環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第45講 「安倍新内閣発足と日本の超長期ビジョン」
第44講 「夏の夜の四方山話―附:富栄養化断章」
第43講 「拡大ミティゲーション論」
第42講「キョージュ、今国会での成立法案を論じる」
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No. 第44講 「夏の夜の四方山話―附:富栄養化断章」
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Issued: 2006.09.07
H教授の環境行政時評(第44講 その3)
苦戦するコーベ空港

Aさん―ま、そういう話はその程度にして、最近の環境関連の話題に行きましょう。
まずは神戸空港ですが、当初は順調だったものの、搭乗率は急激にダウンしたそうですね【10】

H教授―開港時の2月に76%だった搭乗率が、7月は55%まで落ち込んでいる。年間利用者数が当初予測―というか願望―の319万人を大きく落ち込むことは確実だね。
多分予測数字にはそれなりにもっともらしいシミュレーションをしたんだろうけど、庶民的直感の方がどうやら正しそうだ。
でもねえ、悪いことばっかりじゃない。分譲予定の埋立地がほとんど売れなかったおかげで、今や野鳥の憩いの場になっているそうだ。絶滅危惧種の野鳥もいるそうだから、鳥にとってはいいことだ。随分高くついた憩いの場だけどね(乾いた笑い)。

Aさん―もうセンセイったら、なんだか喜んでるみたいで嫌らしいですよ。

H教授―別に喜んじゃいないけど、その教訓を一向に学ぼうとしない首長サンや議員サンが未だ多すぎるよね。巨大ハコモノをつくるのには熱心だけど、一方じゃ福祉だとか教育だとかは締め付けてわずかな予算をケチろうとするから情けない。
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【10】 
神戸空港利用状況(2/16〜7/末)
外来生物とペット

Aさん―(無視して)セイヨウオオマルハナバチなどが特定外来生物に指定され、告示されましたね【11】

H教授―いいことだと思うけど、一方じゃ巨大なヘラクレスカブトムシだとかカメ類や爬虫類の外来種が輸入され、ペットとして販売されていても、特定外来生物以外なんの規制もされていない。石垣島ではペットとして飼われたオオトカゲ(イグアナ)が捨てられ、野生化して繁殖しているなんてテレビ番組もあった。
発想を逆転させる必要があるんじゃないかと思っちゃうね。特定の種を規制して他は原則フリーじゃなくて、原則禁止で特定の種だけの輸入を認めるようにする必要があるかもしれない。
動物愛護管理法と連携をとって、ある程度の大きさのペットや外来動物については誰が購入者か記録しておく義務とか個別・個体にマーキングをするなどの方法を検討すべきじゃないかな。
それに、ペットや外来動物の廃棄に対しては動物愛護管理法の規程はあるけど、これは動物愛護の観点からなんだ。在来の生態系を守るという観点からの規制や罰則も考えないといけないんじゃないかな。

Aさん―ペットを飼うんなら最後まで責任を持って飼うべきですよねえ。
ミオちゃんもきちんと最後まで面倒をみてあげなくちゃあダメですよ。
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【11】 セイヨウオオマルハナバチなどの特定外来生物指定について
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づく特定外来生物の飼養等の取扱細目等の改正に係るパブリックコメントの結果について(平成18年8月22日環境省報道発表)
特定外来生物等の選定について[環境省自然環境局]
異常人格の作家
H教授―当たり前じゃないか。キミの面倒を見る気はさらさらないが、ミオはボクの命だもの。
…それにしても、坂東真砂子ってのはひどいねえ。

Aさん―え? 直木賞をとったホラー作家ですね。彼女がどうかしたんですか。

H教授―つい先日、とある人気ブログで知ったんだけど、彼女は日経新聞にエッセイを連載しているらしいんだ。そこにとんでもないことを書いていたらしく、人非人として徹底的に糾弾されていた。朝日新聞にもその話題が出ていた。

Aさん―へえ、なにを書いたんですか。

H教授―彼女は税金の高い日本を逃れて…かどうか知らないけど、タヒチ島に住んでいて、猫3匹と犬3匹を飼っているらしい。うち5匹がメスなんだそうだけど、避妊手術をしていないんだって。

Aさん―じゃ、生まれた子猫や子犬は全部育てるんですか、それとも里親探し?

H教授―いや、生まれた子猫、多分子犬もそうだと思うけど、その都度裏のガケから投げ落とすんだと。

Aさん―な、なんですって! どういう理屈なんですか。

H教授―避妊手術する権利は人間にない。犬猫は自分の生をまっとうすべきで、そんなことをしちゃいけないそうだ。で、結果として産まれたものをそのままにして野良猫・野良犬になって社会に迷惑かけちゃいけないから、社会への責任として犬猫殺しを自分が引き受けているんだと。

Aさん―そ、そんな馬鹿な! じゃ、飼わなければいいじゃない、そんな人はペットを飼っちゃいけないよ!!

H教授―人間の場合を考えてみればいい。避妊も中絶もそりゃ生物としては不自然だよ。だけど嬰児殺しするくらいだったら中絶すべきだし、中絶よりはあらかじめ避妊すべきだと考えるのはフツーの人間だと思う。はっきりいって狂ってるね。

Aさん―で、そんなことを平然と全国紙に書いているんですか。

H教授―うん、確信犯としてね。で非難轟々らしいんだけど、そんな記事を載せる日経も日経だと思うよ。
タヒチって仏領なんだよね。フランスの動物愛護に関する法律は厳しいから実刑に相当するはずなんだけど、適用できないのかな。
環境省も日経と坂東真砂子に抗議か勧告かすべきじゃないかと思うよ。表現の自由との兼ね合いが難しいけど。
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富栄養化断章
Aさん―さ、ぼちぼち本論にいきましょうか。今日は何のテーマで行きますか。

H教授―夏休みだから四方山話でいいじゃないか。

Aさん―ダメです。斎藤クンや田中クンがあれだけ頑張ったんですよ。センセイも少しは見習ってください。

H教授―わかった、わかった。じゃ、今は夏だから夏にふさわしく富栄養化の話でもしようか。キミの方から簡単に富栄養化問題を説明してごらん。

Aさん―なんか平凡なテーマだなあ。
(渋々)窒素(N)や燐(P)などの栄養塩が多くなると、それを栄養分として暖かい季節に植物プランクトンが異常発生することがあります。これが赤潮です。
内海内湾や湖などの閉鎖性水域で起きやすく、プランクトンの種類によっては魚や貝にとって毒になることがあり、漁業被害をもたらすことがあります。湖のアオコも異常発生したプランクトンの一種で、異臭がしたりして飲料水源にならなくなることがあります。
赤潮プランクトンはやがて死んで沈降していき、下層でバクテリアが分解しますがそのとき水中の酸素を消費します。暖かい時期ですから、上層の暖水と下層の冷水に分離して水は混合せず、下層では酸素がほとんどない貧酸素水塊とか無酸素水塊とか言われるものができ、生態系に大きな悪影響を与えます。
また東京湾などではこの無酸素水塊が嫌気性環境の中で生じた硫化水素とともに湧昇することがあり、その独特の色から青潮と呼ばれます。
また栄養塩が多い水域ではプランクトンの発生も多く、プランクトンやその死骸は環境基準項目であるCODとしてカウントされます。これを内部生産CODといい、環境基準達成率が上昇しない原因にもなっています。
このように富栄養化に伴う悪影響を防止するためにチッソ、リンの負荷削減が必要で、必要な水域では環境基準が制定され排出規制もなされています。

H教授―うん、まあそんなところかな。富栄養化対策と言えば、NP規制だね。NP規制が他の汚染物質規制と違うところは?

Aさん―え? なんだろう…。

H教授―富栄養化というコトバはもともと湖沼用語なんだ。
栄養塩の少ない湖を貧栄養湖といい、水は澄んでいるけど、植物プランクトンが少ないから、それを餌とする動物プランクトンやその動物プランクトンを食べる魚も少ない。
富栄養湖では、水は濁っているけど、プランクトンや魚類も豊富な生産性の高い湖なんだ。そして自然の摂理で貧栄養湖もやがては枯葉などが流入分解し、NやPなどの栄養塩が増えて富栄養湖になっていく。
つまり富栄養化は自然現象であり、悪いことでもなんでもないし、一定程度の栄養塩は必要なんだ。

Aさん―じゃ、なんで富栄養化、富栄養化って騒ぐんですか。

H教授―今起きているのは人為で過度のNPが流入し、過栄養化現象みたいなことが起きることなんだ。
赤潮そのものだって自然現象として大昔から知られている。
それが人為でもって赤潮が多発し、また単純な夜光虫の赤潮だけじゃなく、昔は知られていなかったような各種のプランクトンが異常発生するようになったから問題なんだ。
つまり、NやPの規制は他の汚染物質とちがって最終ゴールはゼロじゃないんだ。
逆に栄養塩不足で海苔の色が落ちるんじゃないかという話もある。

Aさん―はあ。
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