環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第51講『キョージュ、「拡大」国内排出権取引制度を論じる』
第50講「我、疑う故に我あり ──反温暖化対策論考」
第49講「IPCC第四次報告書と生物多様性保全」
第48講「2006年の総括と2007年の展望 ―附:ハワイ秘話」
第47講「秋の夜の環境冗話 ―COP12、大阪湾青潮、読者のお便りを巡って」
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No. 第50講「我、疑う故に我あり ──反温暖化対策論考」
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Issued: 2007.03.08
H教授の環境行政時評(第50講 その1)
ベトナム旅情

Aさん―センセイ、今年の“人妻”との旅【1】はベトナムだったらしいですね。どうだったんですか。

H教授―(疲れた表情で)ホーチミン市に着いてから突然の下痢に見舞われて、今も完全には止まってないんだ。

Aさん―いやしく食べあさったからじゃないですか。

H教授―う、うるさい。ま、確かにベトナム料理は美味かったけどな。

Aさん―そもそもなんでベトナムに行こうなんて思われたんですか。

H教授―ボクの学生時代はベトナム戦争の時代だった。貧しい小国でありながら、フランスを破って独立を果たし、その後のベトナム戦争でついに強大な米軍を打ち破ったベトナムという国に昔から興味があったんだ。

Aさん―で、行かれてどうだったんですか。

H教授―解放戦線が活躍していた頃に抱いていたベトナムのイメージとの落差が大きすぎて戸惑ったなあ。

Aさん―というと?

H教授―昔は質素で清潔で勤勉な農業国というイメージがあったんだけど、とにかくハノイもホーチミンもクルマとバイクの洪水だ。歩道はバイクや屋台に占領され、信号も少なくて、交通マナーは最悪だから、道路を歩いて横断するのがなによりも怖かった。交通事故も3回見たし、人口当たりの交通事故の死者は日本の数倍。あれほど都市化が進行しているとは思わなかった。

Aさん交通公害大気汚染が心配ですね。
【1】 “人妻”との旅
第27講(その1)「道東周遊随想―世界遺産登録と海域保護」
第39講(その1)

H教授―うん、同じ社会主義国でもクルマが極端に少ないキューバとは大違いだったなあ。
貧しいなりに、すごいバイタリティは感じたが、そのバイタリティを生み出すモチベーションが経済的な豊かさへの渇望のような感じが拭えなかった。
ガイドさんと話をしても、とにかく若い人たちは政治とか国家とか地球環境とか、公的なものへの関心は乏しそうだった。
それに土地や建物や生産手段の私的所有はドイモイ政策の結果、事実上フリーになったから、基幹産業に占める国営企業の率が高いというだけで、そもそもどこが社会主義なのかがわからない。社会主義を名乗る政党の独裁が政治的に行われているだけの資本主義国じゃないかと思っちゃった。
都市対農村、高齢者対若者の矛盾対立も日本以上じゃないかな。
かつてのベトコンの老いた戦士たちは、今のベトナムをどう見ているのかなあなんてふと感じてしまった。

Aさん―じゃあ、ベトナムが嫌いになったんじゃないですか。

H教授―いやあ、でもアオザイに身を包むベトナム女性は清楚だけど官能的だったから、前にもまして好きになった。ま、そういう女性はレストランや観光施設でしか見なかったけどね。あ、田舎では中学生や高校生の制服が白いアオザイで、清々しかったなあ。
それにクルマや電化製品は日本製が圧倒的に人気が高いらしく、日本との合弁企業も随分みかけたから、なんとなく親しみが持てた。
戦争の爪跡は表面上ほとんど感じられなかったけど、ある土産物屋のそばで多くの若い女性が刺繍しているのを見たら、全員が障害者だった。枯葉剤が多くの障害者を生んだんじゃないかな。他にも手足を失くされたお年寄りを何人もみたから、社会の深層ではまだまだあるんだろうねえ。
ま、しょせん、数日だけの無責任な旅人の印象だけど。

Aさん―ベトナムの環境政策としては、何が重要なんでしょうか。

H教授―国土計画、そして緊急なものとしては交通政策だな。あのバイクの群れが経済成長とともに乗用車に代わったら、都会は完全にパンクしてしまうな。国土の長期ビジョンと土地利用政策をドッキングさせ、その一環として公共交通の充実や交通規制の強化とそれに関するインフラ整備を真剣に考えなきゃいけないんじゃないかな。
日本もODAでいろいろやっているみたいだけど、米仏はもっと力を入れる責務を負っていると思うなあ。
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ついに到達、50講!

Aさん―ところでセンセイ、今回はいよいよ50回目ですよ、50回。満4年。いやあ、よく続きましたねえ。

H教授―そうだよねえ。これも読者のおかげなんだけど、不思議だねえ、キミは大学こそ卒業したもの一向に大学院を卒業する気配のないまま、こうして居座り続けている。一体、いつになったら修士論文を書きあげて社会に出ていくんだ。
それに50回、4年間も続けてきたうちに、キミの顔にも小皺が目立つようになったぞ。

Aさん―(憤然として)悪かったですね! センセイはその間に還暦を迎えて、歯は3本抜けちゃうし、まもなく4本目がお陀仏確実。糖尿病と高血圧の予備軍から正規軍に昇格しちゃうし、山登りをしても膝にガタがきて降りられなくなっちゃう。今年に入ってからは腰痛に悩まされるようになったし…。

H教授―(遮って)わかった、わかった。小皺は取り消すから、もうそれ以上は勘弁してくれ。
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都知事選―二人の環境庁OB
Aさん―ところで都知事選に浅野サンが出るそうじゃないですか。これでおもしろくなりそうですね。

H教授―うん、どちらも環境庁、現・環境省と縁のある人物だ。ある意味じゃOBだ。

Aさん―え? そうなんですか。

H教授―うん。シンタロー氏はかつて環境庁長官をやっていたことがあった。一方の浅野サンも、ぼくがえびの高原【2】でレンジャーをしていた頃に自然保護局(当時)の法令担当の係長をしていた。

Aさん―えっ? じゃあ、どちらも面識はあるんですか。

H教授―どっちも顔を見たことがある程度だけどね。

Aさん―へえ、じゃ、どちらを応援するんですか。

H教授―ボクがどっちを応援しようが、…
(以下、キョージュの都知事候補評がありましたが、編集部判断により、あえて伏せさせていただきますことをご了承ください)。
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【2】 えびの高原
霧島屋久国立公園
ライブ映像「えびの高原から見た霧島連山」
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