環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第52講「独断と偏見のキューバ社会論」
第51講『キョージュ、「拡大」国内排出権取引制度を論じる』
第50講「我、疑う故に我あり ──反温暖化対策論考」
第49講「IPCC第四次報告書と生物多様性保全」
第48講「2006年の総括と2007年の展望 ―附:ハワイ秘話」
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No. 第51講『キョージュ、「拡大」国内排出権取引制度を論じる』
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Issued: 2007.04.05
H教授の環境行政時評(第51講 その3)
NOX・PM法改正案

Aさん―へいへい。
自動車NOX・PM法も改正案が出されていますね【5】

H教授―うん、審議会の意見具申である「今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について」を受けたものだ。
窒素酸化物SPMについては依然として、一部環境基準未達成地域が残っているんだけど、そうした地域で特に必要な地区を「重点対策地区」として指定し、新たな交通需要を生じさせる建物を新設する者に対し、排出量の抑制のための配慮事項等の届出を義務付ける。また、重点対策地区内のうちの指定地区へ運行する自動車を使用する一定の事業者に、窒素酸化物等の排出の抑制に関する計画作成・提出や定期報告を義務付けるというのが目玉のようだ。

Aさん―NHKが報じていたPM2.5ロードプライシングはどうなったんですか【6】

H教授―審議会の意見具申でも検討課題としているだけで、法改正では一言も触れてない。やはりNHKの勇み足だろう。そりゃあ、環境省としてはやりたいに違いないだろうけど。
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【5】 自動車NOx・PM法改正と、中環審の意見具申
自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案
「今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について」(中央環境審議会意見具申)について(平成19年2月23日環境省報道発表)
【6】 NHK報道のPM2.5やロードプライシングについて
第49講(その1)「PM2.5の環境基準制定へ動き出す?」
海洋汚染防止法改正案
Aさん海洋汚染防止法も改正するらしいじゃないですか【7】

H教授ロンドン条約の96年議定書を締結するための国内法対応だ。ようやく準備が整ったということだろう。

Aさん―どんな中身なんですか。

H教授―油、有害物質および廃棄物の海洋投棄の全面禁止だ。

Aさん―そんなの当たり前じゃないですか。今まで規制されていなかったんですか?
【7】 海洋汚染防止法の改正について
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案

H教授―日本では屎尿の海洋投棄が昔は当たり前だった。もちろん数十年前からどんどん縮小してきたんだけど、それがようやく全面禁止OKというところまできたんだろう。
ただし、これには例外規定があって、CO2の海底投棄、つまりCO2の地中隔離は許可があればOKということだ。でもねえ、この技術はまだ不完全だし、将来漏れ出す可能性だってないとはいえないし、そうなったときの生態系に及ぼす影響も未知数だ。だからどんな慎重にやっても慎重すぎということはないから、簡単にガイドラインなど決めない方がいいと思うよ。
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第三次生物多様性国家戦略と自然公園全面見直し
Aさん―あとは自然環境の方でもいろんな動きがありますね。
自然公園の指定と管理についての検討会の検討結果、それに第三次生物多様性国家戦略に向けての懇談会の論点整理が同時期にまとまって、いずれもパブコメにかけられてますね【8】
連動しているんですか。

H教授―当然だろう。国家戦略の方は秋頃に審議会答申に持ち込みたいみたいだから、自然公園法やその他の保護関連法もそれに向けての改正を考えているんだろう。
そううまくいくかどうかはわからないけど。

Aさん―で、その二つの内容は?

H教授―じっくり調べないとそんな簡単にコメントできないよ。だから次回送りにしよう。
まあ、こんなところかな。
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【8】 自然公園の指定と管理、第三次生物多様性国家戦略策定に向けた懇談会論点整理
国立・国定公園の公園区域及び公園計画の変更等に関する意見の募集について 「意見募集中」
国立・国定公園のあり方に関する意見募集 「意見募集中」
国立・国定公園の指定及び管理運営に関する検討会
新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果(第4回)(案)の意見募集について 「締め切りました。」
新・生物多様性国家戦略の見直しに関する検討について
SEAガイドライン

Aさん―あとSEAのガイドラインが出されて、パブコメにかけられてますね【9】

H教授―あのガイドラインの中身については異論はないけれど、あれをSEAというかどうかについては疑問だね。
「事業を行わない(で対象計画の目的を達成する)」という案も含めて複数の代替案が構想された時点でのアセスのガイドラインとして策定しようとするものだから、現行の事業アセスと国際的に言われているSEAとの中間段階──つまり外国で行われている普通のアセス──のようなものじゃないかと思うよ。

Aさん―国際的なSEAって?

H教授―例えばODA、政府開発援助をやるときには、最近ではSEAをやる方向にきていて、そこでのSEAはそもそも事業や計画の必要性の段階から住民を巻き込んで議論することになっているそうだ。
今回のSEAのガイドラインでは、必要性の部分は自明の前提になっているような気がする。

Aさん―でもそうしたら、「環境」だけじゃなくて、いろんな要素について事前評価することになって、そうしたら総合アセスというか政策の事前評価の話になるんじゃないですか。

H教授―うん、だからそちらの方もセットで考えなくちゃいけない。ODAの世界でSEAと言われているのは、実はそうしたものも含まれているらしい。
それとこのガイドラインでは現行のアセス法対象事業を念頭においているみたいで、それ以外のものはとりあえずの対象に考えてないようだ。
おまけに発電所については、3日前の新聞では電事連や経済産業省の強い異議で、このガイドライン対象事業から外すことにしたそうだ。
【9】 SEA導入ガイドラインについて
SEAに関するこれまでの言及:
第2講(その4)「戦略アセスと政策決定システム」
第17講(その1)「SEAと立地地点選定」
戦略的環境アセスメント導入ガイドライン(上位計画のうち事業の位置・規模等の検討段階)(案)に対する意見募集について 「締め切りました。」

Aさん―ひっどーい。だって、発電所は、いまや、不祥事隠しがぼろぼろ発覚しているじゃないですか。中には原発の定期検査時の制御棒が外れて臨界になったなんてとんでもないことが明らかになって、何度も謝罪会見までしているのに、一方じゃそんなこと…(絶句)。

H教授―けしからんと思うけど、これがわがニッポンの現実なんだ。

Aさん―それでそのガイドラインをアセス法で定めるんですか。それとも閣議決定するんですか。

H教授―さあ、発表資料には何も書いてなかった。今度調べてみるよ。

Aさん―ちゃんと調べておいてくださいよ。センセイは、“環境政策のプロ”だなんて、何にも知らない学生の前では言ってるんだから。
あ、そうか一昨日キューバから帰ったばかりか。それじゃあ仕方ないですね。
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