環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
トップページへ
第24講 「2005 ─地方の時代のために」
第23講 「二つの山場と三位一体改革」
第22講 「環境戦線異状あり」
第21講 「Hキョージュ、環境行政の人的側面を論ず」
第20講 「喧騒の夏」
メルマガ申し込み 会員登録 ヘルプ サイトマップ
国内ニュース 海外ニュース イベント情報 環境Q&A 機関情報 環境リンク集 環境用語集 ライブラリ 森づくり宣言
No. 第23講 「二つの山場と三位一体改革」
page 2/4  1
2
34
Issued: 2004.12.02
H教授の環境行政時評 (第23講 その2)

Aさん―どうすればいいんですか。

H教授―でも財務省は本来は味方のはずなんだ。なんせ税収を増やしたいんだもの。それに京都議定書がいよいよ発効するんだから、これほどの助っ人はいないはずだ。
ま、問題は自民党税調や政府税調がどういう判断を下すかだ。
このまま炭素税導入を認めるか、時期尚早で却下するか、あるいは導入の方向性だけを確認するが、一年ずらして、その間に道路特会やエネ特会との関係を再整理したうえで、再提案しろというか。
ただ単に却下ということはないと思うけどなあ。

Aさん―それはいつごろ決まるんですか。

H教授―12月早々には決まるんじゃないかなあ。

Aさん―えー、じゃあ、この時評が掲載される頃には決まってるかもしれないじゃないですか。まちがった予測して、恥かかなきゃいいですけどね。
ま、汗かかないぶん、恥かいてもいいか。

H教授―うるさい、でもこういうところにこそコイズミさんに蛮勇を奮ってほしいんだけど、ま、ないものねだりしてもしょうがないか。

Aさん―じゃ温暖化対策大綱の見直しは?

H教授―まず炭素税をどうするかが決まってからだろう。その結論を待って、来春までに外野を巻き込んでの省庁間での戦争になるんだろうな。
でも産業界や経産省だって一枚岩じゃないと思うんだけどね。最後まで炭素税導入反対でいけるかどうか疑問だ。
90年比△6%を達成できなくても、炭素税まで導入してがんばったけど ─というのと、炭素税すら導入しなかった というのとでは、国際社会の受け止め方―もちろんアメリカは別として─ が違うと思うよ。ま、いずれにしても、今が最大の山場だ。
で、もうひとつ、また別の山場が来てるんだ。

Aさん―もうひとつの山場って。
時評2 惨身痛い改革
H教授―三位一体改革って知ってるだろう。



Aさん―えーと、まず三位一体とは天の父なる神様とイエスキリストと聖霊の関係のことです。だから...。

H教授―こらこら!

Aさん―冗談ですよ。20講でも22講でも反対だ!って吠えてたじゃないですか【4】
地方分権の観点から国の補助負担金を撤廃すること、その分に見合う税源委譲を行うことと地方間格差を交付税で調整すること、この3つを同時にやるというコイズミ内閣の目玉ですよね。
そして今年度は1兆円補助負担金を削減したけど、来年度はさらに3兆円削減するというので、そのメニューを出せと全国知事会に要望して、全国知事会がとりまとめたんですよね。
で、そのなかにごみ処理施設整備の補助金が入ってたから、センセイがとんでもないことだって怒ってると、まあこういうわけです。

H教授―うん、で、その後どうなったか知ってるか。

Aさん―たしか、環境省の方ではごみ処理については補助金じゃなくて目的限定の交付金という対案を出しましたよね。
【4】 三位一体改革反対(第20講、22講)
第20講・その4「ごみ処理施設補助金廃止?」
第22講・その4「時評5 ─混迷・漂流する廃棄物問題」

H教授―じつは知事会の要望はごみだけじゃあないんだ。義務教育だとか社会保障だとか治山治水だとか、いっぱいあって、環境省関係はごくわずか。
で、環境省関係ではごみのほか国立公園などの施設整備の補助金の廃止なども含まれている。
環境省はごみは交付金に衣替え、国立公園以外の自然公園の施設整備補助は廃止、国立公園施設整備は直轄に切り替えるといった対案を出していたんだ。もちろん他省庁もそれぞれ対案を出して、すったもんだ。
そして数日前、「政府与党の基本方針」というのがまとまった【5】

Aさん―え、じゃあ、もう山場は過ぎたじゃないですか。

H教授―ところがその基本方針なるものが、中身がさっぱりわからないんだ。地方案を尊重しつつ検討するみたいな話で。そんなもの、基本方針とはいわないよ。ふつうの日本語じゃ、「尊重しつつ検討した結果」を基本方針というんだ。

Aさん―なあるほど、お得意の玉虫色ってわけですか。いや、先送りか。

H教授―さあ、でもホントは内々に決めてるんだと思うけどな。
新聞にデカデカと出てるんだけど、そのほとんどが義務教育の国庫負担金の話で、残りが社会保障と治山治水の話。それらについてもマスコミは知事会案支持のスタンスなんだけど、環境省の話なんてまったく出てこないんだ。
環境の時代だなんてウソじゃないかって思っちゃうよ。

Aさん―でも、どうなるんでしょう。センセイの予測は?

H教授―義務教育にしても社会保障にしても治山治水にしても各省庁側の応援団がいっぱいいるから、各省庁の顔をある程度たてて、その代わり環境省の代案なんてのはあっさり却下、つまり人身御供にされるんじゃないかと悲観的になっちゃうんだ。

Aさん―それはいつごろ決まるんですか。

H教授―12月早々には決まるんじゃないかなあ。
【5】 三位一体改革、「政府与党の基本方針」など
同 説明資料>平成17年度予算編成の基本方針(案) (PDF:22KB)
同 配付資料>三位一体の改革について(政府・与党) (PDF:1,226KB)
経済財政諮問会議>平成16年会議結果>第30回記者会見要旨
内閣府>地方分権改革推進会議:内閣府>地方分権改革推進会議 同「三位一体の改革についての意見」(平成15年6月6日)
地方税財政制度改革(三位一体の改革)に関する意見(平成16年5月26日 地方財政審議会)

Aさん―えー、じゃあ、この時評が掲載される頃には決まってるかもしれないじゃないですか。まちがった予測して、恥かかなきゃいいですけどね。
ま、汗かかないぶん、恥かいてもいいか。

H教授―こらこら、さっきとまったく同じセリフじゃないか。また原稿料目当てのページ稼ぎだなんてあらぬ批難を受けるぞ。

Aさん―はいはい、でも三位一体改革って地方分権の推進のためなんですか、それとも国の歳出削減のためなんですか。

H教授―ま、呉越同舟じゃないかな。
財務省はなんといっても歳出削減、とにかく莫大な借金を背負っているからな。総務省、つまり旧自治省は政府部内では自治体の側に立つから、地方分権推進のためといっているし、全国知事会もこれに乗った。
官邸はなんだろう。なんでもいから目立つ改革をしろってとこかな。
だけどこの三位一体改革とやらで、何が何でも国の支出を税源委譲分を差し引いての実質一兆円削減を目指すらしいから、やっぱり財政事情がメインだろう。

Aさん―ふうん、でも地方自治体だって借金をいっぱい抱えているんでしょう。

H教授―そう、痛みをわかちあおうって話だから、三位一体改革というよりは国、自治体、国民の三方一両損改革っていった方が正確かもしれない。
でもねえ、残念だったのはごみ処理の場合、一番実態を知り、補助金がなくなればどうなるかをよく知っているはずの自治体の環境部局の現場の声がまったく聞こえてこなかったことだ。
 ページトップ
page 2/4  1
2
34
前のページへ 次のページへ

Copyright (C) 2004 EIC NET. All rights reserved.