環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第42講「キョージュ、今国会での成立法案を論じる」
第41講 「エコツーリズム推進法案と国立公園」
第40講「50年、過去と未来 付:第三次環境基本計画」
第39講「PSE法騒動やぶにらみー付:プルサーマル&水俣病再説」
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No. 第41講 「エコツーリズム推進法案と国立公園」
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Issued: 2006.06.02
H教授の環境行政時評(第41講 その1)
社会保険事務所不正事件を斬る

Aさん―センセイ、各地の社会保険事務局が組織ぐるみでヒドイ不正事件を起こしたって、大騒ぎになってますね。
社会保険庁の長官はまったく知らなかったって国会で答弁してますけど、本当ですかねえ。

H教授―さあなあ、本当だとしたらお粗末だと言われても仕方がないね。
でもこの事件、ま、違法行為に違いないけど、この場合の被害者は誰なんだ。

Aさん―(口ごもる)えーと、誰になるのかな。

H教授―年金の受給資格のない人に受給させたり、受給資格のある人に受給させなかったりしたら大問題だろう。また年金保険料の支払い義務のある人を免除したり、支払い義務のない人に支払わせたりしていたら糾弾するのも当然だろう。
だけど、今回の場合、被害者はいないんだ。保険料未払いの人のうち、もともと申請したら支払いが免除される人の手続きを代行したにすぎない。なんとも親切な役所じゃないか。

Aさん―じゃセンセイは問題ないと?

H教授―見掛け上の納付率は上がるし、一石二鳥だと思ったんだろう。資格があってもわざわざ申請しなければ免除されないような法律の仕組みに問題があるんだ。騒ぐんだったらそっちの方だろう。
それに、鳴り物入りで損保ジャパンの副社長を社会保険庁の長官として迎え入れたんだけど、先日発覚したその損保ジャパンの保険金未払い事件なんて、れっきとした被害者がいる悪質な犯罪で、元副社長としての責任追及がなされるべきじゃないかな。
社会保険事務局は税金の無駄遣いをしたり、横領したわけじゃないんだからそんなに騒ぎ立てる方がおかしい。マスコミもいい加減にしてほしいよね。

Aさん―お、センセイ、今日はのっけからマスコミに挑戦的ですね。
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公益法人と随意契約再論

H教授―マスコミといえば、先日上京した時にいろんな人に会ってきたんだけど、例のNHKが騒ぎ出した随意契約の件で、公益法人は戦々恐々としているし、各省は財務省の指示待ちでおどおどしているということだった。でもねえ、随意契約で公益法人が甘い汁を吸って、ろくでもない仕事しかしていなかったり、仕事もしないで高給をとっている天下りがいるんなら、その団体や認可省庁を叩けばいいんだ。

Aさん―環境省関係の公益法人は、センセイのみたところどうなんですか。

H教授―全部を知ってるわけじゃないけど、よくやってると思うな。
何しろ環境省は仕事量も多いのに拘わらず予算と人が少ないのだから、環境行政の円滑な推進のためには仕事の一部を外部に委託するのもやむを得ないところだと思うよ。その委託先が環境省の認可した公益法人だったということなんだが、民間企業に頼めば高くて環境省の予算では賄いきれないというのが実情だし、競争入札は随意契約に比べれば、はるかに事務的な時間と労力を要するからね。
だから日頃から自分たちの仕事をよく理解していて、確実な仕事を安くやってくれるところに頼むのは当たり前の話じゃないかな。これが随契の実態なんだが、随契イコール悪というのは短絡的すぎる考えだよ。

Aさん―でもそれって、センセイの身贔屓だと思われちゃいますよ。本当かどうか国民の目にはわからないじゃないですか。

H教授―うん、だからこそ、ボクの言ってることが本当かどうかを検証するための仕組みをつくり、それをオープンにすることこそが重要なんだ。

Aさん―そういえば騒いでいるのはNHKだけで、ほかのマスコミは何も言わないですね。

H教授―そりゃそうさ、実態を知れば、随意契約が悪だなんて一概には言えないのを各紙はみな知ってるんだと思うよ。
「NHKエンタープライズ」って会社がある。大株主はNHKだ。特殊法人であるNHKの委託で番組なんかを制作している株式会社だけど、NHKは委託のとき競争入札をしているのかなあー?

Aさん―そりゃしていないでしょう。だって、番組制作のために作った子会社なんですもの。

H教授―財源が税金でなく、われわれの支払った受信料というだけで、役所のつくった公益法人と構図はまったく同じじゃないか。問題は、NHKエンタープライズが適正な委託料でマトモな番組を作っているかどうかで、随意契約かどうかが問題じゃないはずだ。

Aさん―でも公益法人の天下り役人ってスッゴイ高給とって、ろくな仕事もせずにぶらぶらしてて、何年かしたら、高い退職金貰っては次のところへ行くんでしょう。確か「渡り鳥」とかなんとか言うんじゃなかったんですか。
週に1〜2回出勤してくるだけなのに、専用車と運転手がいるんだって話を聞いたことありますよ。

H教授―個別にチェックして、この時代に今でもそんなことをしているところがあれば、そこを糾弾すればいいんだ。確かに超特権官僚に関しては、昔はそういうことは一部にあったようだ。でも、環境省関係ではそれほどひどくはなかったし、今じゃ環境省関係でそんなことをしているところなんて、とっくにないはずだ。他の省庁は知らないけど。
それにボクらのレベルだと、後進に道を譲るって大義名分で、50を過ぎると「天下り」させられた。給料は現役時代よりダウンするのが普通で、仕事量はまったく減らず、なにが「天下り」だって感じだったよ。今じゃあ、それさえも難しくなったけどね。

Aさん―あ、そうか。センセイも「天下りキョージュ」なんだ。

H教授―ボクの場合は、大学から請われて来たんだ。

Aさん―へえ、センセイにと名指しで大学から話があったんですか。

H教授―…ま、確かにボクが名指しされたわけじゃあないけどね。それにボクだって給料は下がった。しかも大学に来てから休講はほとんどしていないぞ。学生からみると一番マジメなキョージュじゃないかな。

Aさん―そんなに汗を拭き拭き弁解しなくていいですよ。

H教授―うるさい。
さっきのNHKエンタープライズだけど、調べたわけじゃないけど、ボクの勘じゃあ絶対、NHKからの天下り役職員がいると思うよ。だけどそんなことは問題じゃないんだ。その天下りが社会的に非常識な高給をとっていないか、給料に見合う仕事をしているかってことなんだ。
そりゃあ、昔の特権官僚の「渡り鳥」っていうのはひどかったけど、民間だってひどかったんだ。銀行の頭取経験者は80過ぎまで全員相談役に居座り、週に1〜2度お茶を飲みに来るだけで、年収何千万円。広い個室はもちろんのこと、運転手付き専用車もあったという話だ。

Aさん―「金融腐食列島」(高杉良)の世界ですね。

H教授―う、キミも読んだのか。
ま、それはともかくとして、随意契約を問答無用で全廃し、全てを競争入札にするなんてことをしたら、質をどうやって確保するのかなど、いろんな問題が出てくる。コイズミさんならやりかねないって気がしないわけじゃないけど、ボクはそれは決していいことだとは思わない。盥の水とともに赤子まで流しちゃあいけないんだ。
繰り返すようだけど、役所の契約に関して言えば、要は透明性を高め、税金の使用効率を高めることだ。議論を深めて、国民の納得できる方式を考え出してほしいな。

註:この会話の2日後、新聞によると財務大臣は、今後、政府の契約は原則公募とするよう各省に指示したそうだ。もはや賽は投げられたのか。(H教授)
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