Aさん―は〜い。こちらは京都メカニズムのスムーズな活用を推進させるための規定を整備する改正ですね。CDM(クリーン開発メカニズム)、JI(共同実施)、排出量取引で民間が取得した「排出削減したとみなされる量」を、国際的にはクレジットと呼んでいます。
そのクレジットをこの法律では「算定割当量」とし、国はこの算定割当量口座簿をつくって、これにより算定割当量の取得、保有、移転を行うための口座を開設します。
算定割当量口座簿では国の口座と民間も法人ごとの口座があります。法人が口座を開設しようとする場合には…。えーい、なんだかよくわからなくなっちゃった。
H教授―はは、ボクもよくわからないよ。国会議員もこの仕組みがきちっと理解できたかどうか。要は、このクレジットをきっちりと管理できる仕組みを作ろうということだろう。
もともと京都メカニズムへの参加資格として、「国別登録簿」という国として排出枠の移転や獲得などを管理するための記録簿の整備が義務付けられている。そのための国内法整備として、温暖化対策法を改正したんだ。
改正法でいう「算定割当量口座簿」が、「国別登録簿」に相当するんだろう。
それよりも京都メカニズムそのものをきちんと理解しておくことのほうが大切だ。CDMっていうのは?
Aさん―途上国に対して資金・技術援助を行い、GHG(温室効果ガス)が削減できた場合はその削減量がクレジットとして援助国に与えられるということで、そのための認証をCDM理事会という国際機関が行うんです…よね。
H教授―うん、実際には理事会が指定するDOE(指定運営機関)に任せられているんだけどね。旧式の火力発電所を最新鋭の発電所に建て替えるときなんかは現実に排出量が削減されるんだからわかりやすい。
じゃあ、未電化地域に先進国が援助して新たに最新鋭の火力発電所を建てる場合はどうなる? この場合はGHGは増加するよね。とするとCDMとしては認められないの?
Aさん―そりゃそうでしょう。増加するんだもの。