環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第60講 『京都議定書第一約束期間初年』
第59講 『翼よ、あれがバリの灯だ! 付:拡大フィフティ・フィフティ』
第58講「アフリカの心、日本の心―サンコン氏との対談」
第57講「第三次生物多様性国家戦略案をめぐって」
第56講「上方環境夜話 付:回想―役所新人時代」
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No. 第59講 『翼よ、あれがバリの灯だ! 付:拡大フィフティ・フィフティ』
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Issued: 2007.12.06
H教授の環境行政時評(第59講 その1)
守屋事件の余波

Aさん―センセイ、守屋逮捕ですって! 奥さんもだそうですよ。前代未聞ですね。

H教授―うん、問題は疑獄事件として政治家まで波及するかどうかだけど、とにかく徹底的にやってほしいね。テロ特措法なんかより、膨大な国防利権構造を抉り出す方が先決だ【1】

Aさん―ヌカガさんは「証拠」まで出してきて、守屋と宴席で同席したことを徹底否認していますね。

H教授―宴席同席に対しては逃げ切れたみたいで、本人も自民党もほっとしているだろう。でもなあ…。

Aさん―でも?

H教授―国防利権の闇は深そうだ。政治家にもメスが入るんじゃないかなあ。となるとヌカガ喜びに終わるかもしれない。
【1】 守屋氏逮捕と国防利権の闇
第58講(その1)「防衛省を解体せよ」

Aさん―そのダジャレが言いたかったのか…。

H教授―ま、それはともかくとして、小沢サンの大連立構想破綻後のドタバタ騒ぎで、民主党も信用を落としたかに見えたけど、この守屋事件の露呈でまたもや世論は反転、いよいよ自民党の政権与党の座も怪しくなったね。
大阪市長選で自公推薦の現職が敗退したのも、役人上がりの現職が飽きられたのに加え、守屋事件の影響で役人への不信感が増幅したんだと思うよ。
市民感覚では理解しがたいカネの問題が露呈したにもかかわらず、問題ないと突っぱねて府民の顰蹙を買い、のちに謝罪した大阪府知事も、やはり通産官僚上がりだ。自公民とも彼女を見放す方針のようで、三選出馬に意欲を燃やすものの出馬辞退に追い込まれるんじゃないかな。
でも、こうした事態に対して国民以上に怒っているのは、大多数のマジメな役人だと思うよ。

Aさん―そうでしょうねえ。センセイが役人時代マジメだったかどうかは知りませんが。

H教授―冗談言うなよ。「謹厳実直が背広を着たようなH」とか「清廉潔白温厚篤実人畜無害のH」とか…。

Aさん―と自分で言って笑いをとってたんですよね。

H教授―う、うるさい。

Aさん―それはともかく、小沢サンが大連立構想を画策したということは、まだ二大政党制がきちんと根付いてないということでしょうかねえ。

H教授―それどころか、政界再編成がまだまだ起きる可能性はあるぜ。ボクはもともと二大政党制がいいなんて思ってないしね。

Aさん―また、天邪鬼なことを言い出した。

H教授―外交の主軸はアメリカかアジアか、大きな政府か小さな政府か、都市優先か地方優先か、環境か経済発展か、いっぱい軸があって、それを2つの政党に収斂させるのはムリだよ。4つか5つかの中政党ができ、時々に応じて連立を組みかえる方がよほどいいと思うな。で、その一つがヨーロッパにあるような緑の党であってほしい。

道路特定財源をめぐる混迷
Aさん―はいはい、その話は聞き飽きました【2】
ところで、福田政権が誕生して2ヶ月になりますが、センセイの評価はどうですか。

H教授―まだわからない、これからの1ヶ月が試金石だと思うよ。

Aさん―と言いますと?
【2】 二大政党制より中政党の競合制
第55講(その1)「自民党政治の終焉か?」

H教授―これから予算編成や税制改正でチャンチャンバラバラがはじまる。
例えば道路特会の問題だ。ガソリン、軽油、自動車などへの税金は道路特定財源として道路整備のみに充てられている。しかもその税率は暫定税率として、本来の倍になっている。この仕組みが日本の道路整備を進め、クルマ国家に変えていった。
だけど、今じゃあ一般財源の方が財政難で苦しんでいる中で、道路特定財源はダブついていて、ろくに利用されもしないような道路を全国津々浦々に造っていると、以前から批判を浴びていたんだ。
コイズミさんのときから、道路公団民営化では大騒ぎしてたけど、この道路特定財源を一般財源化するかどうか、また今年度末で切れる暫定税率をどうするかについて、コイズミさんは暫定税率維持、一般財源化という方針を匂わせつつも、結局は結論を出さないまま安倍内閣まで持ち越しちゃった【3】
昨年末に財政構造改革の一環として安倍内閣の結論が出た。つまり暫定税率は今後とも維持するが、「真に必要な道路」だけを今後は整備し、余った部分は一般財源化するという方針だ。でも、「真に必要な道路」がどれだけかというのは国土交通省で精査するという、玉虫色の決着だったんだ。

Aさん―地方じゃ道路のような公共事業がまだまだ必要だ、という意見は根強いんでしょう。

H教授―うん、格差問題が騒がれる中で、参院選で自民党が大敗。結果、そういう意見が再び自民党内で強くなった。先日、国土交通省が発表した「真に必要な道路」の道路整備計画によると、今後10年間では国費35兆円、地方自治体の負担分を含めると68兆円にのぼるとされた。

Aさん―へえ、道路特定財源の規模って、いくらくらいなんですか。

H教授―国の道路特定財源は暫定税率を維持した場合、今後10年間で31兆円から34兆円という見通しらしい。

Aさん―ということは、一般財源化するのは…。

H教授―そう、みごとにゼロ、というかマイナスだ。土建屋国家健在というわけだ。
都会との格差に苦しむ地方では道路整備推進派が多く、地方自治体や地方住民の支持を見込めると思ったんだろう。
おまけに自民党としては連立している公明党に配慮しなければいけない立場で、国土交通大臣は公明党だ。

Aさん―あれだけ改革、改革と言っといて、そんなの詐欺じゃないですか。
一般財源がなくて苦慮している財務省はカンカンでしょうね。
経産省や産業界はどうなんですか。

H教授―彼らは本来の税率に戻せ、つまり減税しろという派だ。
国際的な投機筋によって原油価格が高騰している。多くの国民は、ガソリンの値上げだとか苦しんでいるから、その方が国民に支持されると思っているのかもしれない。
【3】 道路特会の行方
第35講(その2)「環境税と特会見直しと第二約束期間」

Aさん―民主党は対案を出しているんですか。

H教授―こちらは税収の大半を占める揮発油税を廃止し、その代わりに環境税化しろということのようだ。そして、それ以外の自動車重量税等は全額一般財源化という方針らしい。ただ党内には道路整備推進派もいて、内情は複雑らしい。

Aさん―つまり三すくみ、四すくみの状態なんですね。福田サンはどうなんですか。

H教授―福田サンとしては政府与党内をちゃんと調整して持って来てくれれば一番ありがたいんだろうけど、今のままじゃそうはいきそうにない。かといって、福田サンが裁いてみんなが納得するかといえば、それもできそうもない。
納得しなくても強引に納得させてしまうだけの、力ある官邸かどうかの試金石というわけだ。

Aさん―へえ、環境省はどうなんですか。

H教授―環境税導入を言っているけど、この問題には態度を表明していない。
環境税に対して産業界、経産省は真っ向から反対しているが、国土交通省は中立を守っているだけに、敵に回したくないんだろう。
おまけに特定財源のままでも、道路関係の環境保全予算に回してくれることも期待しているだろうから、なおさら態度は表明しづらいんだろう。

Aさん―このまま放っておいたらどうなるんですか。

H教授―暫定税率は放っておけば、今年度で終了、減税ということになり、歳入が半減してしまうから、それだけは避けたいだろう。

Aさん―ひぇえ、センセイはどう思われるんですか。

H教授―スジからいえば減税だ。だけど、国家財政の膨大な赤字はやはり無視できない。それにこうした税金の高さが、クルマ社会化したとはいえ、欧米並みまでいくことをセーブしている。日本では、公共交通機関がそれなりに機能していることは、やはり評価しなくちゃいけない。

Aさん―へえ、そうなんですか。

H教授―例えば米国では、ニューヨークとワシントンの間ですら新幹線は通ってないし、本当かどうか知らないが「地下鉄は治安がよくないから観光客は乗るな」などと言われているくらいだ。

Aさん―地下鉄の話は別の要因によるんじゃないですか。格差が極限まで広がったとか、そういうことじゃないんですか。

H教授―ま、それはそうかも知れないが、暫定税率を廃止したとしても、その減税分を環境税化して、結果的にガソリン価格やクルマの価格を下げないことには賛成だ。
また、本来の税率に戻したとしても、それを全額道路整備に充てることは反対で、道路関連の環境保全に充てたり、公共交通の整備に充当すべきだと思う。

Aさん―なるほどねえ。でも福田サンも大変ですねえ、テロ特措法のことだってあるし。

H教授―テロ特措法で給油活動の継続なんて言ってるけど、米国の対イラク政策だけじゃなく、対アフガニスタン政策だって破綻しかかっているんだ。もっと根本から議論するいいチャンスじゃないか。
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