環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第22講 「環境戦線異状あり」
第21講 「Hキョージュ、環境行政の人的側面を論ず」
第20講 「喧騒の夏」
第19講 「キョージュの私的90年代論」
第18講 「キョージュ、無謀にも畑違いの原発を論ず」
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No. 第21講 「Hキョージュ、環境行政の人的側面を論ず」
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Issued: 2004.10.07
H教授の環境行政時評 (第21講 その1)

Aさん―センセイ、やっと涼しくなりましたね。これでやっと食欲もでてきました。

H教授―キミの辞書には「勉学の秋」ってコトバはないみたいだな。
ま、それはともかく、連続真夏日が過去最高【1】で、台風が7つ襲来、豪雨被害も各地であった。これが偶発的な今年だけの現象であることを祈ろう。
さて、前講以降のできごとをおさらいしてみよう。まずは国際情勢だ。
【1】 2004年の真夏日
気象庁「20世紀の日本の気象」1.2 暖かくなった20世紀 → 1.2.4 真夏日と熱帯夜(グラフ付きで解説)
東京における気象の記録※東京の真夏日の日数、継続日数順位表(前者は2002年8月更新、後者は2004年8月更新)
時評1−国際情勢と温暖化対策の動向
Aさん―パウエルさんがイラクの大量破壊兵器云々はガセネタだったことを認めました。アナンさんもイラク侵攻が国際法違反だと明言、これでブッシュ政権の信用はガタ落ち、こんどの大統領選でも敗北必至じゃないですか。

H教授―そりゃ、キミの単なる願望だろう。ブッシュ政権に神風が吹いているじゃないか。

Aさん―え? 神風って?

H教授―チェチェンの学校爆破事件だ。昔、読んだカミュの本でテロリストが大公暗殺を企て馬車に爆弾を投げようとしたんだけど、大公のいたいけない甥と姪が大公のそばにいたのを見て断念したという話があったけど、それとは隔世の感があるね。

Aさん―悲惨な事件だったですねえ。ワタシもあんまりだと思いました。

H教授―あれで少なくとも短期的にはテロリスト掃討を叫ぶブッシュ大統領の支持が高まったことは間違いない。
ビンラディン一派はもともとCIAが育てた鬼っ子だったという話があるけど、敵役としてのブッシュ大統領が今後も必要だと思って、エールをああいう形で送ったのかも。

Aさん―じゃセンセイはブッシュ再選は必至だと?

H教授―そうなることも覚悟しておいた方がいいということだ。ついでに言っておくと、この事件がきっかけでプーチンはブッシュ支持を強め、ロシアは最後まで京都議定書を批准せず、京都議定書はオクラ入りという可能性もかなり出てきたような気がしてきた【2】

Aさん―えー、そんなあ。

H教授―でも、EUは京都議定書がどうなろうとCO2削減をしていくと思うよ。米国に対抗して軍事的にではなく文化的倫理的なヘゲモニーをとろうとするだろう。英国も世論に逆らっていつまで米国追随路線をとっていけるか怪しい。
だから問題は日本だよねえ(ため息)。

Aさん―温暖化対策大綱はどうなりそうなんですか。

H教授―各省ばらばらに骨子案を出したけど隔たりは大きく、どうなるか先行きはまだまだ不透明だ。
環境省は環境税(温暖化対策税)創設を農水省と共同で来年度の税制改正要望の中でするみたいだけど、既存のエネルギー税制との関係も不明瞭なままだし、経産省も産業界も反対している。まあ、それでも京都議定書が発効すればなんとかなるかもしれないけど、発効しなければむつかしいんじゃないかなあ。
あとの環境省案の目玉は国内の排出権取引制度と大発生源の温室効果ガス排出量公表義務付けだけど、どっちも経産省も産業界も反対してるから、これもどうなるかわからない。

Aさん―なんか暗いですねえ。

H教授―絶望の虚妄なるは・・・

Aさん―(遮って)まえに聞きました。老人の歌でしょう。ほんと、ワンパターンなんだから【3】
【2】 京都議定書とロシアの批准
編集部註:予測を裏切って、9月30日、ロシアは京都議定書批准を閣議決定した。なお、ロシアの批准前(2004年9月下旬)の時点では、ロシアを含まない125ヶ国が批准し、批准国による排出量の合計は44.2%となっていた。
京都議定書の批准等に関する最新の状況について(UNFCCCのホームページより)

H教授―老人じゃなくて魯迅なんだけど・・・

Aさん―その人だって年寄りなんでしょう。じゃ、同じじゃないですか! もっとワタシたち若い世代に希望のある話はないんですか(怒)。

H教授―(断固として)希望は自分で作り出すものなんだ。
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【3】 第12講「2004新春 環境漫才」 より
第12講
時評2−普天間飛行場の辺野古沖移設を巡って
Aさん―へいへい、ところで沖縄に行かれたんですね。どうだったんですか。

H教授―向こうの新聞は連日8月に起きた宜野湾市の米軍ヘリ墜落に端を発した普天間基地の辺野古沖移設問題でいっぱいだった。

Aさん―辺野古沖移設って随分前に決まってたんじゃなかったんですか。

H教授―そりゃそうだけど、これも長い歴史があってねえ。

Aさん―へえ、どんな?

H教授―もともと沖縄島民のほとんどは日本復帰を願っていたけど、それは米軍基地撤去とセットの要求だった。でも、冷戦のさなか、そんなことできようわけもなく、復帰はしたものの、基地はそのまま。それに対する不満がずうっとくすぶっていて、それが何かの事件のたびに燃え上がる。
ヘリ墜落のまえ、'95年にも米軍兵士による少女暴行事件がきっかけで反基地感情が盛り上がり、ついに米国は宜野湾市の中心部を占めていた広大な普天間飛行場撤去に条件付で同意した。

Aさん―よかったじゃないですか。でもまだ撤去していませんよ。

H教授―だから「代替施設が完成し、運用可能になれば撤去する」という条件付きだったんだ。
となると日本政府が移転先を探して代替施設をつくらなきゃいけない。でもねえ、そんなものおいそれと引き受けようとするところなんてふつうはないだろ。だから結局は移転先は沖縄県内となって、ほっぺたを札束でひったたくようにして、やっと決まったのが名護市の辺野古沖の海上埋め立てで、これが'99年暮れ。

Aさん―反対運動は起きなかったんですか。

H教授―そりゃ起きるよ。美しいサンゴ礁を埋め立てるんだし、貴重なジュゴンの回遊場所でもあるみたいだから、強い反対運動が起きてなかなかアセス調査にも入れないまま今日まで来たんだ。

Aさん―じゃ、いつまでたっても普天間飛行場撤去なんてできないじゃないですか。

H教授―米軍だって本心から移設を望んでるわけじゃないから、日本に圧力もかけなかった。日本でも橋本内閣が熱心にこの話をまとめたんだけど、それ以降の内閣は強力に推し進める気持ちもなかったみたいだから、ずるずると延びてきた。

Aさん―だって、それじゃあいつまでたっても普天間飛行場は撤去できないから、宜野湾市民は怒るでしょう。

H教授―怒ればその矛先は辺野古沖埋め立て反対派住民にいくだけだとタカをくくってたんじゃないかな。

Aさん―そこにヘリ墜落事故が起きたんだ。しかも事故後の米軍の対応がひどすぎて、宜野湾市民の怒りが爆発したってわけですね。

H教授―だからそれまでアセスのためのボーリング調査だって反対派住民の抗議行動のたびに延期してきたんだけど、ここへ来てそうはいかなくなって強行突破して調査を開始した。

Aさん―うーん、どう考えればいいんですか。宜野湾市民の立場に立って辺野古沖移転を進めるべきなのか、ジュゴンやサンゴ礁保護のため辺野古沖移転に反対すべきなのか。

H教授―宜野湾市民の大半は辺野古沖移転なんて望んでないよ。かれらが望んでいるのは普天間返還だけだ。そして怒りの矛先は辺野古沖埋め立て反対派に向かず、米軍と弱腰の日本政府、そして沖縄にツケを押し付けて平然としている本土住民に向いているといっていいと思う。
そのことにわれわれはもっと痛みを感じるべきだね。

Aさん―じゃ、センセイは日米安保を破棄して米軍基地全面撤去を求めるべきだと?

H教授―そんなことここで言えるわけないじゃないか! ここはEICネットなんだから。

Aさん―センセイ、早く個人HP作ってください。

H教授―自慢じゃないが作り方がわからない。

Aさん―情けないですねえ。それでも大学キョージュなんですか。

H教授―じゃ、キミ作ってくれるか。

Aさん―え? いま修士論文に忙しくてそんなヒマありません。

H教授―へえ、修士論文に忙しいねえ、へえ。合コンに行くヒマはあるみたいだけどねえ。
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