者は、環境中への排出量と廃棄物処理のために事業所の外へ移動させた量を把握し、年に一回報告する。
日本では、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(1999)により制度化され、2001年4月から実施されている。事業者は都道府県経由で対象化学物質(第1種指定化学物質)の排出・移動量を国に報告し、国が集計、公表する。公表される情報は集計データであるが、個別事業所に関するデータも個別の開示請求があれば公開される。
米国ではTRI、またオーストラリアではNPIと呼ばれる類似の制度が行われているほか、オランダ、カナダ、イギリス等で国の法律に基づいたPRTRが行われている。
環境省環境保健部「保健・化学物質対策のページ」
環境省「PRTRのページ」
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