Aさん―同じ公務員でも国と地方じゃそんなに違うんですか。
H教授―もちろんだよ。これは特にスジワル案件に関してなんだけど、地方公務員は上に弱いって感じた。
Aさん―スジワル案件?
H教授―うん、常識的にいえば、法令、前例等からして、認めるのが困難なものの扱いだ。国では、バカな大臣がスジワルなことを言い出すと、次官、局長クラスが諌める、バカな局長がそれを阻止できず、課長クラスに命じると、今度は課長クラスが抵抗する。バカな課長がそれを受けて課に持って帰ると課内の実務部隊のブーイングにあう。そういう文化みたいなものがあるんだ。
Aさん―地方自治体は違うんですか。
H教授―上の言うことにはもっと従順だと感じたな。
Aさん―なんかもうひとつピンと来ないなあ。
H教授―あるとき、知事が側近に環境庁案件で、ポツンと「こういうふうにできないかなあ」と漏らしたことがある。で、側近から部長経由でボクのところに「知事の厳命が出たから、直ちに環境庁と交渉してこい」という連絡があった。
ところがこの話、どう考えてもスジワルなんだ。だから、ボクが知事に会って説明させてくれと言ったんだけど、ごちゃごちゃ言わずにさっさと上京しろって、こうなんだ。
Aさん―へえ、それでどうしたんですか。
H教授―仕方がないんで、別の緊急案件があるからって強引に知事に会い、その話の後、事情を説明し、到底ムリですって言ったら、「おお、そうか、それじゃ仕方ないなあ」で終わっちゃった。
Aさん―どういう案件だったんですか
H教授―ハハ、案件の中身は忘れちゃった。