環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第61講 『日本列島、1月の環境狂騒曲』
第60講 『京都議定書第一約束期間初年』
第59講 『翼よ、あれがバリの灯だ! 付:拡大フィフティ・フィフティ』
第58講「アフリカの心、日本の心―サンコン氏との対談」
第57講「第三次生物多様性国家戦略案をめぐって」
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No. 第60講 『京都議定書第一約束期間初年』
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Issued: 2008.01.16
H教授の環境行政時評(第60講 その1)

H教授―よお、オメデトウ。いよいよ京都議定書第一約束期間の初年になったな。

Aさん―別におめでたくもないんじゃないですか。世の中、暗い話ばっかりだし…。

H教授―挨拶とはそういうものなんだぜ。"How are you?" と聞かれれば、たとえ風邪を引いて体調が悪くても、"Fine thank you, and you?" と答えるだろう?

Aさん―わかりましたよ。(渋々)明けましてオメデトウございます。

H教授―随分ご機嫌斜めだな。あ、そうか、今年もカウントダウンは侘しくひとりで迎えたのか。まったく世の男どもは見る目がないねえ。

Aさん―そうですよね。ホント、見る目がないですよね。
(間を置いて)違います! 環境問題の行方を憂いているんです。
そんなことより、さっさと時評に入りましょう。

H教授―うん、まずは前講以降の出来事をざあっとおさらいしておこう。
UFOが政治問題に
Aさん―そうですねえ。はじめて政府内部で「UFO」に関する統一見解が出されたそうですけど、それに対して官房長官や防衛大臣が異論を述べ、閣内不一致だとして話題になりました。

H教授―ばかげているねえ。もとはと言えば、こんなバカな質問主意書を出した民主党の議員の方に問題があるんだが、それでもなんとか政府としての統一見解をつくった。
ところがその後、官房長官は「UFOはいるにちがいない、そうでなければナスカの地上絵などできるはずがない」だとか記者の前で持論を展開。加えて、防衛大臣は長々と「UFOが到来したときは領空侵犯に該当するか法的な検討が必要だ」などと記者会見でしゃべり出す。
UFO論よりもっと他にやるべきことがあると思うけどねえ。

Aさん―センセイはUFOのことはどう思うんですか。

H教授―Unidentified Flying Object つまり未確認の飛行物体がしばしば目撃されていることに疑いはない。だけど、それは未確認、つまり正体が現時点では不明だというだけの話。
UFOが「空飛ぶ円盤」だとか、異星人の乗り物だとするのは飛躍しすぎというか、はっきり言えば妄想の産物だと思うよ。
まあ、世の中にはUFO信者がいて、ロズウェル事件やらMJ12やらといった、おどろおどろしいトンデモ話が流布されている。ボクはそういうトンデモ本大好き人間なんだけど、そういった話は与太話として笑い飛ばしながら読むものなのさ。
間違っても国会で議論するような話じゃない。

Aさん―そんなこと言い切っていいんですか。万が一、それが妄想でなく、事実だとしたらどうするんですか。

H教授―そりゃあ、「空飛ぶ円盤」が国会前に着陸、異星人が降り立ったりして、紛れもない物理的な実在として確認できたなら、その事実を認めるし、喜んで自らの不明を詫びるさ。
実はボクはそうであることを望んでいるし、一度でいいからこの目で見てみたいと昔から思っているんだ。
でもねえ、昔っからこういう話が山のようにありながら、空飛ぶ円盤の残骸や異星人の遺体だとかいった確実な物理的証拠が、いまだに何ひとつないことこそが、この手の話がデタラメな妄想であることの経験的な証拠だと思っているよ。
幽霊と同じさ。いや、もっと言ってしまえば「神」とかいうようなものも同じかもしれない。

Aさん―じゃあ、センセイは宇宙人の存在も否定するんですか。

H教授―「宇宙人」とか「異星人」という言い方自体、人間の変な思い込みが入ってくるから使わない方がいい。「地球外(知的)生命体」とでも言うべきだろう。
生命とは何かというのがまずは定義されなきゃならないんだけど、一般的な意味の生命体が地球以外に存在するかどうかについては、どちらかいうと生物学者は否定的だけど、宇宙科学者は肯定的だね。
ボク自身は間違いなくいると思うし、さっきも言ったように早く見てみたい。
ただし、水、たんぱく質、核酸からなる地球型生命が地球以外にあるかどうかわからないし、直感的に言えば、それ以外にも生命の存在様式は多様なものがあると思う。
もっともそういった非地球型生命の場合、それらを「生命体」としてボクらが認識できるかどうかだってわからない。
霞ヶ関に埋蔵金?
Aさん―はい、この話はここまで。
UFO話が出てくるかと思えば、霞ヶ関の地下深くに「埋蔵金」があるんじゃないかというのも囁かれていますね。
赤城山麓だとか、多田鉱山跡だとか立山ザラ峠だとか全国各地に埋蔵金伝説があることは知ってましたけど、霞ヶ関の地下だなんて、ホント灯台下暗しですね。

H教授―おい、それマジで言ってるのか?

Aさん―ははは、冗談に決まってるじゃないですか(実はマジだった)。
でも埋蔵金って何のことなんです。

H教授―今、政府の抱えている借金は膨大なものがある。国債残高だけで600兆円だと言われている。来年度政府予算案でも歳入の方は税収が53兆円だのに、歳出は83兆円と、30兆円の赤字だ。その大半は新たな借金、つまり国債ということになる。
あまりにも赤字が大きすぎるんで、少々の歳出削減ではどうにもならない。だから消費税を引き上げたいというのが、財務省の本音だろう。

Aさん―ええ、でも政治家は選挙のことがあるから、歳出削減をいやがって大判振る舞いをやりたがる一方で、増税には世論の手前消極的なんですね。

H教授―ところが、実は霞ヶ関──つまり政府には膨大な隠し金というか、資産がある。それが「埋蔵金」と言われているものなんだ。

Aさん―ホントなんですか。

H教授―うん、多くの特別会計の中に、不要不急の積立金のようなものがあって、毎年の余剰金はその積立金に積まれるようになっている。
これを反財務省の議員たちは埋蔵金と呼んでいるようだ。一説では4〜50兆円もあるんじゃないかという話だ。これを出せば、増税は不要だという。

Aさん―他にも埋蔵金はあるんですか。

H教授―埋蔵金の定義がなされているわけじゃないので何とも言えない。
ただ、膨大な資産があることは事実だ。
例えば、政府日銀は米国の国債をしこたま買わされて塩漬けにしたままだ。これを売り払えば相当のものになるだろう。ま、できるかどうかは別にしてね。
それだけじゃない、単に資産ということだけで言えば、国有林の面積は国土の約2割をも占めている。これを資産で評価すれば膨大なものになるだろう。
国道にしたって、港湾にしたって、河川やダムにしたってそうだ。
こうしたものまで埋蔵金と強弁することもあながち不可能じゃない。

Aさん―そんなあ。まさか国道を売り払うわけにはいかないでしょう。

H教授―サッチャリズムというか夜警国家論を極限まで追及するとそういうことになってしまう。刑務所まで民営化する時代になったんだ。
だったら国道も多国籍企業にでも売っ払って、その多国籍企業は元の国道で通行料をとって商売すればいいじゃないか、という考えも成り立たないわけじゃない。

Aさん―まさかセンセイはそうしろと言うんじゃないでしょうね。

H教授―もちろん違うさ。ボクは夜警国家論者じゃないからねえ。
ただねえ、マトモな企業の経営陣なら年商だけじゃなくて、資産貸借表だとか、いろんな財務諸表で、借金や貸金、資産の現在額等の企業の実態を把握しているはずだ。
だけど政府の閣僚たちトップが、それをどこまできちんと把握しているか疑わしい。
そういう意味では増税に踏み切る前に、もっとわかりやすく資産公開をきちんとした方がいい。特に特別会計はわかりにくいからねえ。
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