環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第50講「我、疑う故に我あり ──反温暖化対策論考」
第49講「IPCC第四次報告書と生物多様性保全」
第48講「2006年の総括と2007年の展望 ―附:ハワイ秘話」
第47講「秋の夜の環境冗話 ―COP12、大阪湾青潮、読者のお便りを巡って」
第46講「動物愛護とミティゲーション」
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No. 第49講「IPCC第四次報告書と生物多様性保全」
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Issued: 2007.02.08
H教授の環境行政時評(第49講 その1)

Aさん―センセイ、2007年も多難の年ですね。

H教授―なんだ、いきなり。

Aさん―だって、新年からいろんなできごとがいっぱいですよ。

H教授―ふうん、どんなことだ。ざあっと言ってごらん。
世相概観―「あるある」事件、柳沢失言、不二家不祥事、宮崎知事選、鳥インフル、残業代ゼロ法案流産
Aさん―まずはテレビの『発掘!あるある大事典』捏造事件。ワタシャ、あの放映から納豆を毎食食べてたっていうのに。

H教授―キミ、今「捏造」をネツゾウと言ったろう、ま、今じゃネツゾウのほうが通りがいいけど、正しくはデツゾウだ。

Aさん―どうでもいいじゃないですか、そんなこと! それより、やることがえげつなさすぎると思いません?

H教授―そんなもの、信じる方が悪い。テレビ番組なんて“演出と称して、やらせや誇張、歪曲は当たり前、視聴率さえ取れればいいと考えている”と思っていた方がいい。
特に健康とかオカルト絡みの情報バラエティ番組なんて、ハナっからでっち上げ、インチキを疑ってかかった方がいい。「そんなアホなー」とか、「また、デタラメをー」と突っ込みを入れて笑い飛ばしながら観るのが通ってもんだ。あの手の番組で比較的信頼できるのは『ためしてガッテン』くらいじゃないかな。

Aさん―そうか、センセイは一見マジメそうなNHKのアスベスト番組でもひどい目にあってますものねえ【1】

H教授―うるさい、他には?

Aさん―柳沢厚生労働大臣の「女性は子どもを産む機械だ」というひどい発言をめぐる騒動だとか、不二家のトンデモな事件だとか、そのまんま東サンが宮崎県知事になっただとか、鳥インフルエンザがまた流行り出したとか、いっぱいありますよ。

H教授―こらこら、これは環境行政時評だぜ。そんな話題で時間をつぶしているヒマはないぞ。

Aさん―センセイ、それはワタシのセリフです。十八番を盗らないでください。じゃ、コメントは一切なしですか。

H教授―うーん、じゃそれぞれ一言づつコメントしておこう。
まずは柳沢サンの発言。産むのは女性だけど、女性だけじゃ産めないということを忘れちゃいけない。少子化をなんとかしたいというところから派生したトンデモ発言だけど、少子化はどうしたってとまらないよ、それに少子化は必ずしも悪いことばかりじゃない。少子化の結果としての人口減少は持続可能社会だとか、循環型社会の形成ということを考えれば、むしろ必要なことなんだ。
ま、少子化を緩和させるには、婚外子を優遇するしかないんじゃないかな。フランスがかつては人口減少に悩んでいたけど、今はほぼ止まった。そして今じゃ、子どもの半分は婚外子だって話だ。

Aさん―そうですよねえ。アタシだって今は子どもが欲しいとは思わないもの。
【1】 NHKのアスベスト番組
第34講(その1)「メディアの傲慢」

H教授―彼氏は欲しくてもね。

Aさん―ほっといてください。で、不二家事件は?

H教授―不二家はISO14001の認証取得をしていて、廃棄物を毎年減らすことを至上命題にしていたそうだ。賞味期限切れのものを廃棄物にしたくなかったからだという話を聞いたことあるよ。

Aさん―! ホントですか。

H教授―はは、ウラは取ってないからガセかもしれない。でも、循環、循環と騒ぐわりには、こういう場合の有効活用の仕方を考えてないみたいだな。

Aさん―センセイだったら? 飼料ですか、堆肥化ですか。

H教授―賞味期限切れでも健康に影響が出るようなものじゃないとは思っていたんだろう。だったら期限切れというのを明らかにしたうえで、社長以下社員が消費する。そして社員も食べてますからといって、希望者に無償配布するってのはどうだ。

Aさん―ばっかばかしい。じゃあ、そのまんま東さんの知事当選は?

H教授―多くの県民は官僚出身者だとかの従来型の候補者に飽き飽きしてるんだろう。まったく無名の市民じゃダメだけど、ある程度の知名度があって、それなりに勉強してマジメそうだと判断すれば、従来型の候補者より県民の選択はそちらに流れるということじゃないかな。
問題は、そういうタレントや作家で知事になりたいなんて奇特な奴が滅多にいないということ、仮になったからといって、目新しい政策を実行できるかどうか未知数だということだろう。ま、東国原サンも就任直後に鳥インフル騒動に遭遇し、気の毒だねえ。

Aさん―その鳥インフルエンザの方は?

H教授―うーん、まったくわからない。感染経路もわからないし、野鳥からとか言われているけど、それだってホントかどうか。完全隔離しても防げるのかどうかもわからない。
ただ、鶏肉や鶏卵を食べて感染したヒトはいないから、そこだけは安心していいんじゃないかな。

Aさん―エグゼクティブなんとかって残業ゼロ法案もつぶれましたね。

H教授―ホワイトカラーエグゼンプション(WE)法案だ。参院選を控えてそんな法案出せるわけがないだろう。ボクは決して反対というわけじゃないんだけど、ゼミの卒業生を見ていると、いまだにサービス残業がはびこってるみたいだ。
ある留学生なんて、この10年、毎晩22時まで残業しながら、ずっと残業手当ゼロだそうだ。職を失うと大変だから、何にも言えないっていうんだから驚くよ。労基署に訴えろと言ったんだけど、こういうのをなくすほうが先決だろう。

Aさん―さ、じゃぼちぼち本論に行きますか。今回は何ですか? またまた温暖化じゃないでしょうね。たまには違うテーマにしてくださいね。
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PM2.5の環境基準制定へ動き出す?
H教授―一昨晩(2月2日)のNHKのニュースを見て、驚いた。
東京大気汚染公害訴訟で国が原告との和解協議に応じるとのことで、そのため国はSPMの環境基準をPM2.5を中心に改定するだとか、首都高速のロードプラインシング化を進める方向で具体策を詰めるだとかって報じていた。
ニュースの中では国の対応を評価する原告側の声や、「原告に金銭補償しないのなら納得しないだろうし、ナンセンスだ」とか言っているシンタロウ知事の記者会見の模様なども入っていたんだ。

Aさん―あのう、PM2.5って?

H教授SPMは浮遊粒子状物質(Suspended Particle Matter)といって大気中に浮遊している粒子状物質のことで10ミクロン以下の粒径のものをいう。環境基準が決められているんだけど、達成状況はあまり芳しくない。
そしてこれよりはるかに細かい粒径2.5ミクロン以下の微粒子のことを特にPM2.5といい、ディーゼル排ガスに多く含まれている。このPM2.5は発ガン性が懸念されたりして、欧米ではよく問題にされているんだけど、日本ではPM2.5としてはまだ環境基準も定まってないんだ。

Aさんロードプライシングというのは?

H教授―渋滞や自動車公害を防止するため大都市に流入する交通量の抑制を図る経済的な手法のことだ。ニュースで報じられた計画では、首都高速の料金を高くして湾岸線の方を安くすることで、首都高速に入るクルマの量を減らそうというものだ。関西では尼崎公害訴訟や43号線訴訟があったりして、既に試行しているんじゃなかったかな。

Aさん―へえ、じゃシンタローさんがなんて言ってるのか知らないけど、一応は大英断じゃないですか。

H教授―テレビのニュースだと一過性だからよくわからない。
ところが、翌日の朝日新聞をみると、安倍サンが和解協議に応じる意向を示し、医療費助成も検討すると語ったとだけしか書かれていない。新たな対策として今国会提出予定のNOx・PM法改正のことを触れているだけで、PM2.5の環境基準のこともロードプライシングのことも一言も触れてない。ネットニュースでも見つからなかった。なんだか狐につままれた気持ちだ。

Aさん―NHKのスクープで新聞がへそを曲げたか、それともNHKの先走り、早とちりだったかのどちらかですね。
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