環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第59講 『翼よ、あれがバリの灯だ! 付:拡大フィフティ・フィフティ』
第58講「アフリカの心、日本の心―サンコン氏との対談」
第57講「第三次生物多様性国家戦略案をめぐって」
第56講「上方環境夜話 付:回想―役所新人時代」
第55講「政治の空白に直面する環境政策―と標題だけは大げさに」
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No. 第58講「アフリカの心、日本の心―サンコン氏との対談」
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Issued: 2007.11.08
H教授の環境行政時評(第58講 その3)
万華鏡・その5 ──世論調査で環境税容認に

Aさん―一方じゃ、今月始め内閣府が公表した世論調査でも環境税賛成派が反対派を上回ったそうですね【6】

H教授―この数字だけで世論を判断するのは危険だし、実際に導入となれば総論賛成、各論反対になる恐れが強いけど、05年のときとまったく同一の調査だとすると、賛成派が躍進したという見方はできるだろう。それだけ温暖化影響が誰の目にも明らかになったからな。
もはや懐疑派【7】(→第12講(その2)、第50講(その3・4))の中でも、温暖化そのものが起きていないという温暖化否定論者はほとんど駆逐されたんじゃないかな。自然現象主因論者が未だいるとはいえ、彼らにしたって人為的な温室効果ガスの排出が、温暖化にまったく寄与していないとまで強弁する論者はさすがに“絶滅”寸前なんじゃないかな。
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【6】 内閣府発表の世論調査
地球温暖化対策に関する世論調査(平成19年8月調査)
同世論調査(平成17年7月調査)
【7】 「温暖化懐疑派」に関する本講での話題
第12講(その2)「地球温暖化―異論反論オブジェクト」
第50講(その3・4)「温暖化を疑い、反温暖化対策論を疑う」
万華鏡・その6 ──バイオ燃料の新たな動き
Aさん―大阪府ではバイオ燃料の試験販売がはじまりました【8】。なんでも建築廃材から取り出したバイオエタノールが原料でそれをガソリンに3%混ぜているそうです。

H教授―いわゆるE3だね。3%だとどうにもならないからせめて10%、E10にしたいと環境省は考えているようだが、とりあえずモデル事業みたいな観点で大阪府に委託したそうだ。
ただ、ガソリン業界の方はイソブテンと反応させてから混ぜる「ETBE方式」を推していて、依然と対立関係が続いているようだ。どうも世界の動きより相当テンポが遅い。
問題は食料との競合で、そういう意味では廃材を使うというのはいいんだけど、安定的に供給できるか。それとコストだね。
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【8】 大阪府におけるバイオ燃料の試験販売開始
環境省 大阪府でE3(バイオエタノール3%混合ガソリン)の供給開始(EICネット)
E3(バイオエタノール3%混合ガソリン)の供給開始について(大阪府)
万華鏡・その7 ──「2050低炭素社会プロジェクト」再説
Aさん―まあ、原油価格の値上がりが続いていますから、いずれはコスト的にも対抗できるんじゃないですか。
ところで21日付けの朝日新聞では2月の「2050低炭素社会プロジェクト」【9】のことを大きく報じてましたね。
【9】 「2050低炭素社会プロジェクト」に関する本講での話題
第51講(その4)「低炭素社会に向けて ──拡大排出権取引」

H教授―うん。あの報告では2050年に対90年比でCO2の70%削減は可能だとし、その二つの道筋を大まかに記している。ひとつは技術指向・都市集中型で、もうひとつは自然回帰・地域分散型だ。このことを今頃になって大きくとりあげた。
この二つのパターンの選択肢を示し、どれを選択するかは国民に委ねるというのは、何年か前の循環白書の未来ビジョンで示した三つの選択肢と同一の発想だね【10】
ちなみにその後の「21世紀環境立国戦略」【11】はそこの選択を依然として示していない。戦略なんだから基本的な方向性を示すべきだと思うけど、現実にはふたつの流れが微妙に交差、というかミックスしたものにならざるを得ないだろう。
パブコメが終わり、取りまとめ中の新しい生物多様性国家戦略【12】では、多分後者に近い方向性を示しているんだと思うけど、そういうふうに進めるかどうかはわからない。

Aさん―まあ、二つの選択肢というのも多分に観念的なもので、現実には切り分けられるものでもないんでしょう。

H教授―ただ少なくとも個人の内面の価値観としては、明確にしておいた方がいいと思う。
それは先日オスマン・サンコンさんと対談したときに感じた。
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【10】 循環白書の未来ビジョンで示した3つの選択肢
第24講(その1)「持続可能社会超長期ビジョンの必要性・可能性」
【11】 「21世紀環境立国戦略」に関する本講での話題
第53講(その1)「「美しい星50」戦略を祝す」
第54講(その4)「「21世紀環境立国戦略」再説」
【12】 「第3次生物多様性国家戦略」に関する本講での話題
第57講(その3・4)「第三次生物多様性国家戦略案まとまる」
アフリカと日本―サンコン氏との対談から

Aさん―え? 「笑っていいとも」のお笑いタレントとですか。また、なんで?

H教授―お笑いタレントなんていっちゃ失礼だよ。サンコンさんは生真面目なインテリだよ。今ではタレント活動より全国での講演旅行を主にしているみたいだ。

Aさん―そもそもなんの対談だったんですか。また、なんでサンコンさんだったんですか。

H教授―大阪にあるUNEP支援法人のGEC(地球環境センター)が設立15周年ということで、一般向けの記念行事をすることになったんだ。そうなると集客力のある知名人に特別講演をお願いしようということになる。
一種の客寄せパンダは昔からやられている手法で、有名人だったらなんでもいいと、それこそ関西のお笑い界のドン、K・Eサンなどもよく使われていた。
ただGECの場合、やはり単なる客寄せパンダじゃなく、タレントではあっても環境問題に理解と関心のある人を呼ぼうとしたみたいだ。その特別講演のあとボクと対談させようということを考えたんだ。

Aさん―へえ、でも対談相手がなんでセンセイなんですか。
H教授―知らないよ。ま、GECの研修とはいろいろ持ちつ持たれつで、気心が知れているからじゃないかな。キューバにも一緒に行ったしね【13】

Aさん―いつもヒマだし、呼んでもらえるだけでうれしくて、ギャラのことなんか気にせずに飛びつくと思われたからでしょう。
でもセンセイ、どうせなら女優さんと対談したかったんじゃないですか。それこそ若き日のマドンナ、吉永小百合サンとか。
【13】 GECとのキューバ紀行
第52講(その3)「キューバ研修と環境研修のあり方をめぐって」

H教授―はは、それこそギャラだけでGECの予算が吹っ飛ぶんじゃないかな。ま、そんな超大物でなくても、元アイドル女優のM・Aサンなんかだったらよかったと思ったけど、ボクの決めることじゃないからなあ。
ま、意外性というのを考えたのかも知れない。

Aさん―じゃあ、今日のメインテーマはそれだ。その対談の内幕を話してください。
対談といってもあらかじめのシナリオのようなものはあるんでしょう。

H教授―そんなものないよ。だって、講演内容に即して対談しなくちゃいけないんだけど、そもそもどういう講演内容になるかってことも本番になるまでわからなかった。
行事の運営を受託した制作会社も事前に把握できず、彼らの作った想定ではサンコン=アフリカ=野生動物ということで、ボクがレンジャーの体験を生かして日本とアフリカの野生動物保護対策を語るということになってたんだ。
二人だけの対談じゃなく、FM局のDJが進行役で、そういうふうに振るとなってた。

Aさん―へえ、そんな話されたんですか。

H教授―いや、直前にサンコンさんの『大地の教え』という本にはじめて目を通して、この想定は違うなと思ったんだ。
だから、当日の打ち合わせで、進行役は無理に話題を野生動物に振らず、サンコンさんとボクのぶっつけ本番の対談に任せろということにしちゃった。
本番直前にサンコンさんが到着されたんで、楽屋でちょっと話をしてライオンやチンパンジーの話じゃないということは確認したんだけど、具体的な進行まで話し合う時間はなかったからヒヤヒヤものだったよ。
でもああいうタレントというのは、楽屋では高慢な態度をとる人が多いという話を聞いたことがあるけど、サンコンさんは腰が低い、気さくな人だったよ。

Aさん―ふうん。で、どんな講演をされたんですか。

H教授―「アフリカというとライオンと思われるかも知れませんが、ライオンを生まれてはじめてみたのは上野動物園でした」って聴衆を笑わせて、自分の少年時代の話からはじめられた。
サンコンさんはギニアのボッファという地方都市で少年時代を送られた。ボッファには当時は電灯も水道もなく、早朝の井戸の水汲みから一日が始まったらしい。そこでの人々の生計は主として陸稲栽培だった。厳しい生活だったけど、そこでは自然を熟知し、自然に順応して生きていくとともに、人々は助け合い、特に家族は助け合って生きていたというような話をいろんなエピソードを交えて語られた。
ボッファから大学進学のため始めて首都のコナクリへ行かれ、そこから国費留学生としてパリに行かれた。その後、ギニア外務省に入られ、日本の他、ワシントンDCなどを回られたということだ。

Aさん―で、文明に接するようになればなるほど、自然との距離、他者との距離は遠くなる。それでもっと自然を大事に、自然と接して、自然を愛する心を忘れるなということになるわけですか。ちょっと定番すぎるんじゃないですか。

H教授―そういうふうに要約してしまえば、それまでだけど、いろんな具体的なエピソードを交えて話されるものだから、ボクだけじゃなく、4〜500人いた聴衆もうんうんと頷いてたよ。そういう自然に対する傲慢さが温暖化を招いたんだという指摘はきっとサンコンさんの実感だと思うよ。
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