環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第34講 「本時評の2年半を振り返る(その2)付:メディアの傲慢その他」
第33講 「本時評の2年半を振り返る(その1)付:コウノトリ放鳥その他」
第32講 「ミニミニアセスへの挑戦」
第31講 「アスベストのすべて」
H教授の環境行政時評第30講 「リサイクル戦線、浪高し」
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No. 第33講 「本時評の2年半を振り返る(その1)付:コウノトリ放鳥その他」
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Issued: 2005.10.05
H教授の環境行政時評 (第33講 その1)
小泉自民党圧勝とカトリーナ被災

Aさん―センセイ、総選挙でコイズミさんが予想以上の圧勝をしましたね。

H教授―ひとつは小選挙区制のマジックだけど、コイズミさんの強いリーダーシップでなら日本を変えてくれるかもしれないと思った国民が相当数いたんだろうねえ...。
確かに自民党の大票田だった特定郵便局を敵に回してまで、郵政民営化法案を進めようとしたのは事実だからなあ。

Aさん―でもコイズミ改革はパフォーマンスだけ、道路公団問題だって三位一体改革だって中途半端って評価じゃなかったですか。

H教授―それは事実だけど、党内力学から妥協を強いられただけで、コイズミさん自体はやる気だったと思うよ。そして郵政民営化はコイズミさんの執念。だから郵政問題を突破口にしたかったんだと思うし、その心意気が評価されたのかもしれない。
ただねえ、問題はどういう風に日本を変えるかなんだ。
コイズミ改革の向かう先は明らかに<競争社会>だね。そして勝ち組が社会を引っ張っていくことによって活性化させるというものだと思うよ。コイズミさんに拍手喝采を送った人たちがどう考えているかは知らないけど。

Aさん―つまり米国型社会ですね。でも、その暗部がハリケーン「カトリーナ」で露呈したんじゃないですか。

H教授―そう、貧者が取り残された。おまけに阪神淡路大震災やスマトラ沖の大津波のときと違って、被災地では略奪と暴行が横行したそうだ。そういう社会は人心も荒廃するんじゃないかな。

Aさん―でも、勝ち組ってほんの一握りでしょう。それで選挙で勝てるのかしら。

H教授―だれもが頑張れば勝ち組になれるって希望というか幻想を与えること、そして、もうひとつは負け組も含めて、統合の旗として<強い国家>を強調し、目を外に向けさせる。アメリカだったら9.11、アルカイダ、フセインってわけだ。ま、そういう目で靖国参拝問題なんかも見てみるんだな。

Aさん―でも、現に日本の借金は国・地方合わせて千兆円を越してしまったでしょう。「官から民へ」、「小さな政府」「自助努力」という方向自体は間違ってないんじゃないですか。

H教授―民主党も競い合ってそう言ってるね。だけど、公務員の数からすれば、今でも日本は十分以上に「小さい政府」だと思うな【1】
それでも、財政からいうと、支出を思いっきり切り詰めなきゃいけないし、一方で増収を図らねばならないのも事実だ。
ただなあ、公共事業削減や三位一体改革と言われているものは下手すると地方切捨て、弱者切捨てになってしまう。環境もそうだよね。公共事業削減は環境には一般的にはいいことだけど、それに代わる手立ても考えないと、農山村が荒廃しかねない。自助努力だけでなく、一方じゃ相互扶助とNGOの活動などを支援するシステムづくりが必要だろうし、地球温暖化問題や外交でブッシュさんに追随してしまうと大変なことになってしまうよ。

Aさん―増税も覚悟しなきゃいけないんですかねえ。

H教授―定率減税は廃止という話も出ているし、大増税時代がすぐそこまで来ているかもしれない。問題はだれに負担が厳しくなるかだよねえ。

Aさん―タバコなんて10倍以上増税すりゃいいんじゃないですか。そうすれば禁煙する人が増えて健康にも環境的にもいいですよ。ねっ、センセ(ニッコリ)。
【1】 「小さい政府」について
第11講その2「公務員の数が多いかどうかは国民あたりの公務員数で決る...」

H教授―(弱々しく)みんなが禁煙すれば税収増加にならないじゃないか。
ひとつアイデアがあるんだ。列車や飛行機は禁煙を原則とし、有料の喫煙室を併設っていうのはどうだい。海外旅行では機内で10時間以上も禁煙を強いられるとなりゃあ、喫煙室利用料に1万円ぐらい払う人もいるんじゃないか。で、その大半を税収にするんだ。
石油価格高騰 ―インフレの前触れか
Aさん―バカバカしい。
それより、さっき出たカトリーナの影響で、石油価格が高騰していますね。ガソリンも上がる一方だし。このままいくと一転して物価上昇、インフレになってしまうんじゃないですか。

H教授―カトリーナ以前からイラク問題などもあって原油価格は上昇気味だったけど、それが一気に加速された。資源枯渇がいよいよ現実のものになりつつあるのかどうかは知らないけど、一方じゃ、バイオディーゼルなど脱石油の動きも出てきているね。いずれにせよ超長期的には脱石油社会に向かわなければいけないんだから、いいことかもしれない。
ただハイパーインフレだけは勘弁してほしいね。
温暖化と自然災害

Aさん―ところでカトリーナや、九州・四国・中国地方で猛威を振るった台風14号、それにインドでも大型サイクロンが出現するなど、昔から較べて規模が大きくなっていませんか?

H教授―うん、海水温が高くなってるから、それだけ海面からの蒸発量も大きくなって大型化し、一方で北上しても水温低下が小さいからなかなか収まらないらしい。

Aさん―じゃ、やっぱり温暖化の影響ですか。

H教授―さあ、そこまではわからないけど、全く関係ないとは言えないんじゃないかな。ま、床屋政談はこのくらいにしておこう。
いずれにせよ年末の予算編成と税制──つまり炭素税がどうなるか、そして気候変動防止にかかる第二約束期間への対応をどうするかで、コイズミ政権の真価が問われることになるだろうな。ちなみに、ドイツやニュージーランドでも政権交代かどうかで国論が二分、いろんなところで世界は再び政治の季節を迎えているのかもしれない。
環境関係の話題では、ほかになんかあったか?
アスベスト問題補遺2
Aさん―やっぱり新聞では、アスベストオンリーですね。政府の対応では、アスベスト新法の骨子案が決まりました。労災で救われない被害者のための救済法で年内に細部を詰め、来年の通常国会で審議される見込みのようです【2】

H教授―いいことじゃないか。ただ、公共の施設でアスベストを使っていることがわかったからといって方々で使用禁止などの措置が取られているけど、一昔前に建てられた建物だったらアスベストを使っているのが当たり前なんだ。吹き付けたアスベストがむき出しになっていたりすれば、使用を休止し、濃度測定を行う。その結果異常な高濃度だったりすれば封じ込めや除去が必要だろうけど、ただの石綿スレートを使っていることがわかった程度だったら、そのまま使用を続け、念のため濃度測定を行うというのでいいと思うよ。
濃度測定して、一般環境と同レベルだというのがわかったのに、使用禁止にした例があるけど、一体、何を考えているのかねえ。
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【2】 
アスベスト問題に係る政府の対応について(環境省)
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