環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第45講 「安倍新内閣発足と日本の超長期ビジョン」
第44講 「夏の夜の四方山話―附:富栄養化断章」
第43講 「拡大ミティゲーション論」
第42講「キョージュ、今国会での成立法案を論じる」
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No. 第44講 「夏の夜の四方山話―附:富栄養化断章」
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Issued: 2006.09.07
H教授の環境行政時評(第44講 その1)
イメージキャラクター人選考

Aさん―センセイ、豪雨、長雨に祟られたかと思ったら、今度はとんでもない猛暑ですね。もうなにもする気がなくなっちゃう!

H教授―若いのに何を言ってるんだ。甲子園の球児をみろ。

Aさん―いやあ、あれはすごかったですね。もうホント感激しました。F4もいいけど、斎藤クンや田中クン、ほんと素敵だった【1】。でも、センセイ、高校野球なんてあまり関心がなかったんじゃないですか。

H教授―まあ、今だってほとんど関心がないし、決勝戦や再決勝戦だってテレビでサワリの部分をつまみ見しただけだ。でも、亀田兄弟のボクシングに較べるとホント爽やかだね。

Aさん―ああ、あれはひどかったですね。特に長兄のコーキくん、いくらホームタウンデシジョンったってひどすぎるともっぱらの評判ですもんね。

H教授―ある程度のホームタウンデシジョンが当たり前というんだったら、もはやスポーツとは言えないね。
あの試合が八百長か片八百長か、許容範囲のホームタウンデシジョンか、それともごく真っ当な試合でWBAルールで公正な判定なのかは知らないが、もし万一公正な判定だったとしても、なぜネットであんなブーイングが起きたのか、関係者はよく考えてみる必要がある。

Aさん―普段の言動や態度が悪すぎると言うんでしょう。でもあれはパフォーマンスで、本当はそうじゃないという話もちらっと聞いたことありますけど。
【1】 甲子園2006 第88回全国高校野球選手権大会[NHK]
 斎藤クン…2006年大会で夏の甲子園初優勝を果たした早稲田実業高校のエース。駒大苫小牧高校との決勝戦では、延長15回を完投し1-1の引き分けで37年ぶり2回目の決勝再試合となる。4連投となった翌日の再試合でも118球を投げ抜き完投、4-3の勝利に貢献した。熱投と、マウンド上で青いタオルハンカチで汗をぬぐう行為が注目を集め、「ハンカチ王子」と呼ばれ人気者に。
 田中クン…同大会で準優勝した駒大苫小牧高校のエース。同校は、夏の甲子園大会で2004年〜2005年に大会史上6校目となる2連覇を57年ぶりに達成した。3連覇をねらった2006年夏の大会決勝では、早実との熱戦が延長15回1-1の引き分けで37年ぶり2回目の決勝再試合となる。翌日の再試合では、3-4で敗れ、涙をのんだ。
甲子園2006 第88回全国高校野球選手権大会[NHK]

H教授―そんなことは関係ないよ。一般人はブラウン管を通してしか見ないんだから、あれを地と思って当然だろう。そしてそれは極めて不愉快だと感じる人が少なくないことを知っておくべきだ。

Aさん―そうですねえ。だからパレードも中止になったし、あまりのブーイングにスポンサーも一部では手を引き出したなんて話もありますねえ。

H教授―うん、三権分立と言うけど、もう随分前からマスコミは第四の権力と言われている。アスベスト問題や例の随意契約問題なんかを見ていると、もはや第一の権力という感じさえする。
マスコミの横暴を叩くのは週刊誌やミニコミだけで、それも負け犬の遠吠えという感じがしないでもなかったけど、今度の亀田事件を見ていると、ネット大衆がそれに拮抗しうる時代になったんだと思った。

Aさん―いいことじゃないですか。

H教授―そうとばかりは言えない。ブーイングの中には露骨な民族差別の書き込みも散見される。テレビ局サイドの「工作員」が亀田バッシングを装って亀田批判派の信用失墜を図っているという見方もできるけど、それがすべてというわけでもないだろう。
コイズミさんの靖国参拝を無条件で賛美する庶民レベルでの愚かなナショナリズムの発露という面も持っているんじゃないかと思う。
匿名民主主義はそうした危険を伴うということも忘れてはならない。ヤフーの温暖化掲示板を見ていると結構露骨な本音が出ていて、ギクッとするよ。

Aさん―ところで、その亀田コーキくんが環境省の「ストップや、レジ袋!」キャンペーンのイメージキャラクターなんですってね【2】。驚いちゃった。

H教授―意外性を狙ったのか、小池大臣が大ファンなのか知らないけど、あれほど国民的好感度の低い人物を起用したのは逆効果。ミスキャストというしかないんじゃないかなあ。ちょっとセンスを疑っちゃうねえ。
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【2】 「ストップや、レジ袋!」キャンペーン
レジ袋削減キャンペーン[環境省]
亀田興毅選手と連携した「STOPや!レジ袋」キャンペーン開始![チームマイナス6%]
長野知事選
Aさん―センセイにしちゃ珍しくスポーツネタで引っ張りましたね。さ、他の話題に行きましょう。
長野知事選で田中サンが負けましたねえ【3】

H教授―うん、あまりにも個性的すぎて鼻についてきたというか、これ以上ついていけないと思ったんだろうなあ。でも、徹底的に旧社会を壊してしまったから、かつてのような官僚独裁と公共事業バンザイ路線にはもう戻れないと思うよ。
ところであの田中サン、昔結婚してたんだけどそのお相手は環境庁のアルバイトの女性だったという話だ。

Aさん―ウッソー、ホント? センセイその人、知ってるんですか。

H教授―知らない。環境庁の分室みたいなところだったらしいから、ほとんどの人は知らなかったようだ。ただ当時の週刊誌にはそう書かれてた。
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【3】 長野県県知事選挙
H18.8.6執行 長野県知事選挙 開票結果[長野県]
同 投票結果[長野県]
ウラガネ問題再考
Aさん―その長野の隣県、岐阜県がウラガネ問題で揉めてますねえ。

H教授―うん、94年度だけで各課が捻り出したウラガネの総額は4億6千万円以上で、半分以上を職員組合の口座に移したそうだ。その処理に当たった当時の副知事は知事に了解をもらったと言い、知事は知らなかったと責任の擦り合いだ。

Aさん―岐阜県だけなんですか。

H教授―正直言えば90年代の前半までは全都道府県でウラガネをつくっていたんじゃないかな。
うち半分の自治体ではすでに表沙汰になり、管理職が毎月の給料から一定額を出して補填しているところもある。
ボクの後輩がある県に管理職で出向したら、毎月2万円を負担させられ、「ボクはまったくなんの恩恵もこうむってないのに」とぼやいてた。
問題は半分の都道府県がそういう過去の不正執行を依然として否認し続けていて、岐阜県もそのひとつだったのが、十年後に露見したというわけだ。

Aさん―自治体ってヒドイじゃないですか。

H教授―自治体だけじゃないさ。環境庁だってやっていた。それが80年頃に発覚して、いちはやくウラガネづくりはやめた。他の中央省庁でもほとんどは90年前後にウラガネづくりをやめたはずだけど、出先機関ではその後も続けていたところが結構あったみたいだ。自浄能力の働きにくい警察や検察では、つい最近まで続けていたという話もある。

Aさん―腐ってますねえ。
H教授―第24講その2でも言ったけど【4】、もともと日本は贈答文化の国で、民間でも80年代までは接待費で相当無茶な使い方をしていたんだ。そうした世の中で官庁だけが例外ってわけにはいかない。
一方、公費の執行は建前通りで融通が利かないってことで、ウラガネという発想が出てきたんだろう。
自治体だったら上級官庁の接待、中央省庁だったらほとんど毎夜遅くまで残業しているのに残業手当は打ち切りだから、夜食くらいは出してやろうとかタクシー券を配ってやるとか、ある意味、やむをえない経費をウラガネなんかで出していたんだと思うよ。
ただウラガネはオープンにできないから、ついつい一部で行き過ぎも出てきてしまう。
バブル崩壊以降、社会は大きく変わり、民間でも接待費などを切り詰めていく中で、いつまでもそれまでのやり方を続けてきたから、指弾を浴びたんだ。
90年代に入ってから時代が変わったんだよ。そしてその中で悲劇も生まれた。ボクなんかその最たるものだ。

Aさん―へ? センセイが? 一体なにがあったんですか。

H教授―うん、ボクは95年度末に退職したんだ。役人世界ではそういうとき、退職記念品代という奉加帳を回すんだ。
もちろん自由意志でということになっているんだけど、顔なじみの退職者ひとりに対してぺいぺいのときは1,000円、管理職になると5,000円とか、一応の相場も決まっている。最後の5〜6年はボクもそういう奉加帳の発起人に名を連ねてたんだ。だから転勤シーズンはウン万円が消えて、結構大変だった。
29年間の役人生活で100万円以上は出したんじゃないかな。ま、でもそういうのは自分がやめるときに回収できると思ってたんだ。
ところが95年、突然レンジャー世界ではそういう古臭い慣習はやめようということになった。
おまけにその慣習をやめたのはレンジャー世界だけ。ぼくはレンジャー世界の人間だけど、後半はよその世界をずうっと回ってた人間だから、ぼくが退職するときもよその世界の人間には何万円か払った。
庶務がレンジャー以外の世界の人たちにだけでも奉加帳を回しましょうかと言ってくれたけど、武士は食わねど高楊枝。「やめてくれ」と言って、やめさせた。でも悲しかったなあ。
【4】 日本の贈答文化について
「脱線 ―ウラガネ考」(第24講(その2))

Aさん―(にやにやして)ご愁傷さまだったですねえ。
(小さく)センセイが退職すると知って、急遽そういうふうにしたんだ。人望がないだけじゃなく、きっと恨みを買っていたんだ。情けは人のためならずか…。

H教授―え? なんだって?

Aさん―いえいえ、なんでもありませんよ。
ウラガネなんかは、よく“組織の潤滑油”って言い方をしてましたよね。今はどうなってるんですか?

H教授―みごとに潤滑油はゼロみたいだよ。仕事熱心な役人は自腹を切るしかない。本当は潤滑油的な、社会的にも許容できるような経費はきちんと予算化してオープンにすればいいと思うんだけどなあ。
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