環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第37講 「新春呆談」
第36講 「本時評の2年半を振り返る(その4)付:2005年環境十大ニュース」
第35講 「本時評の2年半を振り返る(その3)付:アスベスト最前線その他」
第34講 「本時評の2年半を振り返る(その2)付:メディアの傲慢その他」
第33講 「本時評の2年半を振り返る(その1)付:コウノトリ放鳥その他」
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No. 第36講 「本時評の2年半を振り返る(その4)付:2005年環境十大ニュース」
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Issued: 2006.01.05
H教授の環境行政時評 (第36講 その1)

H教授―やあ、新年オメデトウ! 読者のみなさんもおめでとうございます。今年もこの凸凹コンビをご贔屓にお願いします。あっ、キミはもう卒業か。

Aさん―オメデトウございます。えー、卒業は延期することにしました。そうしないとセンセイ、ひとりぼっちになっちゃって可哀想でしょう。

H教授―修論が書けないとスナオに言やあいいじゃないか。

Aさん―へへ、まあいいじゃないですか。
ところで年末はニッポン列島は寒々と真っ白に染まっちゃいましたね。“地球温暖化”なんて、どこへ行っちゃったんでしょう。

H教授―温室効果ガスが増えると温暖化だけでなくさまざまな異常気象も起こりやすくなるそうだ。だから「温暖化防止枠組条約」と言わずに「気候変動枠組条約」というんだ。

Aさん―へえ、そうなんですか。

H教授―...じゃあないかと思うんだけどなあ。

Aさん―なあんだ、またハッタリか。
まあ、それにしても豪雪だけじゃなく、酷暑、台風、ハリケーンと、今年もいろいろとありましたもんねえ。
そうだ、昨年の環境十大ニュースを選びませんか【1】
環境十大ニュース2005

H教授―うーん、でもどこまでを環境ニュースっていうか難しいぜ。夏の総選挙でコイズミさんが圧勝したっていう話は直接的には環境ニュースとはいえないけど、今後の環境政策には大きな影響を与えかねない。

Aさん―いいんですよ、センセイとアタシが環境ニュースだと言えばそれで決まり。この時評は独断と偏見が「売り」じゃないですか。

H教授―そうか、じゃあキミから挙げてごらん。

Aさん―なんといっても一番はアスベスト問題でしょう。7月以降ニホンを震撼とさせましたもん。時評でも第31講から毎回取り上げてますし。

H教授―うん、今年もこの問題はつづくだろうなあ。数年前、ダイオキシン環境ホルモンが騒ぎになったけど、あちらは「一犬虚を吠ゆれば万犬実を伝う」みたいなところがあった。
それに比べりゃあ、アスベストのほうは現に多くの死者を出しているもんなあ。こちらのほうがより深刻な問題だ。

Aさん―は? “一見居を穂揺れば番堅術を使う?” ──どういうことですか?

H教授―「一犬虚を吠ゆえれば万犬」、まったくキミには知性のカケラも感じられないね、感じられるのは“痴性”だけ、...いや“稚性”かな。
【1】 環境十大ニュース2005
なお、EICネットの環境ニュース編集部特選「2005年環境重大ニュース(国内・海外編)」も、併せてご覧ください。
Pick Up!「2005年環境重大ニュース(国内・海外編)」

Aさん―春から言いたい放題ですねえ。そういうのを「弱い犬ほどよく吠える」っていうんですよ。イヌ年だからってムリに死語をひっぱってくるセンセイのほうがどうかしてますよ(と軽くいなす)。
十大ニュース、その2番目は2月の京都議定書発効でしょう。

H教授―関連するものとして4月に京都議定書目標達成計画【2】が閣議決定された。どこまで意味があるかわからないけど。

Aさん―そういう意味ではクールビズ【3】のほうが実効性があったかも。これが3つ目ですね。

H教授―昔、羽田内閣時代に省エネルック【4】というのを政府が提唱したけど、笛吹けども踊らずだった。そういう意味ではそれだけ環境問題の深刻さが市民レベルでも受け入れられてきたかもしれない。

Aさん―温暖化関連では12月のCOP/MOP1【5】の話が欠かせないですねえ。これが4番目、それから環境税がまたもや流産しましたけど、道路特定財源の一般財源化が決まったり、エネ特会と石油特会の統合方針が出されたりと、温暖化の財源対策のほうはなんとかなりそうな情勢になってきたじゃないですか。これが5番目。

H教授―おいおい、温暖化の話ばかりじゃないか。それに環境税の話は多分今年(2006年)も問題になるし、道路特定財源の一般財源化や使途の話の具体策は今年夏まで持ち越し。コイズミマジックがそこまで持つかどうかわからないぜ。

Aさん―じゃあ、6番目は温暖化を離れてフェロシルト事件【6】ですね。

H教授―うーん、とんでもない事件だったな。そのあと例の耐震設計偽造事件であまり目立たなくなったけど、こちらのほうも事件の構造をきちんと明らかにしてほしいね。
とんでもない事件といえば中国の松花江(ソンホワチアン)事件【7】。一個くらい海外の環境ニュースも入れておこう。大量のニトロベンゼンが流出し、ロシアまで影響が及んだ。大気汚染の越境移動はよく聞くけど、水のほうじゃ珍しい。

Aさん―8番目はオオクチバス特定外来生物指定を巡るドタバタ劇【8】かな。これには、センセイもひどい目にあってますもんねえ。

H教授―今度の卒論で、昔バス釣りにはまっていたゼミ生がこの問題を取り上げている。“好きこそ物の上手なれ”で、よくできた卒論だった。バス擁護派、なかでも原理主義者に読ませてやりたいよ。

Aさん―9番目、なにか明るいニュースでいきましょう。知床世界自然遺産登録【9】
【2】 京都議定書目標達成計画
第30講その4「温暖化対策最前線とデ・カップリング」
【3】 クールビズ
第30講その4「温暖化対策最前線とデ・カップリング」
【4】 省エネルック
はてなダイアリー「省エネルックとは?」
【5】 COP/MOP1
第35講その2「環境税と特会見直しと第二約束期間」
Pick Up!「COP/MOP1 モントリオール会議から(前編)」
同(後編)
【6】 フェロシルト事件
第35講その1「フェロシルト事件」
【7】 中国松花江事件
2005年11月、中国東北部の吉林省にある石油化学工場で相次いで大規模な爆発が発生。有害物質が黒竜江(アムール川)支流の松花江に流れ込み、水質が汚染された。この事故で、当初、中国地方政府の情報開示が後手に回り、影響が深刻化したとして批判された事件。
【8】 オオクチバスの特定外来生物指定を巡るドタバタ劇
第25講その4

H教授―ついでにラムサール湿地登録もセットでいこう【10】

Aさん―じゃあ、十大ニュースのトリは?

H教授―うーん、それは読者に選んでもらおう。なんかいっぱいあるぜ。
淀川水系着工済み5ダムも一部廃止や規模縮小に踏み出した。小田急訴訟では滅多にないことだけど、なんと最高裁が原告適格を幅広く認定した【11】。この2つはちょこっとしか新聞には出てなかったが、これは結構大きいよ。
愛知万博も話題を呼んだ【12】し、LOHASなんて耳慣れない言葉が輸入されて流行語になった【13】。そうそう、コウノトリ放鳥の話もあった【14】。容器リ法見直しの議論が行われている中で、レジ袋有料化という方針が出された【15】し、再資源化費用の負担を巡っての産業界の内ゲバが公然化した。また在日米軍再編問題が地元や自治体の頭越しに決着がついたみたいなんだけど、普天間基地や辺野古の問題が大きく転回しそうだ。
そうそう、もう一つ、身内のニュースみたいで恐縮だけど、環境省の地方支分部局として地方環境事務所が発足し、またアクティブ・レンジャーが誕生したことも忘れちゃあならない【16】

Aさん―環境問題に関連があったり、あるかもしれない一般ニュースもいっぱいありましたね。

H教授―うん、冒頭の異常気象の話だろう。それに、つい先日のニュースだけど日本の人口は減少をはじめた【17】。予想以上の早さだった。原油価格の高騰もあったし、エチゼンクラゲの異常発生もあった。米国産牛肉の輸入解禁も話題になった。昨年以上に問題になりそうなのは鳥インフルエンザだろう。スペイン風邪の再来じゃないかという話もある。
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【9】 知床の世界自然遺産登録
第27講その1「道東周遊随想―世界遺産登録と海域保護」
Pick Up!「世界自然遺産に登録された知床の課題」
【10】 ラムサール湿地登録
第35講その2「ラムサール条約登録湿地」
【11】 小田急訴訟
東京都世田谷区の小田急線複々線化に伴う高架化事業をめぐり、周辺住民40人が、都市計画法に基づく国の事業認可取り消しを求めた訴訟。最高裁判例は、小田急訴訟のような公共工事の事業認可を巡る訴訟では、原告適格は「事業地内の地権者に限られる」と厳しく限定してきたが、今年4月に施行された改正行政事件訴訟法で、原告適格の範囲を拡大する趣旨の規定などが新設された。これは、過去の解釈を改め「事業の実施により騒音、振動等による著しい健康・環境被害を直接的に受けるおそれのある者」にまで原告適格を広げたもので、同訴訟の最高裁判決では、全員の原告適格を否定した二審・東京高裁判決を覆して、37人について認めている。
【12】 
愛知万博
【13】 LOHAS
LOHAS: Lifestyles of Health and Sustainability
NPOローハスクラブ
【14】 コウノトリ放鳥
第33講その2「羽ばたけ、幸の鳥」
【15】 容器包装リサイクル法の見直しとレジ袋有料化
第30講その2「レジ袋有料化談義」
【16】 地方環境事務所
第34講その2「地方環境事務所のスタート」
【17】 日本の人口(推計)
厚生労働省 平成17年人口動態統計の年間推計
総務省統計局「人口推計のページ」
平成17年版少子化社会白書「人口減少が早まる可能性」
平成16年版少子化社会白書「(コラム)有史以来の日本の人口の変化」
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