環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第37講 「新春呆談」
第36講 「本時評の2年半を振り返る(その4)付:2005年環境十大ニュース」
第35講 「本時評の2年半を振り返る(その3)付:アスベスト最前線その他」
第34講 「本時評の2年半を振り返る(その2)付:メディアの傲慢その他」
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No. 第37講 「新春呆談」
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Issued: 2006.02.02
H教授の環境行政時評 (第37講 その1)
惨点セット ──耐震偽造、牛肉、そしてホリエモン逮捕!
Aさん―とうとう昨日、ホリエモンさんが逮捕されちゃいましたね。もうおしまいでしょう。

H教授―昔から違法すれすれの投機や詐欺みたいな手口で金儲けする連中はいたけど、世間では顰蹙を買っていた。それがITと結びつくと、なんとなく時代の寵児みたいに扱われてきたきらいがある。コイズミさんが選挙にかつぎだし、武部サンにしても竹中サンにしてもホリエモンを新時代の旗手だともてはやしちゃったもんな。
ま、ホヤホヤのニュースだから、もう少し様子を見てからものが言いたかったんだけど、ボクが気になるのは、ホリエモンだとかそのエピゴーネンみたいな連中ってのが、傲岸で怖いもの知らずの「恐るべき若者」なのか、それとも裏に外資系とかなんとかの黒幕みたいなのがいて、単なる猿回しのサルに過ぎないのかという点。そしてもう一つは、検察は淡々と違法行為を摘発しただけなのか、なんらかの政治的、社会的な意図があったのかという点だね。
ま、コイズミさんの“カイカク”とやらが、第二、第三のホリエモンを生み出さなきゃいいけどね。

Aさん―センセイ、ホリエモンさんが若いくせに途轍もないお金持ちで、しかもアイドルタレントと浮名を流しているから嫉妬してるんでしょう。

H教授―つまらん茶々を入れるな(図星を突かれて不機嫌に)。
とにかくライブドア=ホリエモン問題で前代未聞の東証ストップ。もう片一方の主役、耐震強度偽装事件【1】でも怪しげな人物が続々登場、政治家との癒着も明るみに出つつあって、これも大問題。さらに米国産牛肉の輸入を解禁したばかりだというのに、さっそく特定危険部位の背骨の混入が発覚してあっという間に輸入ストップに追い込まれた【2】
この惨点セットで、さしものコイズミ・フィーバーも陰りを見せてきたね。
郵政民営化会社発足【3】なんてニュースもすっかり霞んじゃった。

Aさん―ホント、年が明けてまだ一月だというのに、いろいろありますねえ。

H教授―うん、牛肉問題だけど、あれじゃほんとうに日本を舐めきってると思われても仕方ないよね。牛肉問題はここへ来て、リスク論の問題じゃなくて、日米関係いかにあるべきかという政治の問題になっちゃったね。
今のところ米国はやけに低姿勢だけど、そのうち居直るんじゃないか、心配だな。
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【1】 耐震強度偽装事件
耐震強度偽装事件[第35講(その1)]
【2】 米国産輸入牛肉の特定危険部位混入について
米国から到着したせき柱を含む子牛肉の確認について[厚生労働省]
特定危険部位の除去(食育大辞典)
特定危険部位のリスト:ヒトへの相対的リスク評価に用いる基本構想(1997年12月9日に承認された科学運営委員会の意見)
【3】 郵政民営化準備企画会社発足
郵政民営化[内閣官房郵政民営化推進室]
郵政民営化[総務省]
郵政民営化の基本方針[首相官邸]
豪雪

Aさん―それはそうと、センセイ、この冬は豪雪で大変ですねえ【4】。多くの地点で最大積雪量を記録したり、孤立した集落が出たりで。

H教授―うん、寒さの方も相当なもんだ。暖冬という予報はすっかり外れた。

Aさん―やっぱり温室効果ガスのせいなんですか?

H教授―さあ、北極振動指数がマイナスだとかいうのが原因だというけど【5】、問題はなんでマイナスになったかだよねえ。温室効果ガスの増加と関係あるという人もいるようだが、ボクにはよくわからない。
まあ、いずれにせよ気象予報【6】というのも一筋縄ではいかないねえ。

Aさん―雪かきや屋根の雪下ろしで多くの人が亡くなられました。

H教授―うん、謹んでお悔やみ申し上げよう。
山村には若者がいなくなりお年寄りだけというところが多いけど、雪かき・雪下ろしというのは重労働なんだ。ボランティアの希望者も多いらしいけど、ずぶの素人じゃあ難しいし、危険だからねえ。

Aさん―へえ、センセイ雪かきしたことあるんですか。

H教授―そりゃそうさ。もう40年近く前だけど、岐阜県の平湯温泉というところで中部山岳国立公園レンジャーとして二冬過ごした【7】。12月から3月まで雪に閉じ込められ、毎朝、新聞を取りに行くのにバスターミナルまでの200mをラッセル【8】しなくちゃいけなかった。時々、屋根からドサッと雪が落ちるのがおっかなくて、へっぴり腰で雪かきしたよ。

Aさん―自治体も除雪の予算をすでに使い果たしたようですねえ。

H教授―うん、先日ある自治体の人が来てぼやいていた。自治体じゃあ、建築確認の部局は、例の姉歯・耐震強度偽装事件で大変らしいし、アスベスト問題でもそうらしい。豪雪でもそうだよねえ。
政府も自民党も民主党も、総論では小さな政府、小さい政府って騒いでいるけど、各論になると、途端にあれもこれもとなって、もうへとへとだと言ってた。
だいたい日本は役人の人数だけから言えば世界きっての小さな政府なんだ。これ以上、“小さな政府”ったってムリだよ。
【4】 豪雪
豪雪情報[長野県]
防災情報>豪雪関連情報[新潟県]
豪雪に関する情報[新潟県]
日本海側各地豪雪・災害情報[全国社会福祉協議会]
【5】 北極振動と温暖化
異常気象をもたらす北極振動の謎[地球環境フロンティア研究センター]
異常気象レポート2005 本文 > 1.7.2 北極振動(AO)と北大西洋振動(NAO)[気象庁]
【6】 気象予報
季節予報について(発表日、予報の種類と内容、季節予報の上手な利用法など)[気象庁]
【7】 平湯温泉レンジャー記
レンジャー私史[第7講(その3)]
【8】 ラッセル
登山用語・鉄道用語で、雪を掻くこと。線路や道路上に積もった雪を除去する、雪かき車(ラッセル車)を開発した米国のラッセル社(開発者の名でもある)より派生。海外では通用しない、和製英語の一例。

Aさん―ところで今年の環境行政の見所はなんですか。
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温暖化問題の行方
H教授―第一は、やはり温暖化問題だろうなあ。第一約束期間はもう目前だけど、京都議定書の削減目標達成に向けてどういう新たな対策が取れるか、第二約束期間に向けての対話がどうなるか、第二約束期間の日本の対応はどうするのか、それから自主参加の排出量取引のモデル制度はきちんと機能するのか。問題は山積みだねえ。

Aさん―やはり日本のスタンスには、ブッシュさんの意向が大きく影響するんですかねえ。

H教授―はは、まさか。いくらコイズミさんでもそんなことはないさ。産業界や一部の省庁では米国の反温暖化対策に期待している向きがあるかもしれないけどね。
でも、米国の底流をよく読まず、いつまでもブッシュ政権頼みだと、ダメだと思うよ。ブッシュさんはレイムダック化しつつあるという話もあるし、米上院でもかつては京都議定書批准反対というバード決議が満場一致で可決されたが、最近では温室効果ガス排出抑制を求める超党派のビンガマン・ドメニチ決議が昨年6月に可決された【9】。州や自治体でも動きつつあるんだ。

Aさん環境税はどうなるんでしょうか【10】

H教授―ポスト・コイズミ次第じゃないの。その前に例の道路特定財源の一般財源化だとかの特会問題【11】がきちんとケリをつけられるかだね。

Aさん―でも、なんだかんだいってもコイズミさんって人気あるし、支持率も高いじゃないですか。ほんとうに続投はないんですか。
【9】 ビンガマン・ドメニチ決議
Pick Up!『COP/MOP1 モントリオール会議から(後編)』
【10】 環境税についての動向
これまで本講で取り上げてきた話題:
温暖化対策税の在り方を巡って[第9講(その3)]
環境税と特会見直しと第二約束期間[第35講(その2)]
環境関連税制[環境省]
環境税(温暖化対策税制)について[環境省]
【11】 特会問題
環境税と特会見直しと第二約束期間[第35講(その2)]
環境税と特会見直し[第34講(その2)]

H教授―ないと思うよ。現在の財政赤字状態からいって、次期内閣は消費税増税問題に直面するのは必至だろう。だからこそ続投したくないんじゃないの。ま、次期内閣がいやなこと──消費税増税── を片付けてくれて、それで不人気になって退陣したあとカムバックという話はあるかもしれないけど。これは大学で同級だったクリシン(栗本慎一郎)の説だけど、さもありなんという気がしないでもない。ま、それもコイズミ・フィーバーが続けばの話だけどね。

Aさん―週刊誌情報ですね。そういえばセンセイ、いつだったか立ち読みしてましたね。
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