環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第49講「IPCC第四次報告書と生物多様性保全」
第48講「2006年の総括と2007年の展望 ―附:ハワイ秘話」
第47講「秋の夜の環境冗話 ―COP12、大阪湾青潮、読者のお便りを巡って」
第46講「動物愛護とミティゲーション」
第45講 「安倍新内閣発足と日本の超長期ビジョン」
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No. 第48講「2006年の総括と2007年の展望 ―附:ハワイ秘話」
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Issued: 2007.01.11
H教授の環境行政時評(第48講 その3)
水俣病50年と漂流・漂着ごみ

Aさん―あとEICネット編集部の挙げたもので、何かコメントありますか。

H教授―国内第5位の「水俣病公式確認から50年」については、第39講(その4)で論じた【13】。その後、与党プロジェクトチームが未認定患者の救済に関して、今夏の「全面解決」を目指して検討を続けてきたが、ここにきて、すべての未認定患者の賛意を得る解決策の提示は断念したという新聞の記事が出ていた。

Aさん―やはり水俣病病像論に踏み込まないでの全面救済はムリがあるんでしょうね。

H教授―そうだろうな。あと第7位の漂流・漂着ごみ問題は、今年中に決着をつけてほしいね。

Aさん―どういうことなんですか。

H教授―海岸を歩けばわかるけど、打ちあげられたごみがいっぱいあるし、海底にもたまっている。その処理責任がどこにあるかという話だ。

Aさん―法的にはどうなんですか。

H教授―そんなものは簡単、捨てたものの責任だ。だけど誰がどこで捨てたかわからないから問題になるんだ。

Aさん―でも、法的区分としては、一応は一般廃棄物になるわけでしょう。だったら市町村の責任じゃないんですか。
【13】 水俣病公式確認から50年
第39講(その4)「水俣病再説」

H教授―市町村民が捨てたものならそうだろうが、ほとんどが当該市町村民以外のもので、外国から漂着したものも多い。そんなのがなぜ当該市町村の処理責任なのかって反発するのも当然だと思うよ。それでなくたって市町村にとって、ごみ問題は頭痛の種なんだ。
廃棄物処理法で「一般廃棄物の処理が市町村の自治事務だ」としているのは、自分たちが出したごみを自分たちでつくっている基礎自治体が処理するのは当然だという論理なんだ。
でも漂着・漂流ごみは明らかに自分たちが出したごみじゃないからな。
そういう意味では観光地で観光客の捨てるごみも似たようなものだけど、この場合は観光収入もあるから、市町村も渋々処理してるんだろうな。

Aさん―現実には誰が処理しているんですか。

H教授―地元の団体やNGOなどがボランティアでごみ拾いをしていることが多い。昔は集めたごみを海岸で燃やしたりしていたんだけど、近年は燃やすことにも批判がある。市町村の協力でなんとか処理しているんだろうけど、市町村の方だって「もうゴメンだ」という声も出ているんじゃないかな。
廃棄物処理法や海洋汚染防止法の改正で海への一般廃棄物の投棄は禁止されたけど、そんなのは当たり前の話で、問題は誰がどういう形で処理するかだよね。
昨年、関係省庁会議が設置されたけど、ぜひ年内にでも現実の対処策を決めてほしいな【14】
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【14】 漂流・漂着ゴミに対する国の対策について
第1回漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議の開催について(平成18年3月31日環境省報道発表)
第2回漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議の開催について(平成18年7月31日環境省報道発表)
第3回漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議の開催について(平成18年8月31日環境省報道発表)
漂流・漂着ゴミ対策連絡調整会議の開催について(平成18年10月2日環境省報道発表)
中央環境審議会地球環境部会(第34回) 資料4「漂流・漂着ゴミ問題について」(平成18年2月28日)
キョージュの選んだ重大ニュースあれこれ

Aさん―なるほどねえ。ところで今まではEICネット環境ニュース編集部選定の重大ニュース――いや10大ニュースかな―― を論じてきたんですけど、それに漏れたもので重要な出来事はありますか。

H教授―いろいろあるさ。その最たるものはNHKの恣意的な報道に端を発した随意契約問題だろう【15】。そして環境省は簡単に膝を屈してしまった。なんでもかんでも競争入札で、「廉かろう悪かろう」が大手を振ってまかり通るようになったら誰が責任を取るんだろうな。

Aさん―他には?

H教授―国内では淀川水系流域委員会の休止問題【16】。ローカルな問題みたいだけど、90年代に入ってからはじまった情報公開、住民参加、地方分権の流れに棹差すもので、この行方を見守る必要があると思うよ。
どうも安倍内閣になってからコイズミさんのいいところは引き継がず、悪いところだけ増幅させて引き継ぐようなキライがないでもない。この事件もそのひとつだね。今後を見守っておこう。

Aさん―それから神戸製鋼のデータ改竄事件も忘れちゃいけないんじゃないですか【17】。つい最近では電力会社のダム測定データの改竄・隠蔽といった報道もあったし。CSRとかコンプライアンスなどと騒いでいる割には、産業界のどっか根っ子のところが腐りはじめてるんじゃないかという気がします。

H教授―それに加えて安倍内閣は企業減税だとか、どうも企業に甘いのも気になるなあ。景気回復ったって、全然実感がわかないだろう?

Aさん―そんなところですか。ところで今まで挙げた以外のもので、今年のみどころはなんですかねえ。

H教授自然保護生物多様性の分野でもいろいろ動きがありそうだ。
自然公園の指定と管理の見直しもどうやら環境省は本気で取組むみたいだし【18】、第三次生物多様性国家戦略の検討も本格化しそうだ。多様性条約COP10も日本に誘致するみたいだし、いずれこの場でもじっくり議論しよう。

Aさん―あ、そうそう、センセイ、前講でレンジャーアンケートの結果を報告すると言ってましたけど、あれはどうなったんですか【19】
【15】 随契問題
第40講(その1)「随意契約は悪か? 環境省委託事業」
第41講(その1)「公益法人と随意契約再論」
第47講(その3)「読者のお便りを巡って・1 ──随意契約問題の展開」
【16】 淀川水系流域委員会の休止
第47講(その3)「淀川水系流域委員会休止」
【17】 データ改竄事件
第42講(その3)「神戸製鋼の不祥事」
【18】 自然公園の指定と管理の見直し
第41講(その4)「自然公園体系の課題と展望」
【19】 レンジャーアンケート
第47講(その3)「世界遺産と国立公園見直し」

H教授―担当する学生に単純集計だけじゃなく、きちんと分析し、考察するように言ってたんだけど、海外に遊びにいっちゃった。
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拡大ミティゲーションの新展開
Aさん―しようがないなあ。その他に何かありますか。

H教授―ぼくが言い出しっぺの「拡大ミティゲーション」の話だけど、例のSさんがボクの尻を叩いてもらちがあかないと喝破され、ご自分で肉付けされた立派な論文をウェブに発表されている。ボクの思いつきからはじまったものが、こんな論文になるなんて夢にも思わなかった【20】。キミ、ちゃんと目を通しておけよ。
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【20】 拡大ミティゲーション論
第43講(その4)「拡大ミティゲーション論」
第46講(その4)「「拡大ミティゲーション」 ──読者のお便りから」
第47講(その4)「読者のお便りを巡って・2 ──続・拡大ミティゲーション」
Sasayama's Weblog
「久野武さんの「拡大ミティゲーション論」を、オプションのスキームに当てはめてみる。」
キョージュのハワイ
Aさん―えー、正月なんだから、少しくらいのんびりさせてくださいよ。アタシャ、本当はハワイにでも遊びに行こうかと思ってたくらいなんですよ。
あ、そうそう。ハワイといえば、センセイ、役人時代の最後の頃ハワイに留学してたそうですね。今までその話まったくしてなかったじゃないですか。ちょっとその話をしてくださいよ。

H教授―そんな話いいじゃないか。キミにとっても読者にとっても、別にタメになるような話じゃないから。

Aさん―なに言ってるんですか。センセイからタメになる話を聞こうなんて誰も思ってません(きっぱり)。

H教授―…。
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