環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第21講 「Hキョージュ、環境行政の人的側面を論ず」
第20講 「喧騒の夏」
第19講 「キョージュの私的90年代論」
第18講 「キョージュ、無謀にも畑違いの原発を論ず」
第17講 「SEAの必要性・可能性 ―付:S湾アセス秘話」
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No. 第20講 「喧騒の夏」
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Issued: 2004.09.02
H教授の環境行政時評 (第20講 その1)
オリンピックとショービニズム

Aさん―センセイ、オリンピック、すごいですよ。日本はメダルラッシュ!

H教授―お、燃えてるねえ。酷暑は終わったと思ったけど、こんどはキミが熱くなってるじゃないか。でも、今年は高校野球が可哀相だったね、オリンピックのおかげですっかり霞んじゃった。

Aさん―え? センセイはオリンピック、燃えてないんですか? マサカ、テレビを見てないんじゃないでしょうねえ!

H教授―そこまでへそ曲がりじゃないよ。しっかり楽しんでるし、それなりに日本を応援しているよ。でも、ぼくはみんなが燃えるときは醒めてしまうたちなんだ。

Aさん―(小さく)ほんと、いやなタイプだ。

H教授―昔むかし、テレビが出だしたころ、日本でもプロレスが大流行して、プロレス中継の時間は電機屋のテレビのまえは黒山の人だかり。外国人レスラーが、われらが日本人の星―実際には朝鮮人だったんだけど─ 力道山に非道残虐の限りを尽くすけど、耐えに耐え抜くんだ。そして最後、ついに怒った力道山の伝家の宝刀・カラテチョップが一閃し、逆転勝利を収めるというストーリーに、大人も子どももみな狂喜してた。

Aさん―センセイは?

H教授―仲間はずれは嫌だから、みんなと電機屋のまえで一緒にみたさ。
でもねえ、カラテチョップってのは反則でもなんでもないんだぜ。だったら最初から出しゃいいじゃないかと、シラーとしてた。

Aさん―(小さく)センセイって昔からイヤなタイプのマセガキだったんだ。
で、オリンピックで燃えてるワタシたちを見て、なにを考えていたんですか。

H教授―ショービニズムの危険だ。

Aさん―なんですか、ショービニズムって?

H教授―排外的愛国主義。戦争で戦火を開くときは民衆は熱狂するらしいねえ。日本でも開戦時はほとんどの民衆は鬼畜米英と叫んだらしい。最近では9.11の同時多発テロ後のアメリカがそうだった。
サッカーのアジア予選のとき、あれに通じるような不気味なものをちょっと感じた。
ま、オリンピック本番ではそれほど感じなかったからよかったけど、やっぱりアナウンサーの絶叫にはちょっとうんざりするなあ。

Aさん―だって自国を応援するのは当然じゃないですか。今やっている高校野球だって自分の出身県を応援するでしょう。

H教授―そういう愛郷心や愛国心は否定はしないよ。ぼく自身は不思議なほど希薄だけどね。
でも、相手のミスを拍手喝采したり、相手チームを罵倒したり憎んだりするようになるとそれは行き過ぎだ。
スポーツは国際親善に寄与することもあるけど、逆にショービニズムに犯される危険もあるってことを自覚しておいた方がいい。基本的にオリンピックはすぐれた個人と個人、チームとチームが競い合うもので、国威発揚のためじゃないし、国家の威信を背負うものでもないんだ。

Aさん―そりゃそうでしょうけど(不満そう)。

H教授―ま、昔のプロレスと、今のK1とかPRIDEといった格闘技の観衆の反応を比較してみるとその心配はなさそうだけどね。

Aさん―センセイ、いったいなにが言いたいんですか。

H教授―要は、「われわれ国民は」とか「われわれ県民は」とか安易に使わない方がいい。国民も県民も十人十色なんだから。そしてその方がある意味では健全なんだ。
でね、国民とか県民とかが十人十色でなくなるときというのが、さっき言ったショービニズムに犯されたときで、その端緒はスポーツにもあるんではないかということだ。たかがスポーツ、されどスポーツというわけだね。

Aさん―ふうん、なんだかよくわかんないなあ。でもワタシ、そりゃあ日本を熱狂的に応援したけど、でも大丈夫、抱かれたいのはヨン様!

H教授―なんだ、それは?

Aさん―えー、「冬のソナタ」しらないんですか?

H教授―お、渋いじゃないか。ベルイマンだろう(註:「秋のソナタ」と勘違いしている?)。
そうか、キミも映画ファンだったのか。マイケル・ムーアの「華氏911」はもう見たか?

Aさん―もうヤダ! センセイと話していると、アタマが痛くなってくる。
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