環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第24講 「2005 ─地方の時代のために」
第23講 「二つの山場と三位一体改革」
第22講 「環境戦線異状あり」
第21講 「Hキョージュ、環境行政の人的側面を論ず」
第20講 「喧騒の夏」
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No. 第23講 「二つの山場と三位一体改革」
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Issued: 2004.12.02
H教授の環境行政時評 (第23講 その1)

Aさん―センセイ、秋も深まったですね。先日、カレと・・・

H教授―(遮って)へえ、まだ懲りずにカレをつくったのか。

Aさん―ほっといてください!
で、カレとハイキングに行ったら、紅葉の奥から鹿のさびしげな声が聞こえてきて、とてもロマンチックだったわ。「奥山に紅葉踏み分け泣く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき」って知ってます?

H教授―馬鹿にするな、謎の歌人猿丸太夫だろう。これについちゃあちょっとウルサイんだぜ。猿丸太夫はじつは万葉の歌聖・柿本人麻呂だという珍説があるんだけど、これについてある雑誌で論じたことだってあるぐらいなんだ。
ま、それよりも秋の鹿の鳴き声ってのは、発情してるってことだ。キミと同じで、要はサカリがついたってわけだな。

Aさん―し、失礼な。レディに向かってなんてことを。

H教授―え? Readyに向かって? なんの準備だ。マサカ結婚準備に向かってじゃないよな。

Aさん―Lady ですよ、Lady。決まってるじゃないですか!

H教授―キミは異星人かと思ったら、日本人だったんだな。道理でLとRの区別がつかないはずだ。

Aさん―Thank youとNice to meet youしか知らないセンセイにそんなこと言われるスジアイはありません! 
さっさと時評に行きましょう。センセイの懸念(第21講その1)が的中、ブッシュさんが再選されましたね。

H教授―うん、総得票数で300万票以上の差だから、文句なしだな。
チェチェンの惨劇のあと、投票日直前にダメ押しのビンラディンのメッセージ。アルカイダがブッシュ再選の後押しをしたみたいなもんだ。

Aさん―また、そんなことを。でも日本経済にとってはブッシュさんの方がよかったって話もありますよ。

H教授―「人はパンのみによりて生くるにあらず」って言うじゃないか。
大体、ファルージャのことどう思うんだ。破壊の限りを尽くしておきながら、肝心のザルカウイには逃げられたっていうか、逃げるようにしむけたというか...。

Aさん―(慌てて)センセ、センセイそれ以上はダメッ! 編集部に怒られます。
時評1 京都議定書発効確定と炭素税の行方
H教授―そうか、じゃ興味のある人にはボクのホームページ(http://www.eurus.dti.ne.jp/~hisatake/)で11月16日の日録でも見てもらおう。
ところで 京都議定書発効が決まった。来年の2月16日だそうだ【1】

Aさん―でもロシアはホットエアーを売るだけ売っといて、第二約束期間の方はさっさと逃げるんじゃないかっていう観測もあるみたいじゃないですか。

H教授―うん、その可能性はある、というより大きそうだし、そうなれば泥棒に追い銭ってことになるから、逃げられないような縛りを工夫しなければいけない。
だけど、それは日本にもいえることだぜ。

Aさん―は、どういうことですか?

H教授―だって、第一約束期間にはホットエアーを買ったり、CDMや森林吸収で稼いだとしても、90年比△6%達成できないのは明らか。達成できなかった分は三割増しというペナルティを払って第二約束期間に繰り越せることになっている。
でもアメリカが参加しないだけでなく、ロシアが逃げ出し、途上国が数値割り当てを拒否したら、第二約束期間の話なんてふっとんじゃうかもしれないし、日本だって、そうなることを期待してるむきだってないとはかぎらない。
【1】 京都議定書発効
環境省大臣談話等「京都議定書の発効を迎えて」(平成16年11月5日)

Aさん―そんなこと国民が許しません!

H教授―そんなのわかんないよ。ガソリン代や電気代が上がるのはイヤという国民の方が多いかもしれない。
だから、そうさせないためにも、今のうちから炭素税ってシステムを導入しなければいけないと思うんだけど、これがどうなるのか。

Aさん―そういえば環境省案が出てましたね。

H教授―うん、去年の中環審専門委員会答申では炭素換算トンあたり3,400円だったけど(→第9講)、こんどの案では2,400円で3割減らしてる【2】。家計負担は年3,000円だそうだ。
鉄鋼やセメントのような多排出企業や中小企業には減免措置も導入して、税収は年5,000億円、この7割を温暖化対策に充てて4%カットできるという試算で、その他の施策と合わせて、辛うじて90年比△6%達成だそうだ。

Aさん―税収が去年の答申と比べると半分に減りましたね。

H教授―ともかく産業界がOKしてくれるようぎりぎりまで税率を下げた感じだね。
それに対して産業界はガソリン1リットルあたり1.5円くらいの税率ではなんの抑制効果も働かないと批判している。
だったらもっと税率を上げろというのが普通だと思うけど、だから炭素税は不要だという。変な批判だね。

Aさん―経産省の方はどうなんですか?

H教授―数日前に対策案をまとめたそうだ【3】。それによると省エネ法の強化や「流通・物流効率化法」の制定などで5%カット。あとは京都メカニズムや吸収源プロジェクトで、炭素税を導入しなくても90年比△6%達成だそうだ。

Aさん―ほんとですか。センセイはどう思われるんですか。
【2】 炭素税に関する中環審専門委員答申(去年/第9講) と、今回の環境省案
第9講・その3「温暖化対策税の在り方を巡って」

H教授―単なる数字合わせの作文に決まってるよ。これで達成すれば対策案策定チームに1,000万円の報奨金、その代わり未達成だったら1,000万円のペナルティを課すようにしたら、チームはただちに解散するんじゃないか。

Aさん―また暴論を。じゃ、環境省案の方は?

H教授―とにかく炭素税というスキームをまず入れることが重要なんだという環境省の気持ちはわかるけど、やはり税率が低すぎると思うね。
あるNGOがトン当たり6,000円〜15,000円にしろっていってるけど、たしかに環境省案(2,400円/炭素トン)では抑制効果は期待できない。
もちろん環境省は税による抑制効果よりもこの税収で行う温暖化対策に期待しているんだろうけど、それがどれだけ効果があるか、なんの担保もないもんなあ。まあ、二酸化炭素対策が必要だという普及啓発効果はあるだろうけど。
道路特会が数兆円の規模であるんだから、ガラポンしてこれとの統合再整理を図ればいいんだろうけど、そうなると経産省とそのバックの産業界だけじゃなく、国土交通省とゼネコンまで敵に回すことになるからなあ。

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【3】 経済産業省案
京都議定書の約束達成に向けた道筋(産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会 エネルギー環境合同会議 配付資料)
同会議(16.11.18開催)配付資料一覧
※新総合物流施策大綱の策定について
新総合物流施策大綱 第2回フォローアップについて
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