Aさん―ところで、今年は暖冬ですねえ。雪も少ないし、クマが冬眠しなかったり、スキー場が開店休業だったり、梅の花が綻び始めたりしていますけど、これも温暖化の影響ですか。
H教授―うーん、直接にはエルニーニョのせいらしいけどね。
あとIPCCの第四次報告書で海水温が上昇、それが深層まで及んでいること、さらには海水の酸性化が進むことを指摘しているが、個人的にはこのことは重要だと思うな。
来世紀以降には第43講(その1)で言った海洋大循環【7】が弱まる可能性がかなり強いし、超長期的にはグリーンランドの氷床はすべて溶け、7メートルくらいは海面上昇が起きるそうだ。
そしてもっと差し迫った話としては温暖化などの気候変動が生態系に及ぼす影響が無視できないだろうということだ。
Aさん―北極の話はよく聞きますけど、他にもあるんですか?
H教授―いっぱいあるさ。
ほんの少し海水温があがるだけで、サンゴは白化現象を起こし、死滅する。エルニーニョの年に白化現象が起きるのはよく知られているけど、海水の温暖化が進めばサンゴ礁がどうなってしまうか心配だ。
日本近海でもエチゼンクラゲが増えている。シリカの供給が三峡ダムの建設で絶たれたからだなんて、本当かウソかわからないような話を聞いたことがあるけど、これだって海水温の上昇とまったく関連していないって言い切れるのかどうか。
また爬虫類などでは雌雄の性別を決めるのは染色体ではなく、孵化時の温度で決まるものもいる。こうしたものにも影響が出ないか心配だよね。
総じて自然の気候変動ならゆっくりと適応していくんだろうけど、人為的な気候変動じゃ適応するだけの時間がなくて滅びていくものだってあるんじゃないかな。
Aさん―そういえば世界的にカエルが減ってるそうですね。
H教授―うん、一時期環境ホルモンのせいじゃないかなんて言われたこともあったけど、どうやらツボカビが原因らしい。
Aさん―ツボカビ?








