環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第63講 「風雲急を告げる道路特定財源問題と温暖化問題」
第62講 『ニッポン、国内排出量取引制度導入に政策転換』
第61講 『日本列島、1月の環境狂騒曲』
第60講 『京都議定書第一約束期間初年』
第59講 『翼よ、あれがバリの灯だ! 付:拡大フィフティ・フィフティ』
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No. 第62講 『ニッポン、国内排出量取引制度導入に政策転換』
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Issued: 2008.03.12
H教授の環境行政時評(第62講 その1)

Aさん―センセイ、まったく今月(2月)に入ってもいろんな事件が目白押しですね。
中国製のギョーザに端を発する農薬混入事件も真相は不明なままだし、一方、ガソリンの暫定税率延長問題で国会は混乱の極み。
一向に先の見えない年金問題に、沖縄での米兵女子中学生暴行事件、それに海上自衛隊の最新イージス艦の漁船衝突事故とそれに引き続く防衛省のデタラメな対応。そして富山県入善町の「寄り回り波」という高波災害【1】
ほんとに暗い話ばっかりですね。怒りと悲しみでいっぱいですよ。

H教授―はは、そうカッカするなよ。まあ、沖縄の事件では、県民の怒りが爆発。一応の決着が付いたかにみえた辺野古沖埋立【2】のアセス調査入りは無期限延期となり、いつ開始されるかわからない状態になった。
米軍の基地移転問題が争点になった岩国市長選では、あまりにも露骨な政府の兵糧作戦で辛うじて移転反対派の現職市長を下したけど、タッチの差で起きた沖縄米兵の少女暴行事件が選挙前だったら、完全にひっくり返ってただろう。
政治や行政への不信感や不安感はこれまで以上に高まっているのは、紛れもない事実だろう。
前講で取り上げた、大阪府知事選【3】に引き続く京都市長選もそうだった。

Aさん―でも、京都市長選は大阪府知事選とはだいぶ違うでしょう。

H教授―京都市長選では、楽勝と思われた市議会与党の相乗り候補がマサカの大苦戦。
先の不透明なこの時代にあって、シャンシャンの相乗り候補だなんてふざけるなってことだったんじゃないかな。
米国式民主主義が理想だとは思わないけど、市民参加が徹底している大統領予備選挙などを見ていると、ちょっとうらやましいことはうらやましい。

【1】 富山湾の「寄り回り波」
http://www.tokyo-jma.go.jp/home/
toyama/koram.files/month12.htm
【2】 辺野古沖埋立
第26講(その1)「辺野古沖埋立ての新転回」
第21講(その1)「時評2−普天間飛行場の辺野古沖移設を巡って」
【3】 大阪府知事選
第61講(その1)「橋下サン圧勝―大阪府知事選」
中南米鉱工業排水研修の開始
Aさん―あと、センセイお気に入りのキューバですけど、とうとうカストロさんが引退しましたね。

H教授―うん、これで20世紀が完全に終わったのかなという感じだな。
もっともカストロさんは国家評議会議長という国家元首の座は退いたが、完全リタイアになるかどうかはまだわからない。ただ81歳という高齢で、体調もよくないようだから、もうそろそろ限界なんじゃないかな。

Aさん―でもその後任が実弟だなんて、ちょっとどこかの国みたいじゃないですか。

H教授―ラウル・カストロさんだね。でも、彼はキューバ革命のときからのカストロさんやゲバラさんの同志だから、世襲というのは言いすぎだろう。そんなことを言えばブッシュさんのパパも大統領だったし、福田サンのパパも首相だったぞ。

Aさん―あ、そうか。ところでこれでキューバは変わると思いますか。
H教授―ブッシュさんなんかはカストロという重石がとれて、反政府運動が燎原の火のように広がり、キューバ政府が倒れることを期待したかもしれないが、そうはならないだろう。
もちろん、格差の拡大を抑制しつつ、徐々に自由化への道を進んでいくとは思うけどな。
国民にはもちろん不満はあるだろうが、施政者層も質素な暮らしをしていて、ある意味で公正な──ひょっとすれば世界でもっとも公正かもしれない──社会であること、そして貧困をもたらしたのは、なによりも理不尽な米国の経済封鎖だということはわかってると思うよ。ま、詳しくは前に話した通りだ【4】
それに較べて、中国、北朝鮮、それにロシアなんかは…。
【4】 キューバ事情に関して
第52講(その4)「独断と偏見のキューバ社会論」

Aさん―センセ、センセイ、それ以上はダメ。
でも、相変わらずのキューバ贔屓ですね。忠臣蔵では吉良サンのファンだし、関が原の合戦では石田サンのファンだし、要はへそ曲がりなんだ。
ところで第二期キューバ特設研修というキューバ側の要請【5】はどうなったんですか。

H教授―JICA本部がうんと言わなかったから流れた。
ただ、その代わり、中南米地域を対象として、スペイン語による鉱工業排水研修が今年からスタートした。
3人×7カ国×3カ年で、キューバも対象だ。研修の実施はやはりGECに委託してやっている。

Aさん―センセイ、それにもコミットメントしているんですか。

H教授―仕方ないじゃないか。行きがかりということで運営委員会に関わってるよ。
各国3人としたのは、鉱工業排水に関わる複数の組織からチームを組んでもらうようにしたんだ。新しい試みだったけど、結果的には母国ではほとんどお互い知ることのなかった別の組織の3人が、3週間合宿して意気投合したようで、皆すごく喜んでいたような気がする。
「縦割り」の弊害というのは、別に日本に限らずどこにでも見られる話だけど、それに少しでも風穴が開けられれば大成功だろう。研修員の間ではお互いの国同士の理解というのも進んだような気がする。
3人×3年で9人が非公式にでもチームを組んでくれれば、社会は変わるかもしれない。
「昔、日本では『7人の侍』が村を変えた。あなたたちは母国で『9人の侍』になってほしい」と、閉校式では挨拶した。

Aさん―(キョトンとして)『7人の侍』? なんです、それ。
【5】 第二期キューバ特設研修
第52講(その3)「キューバ研修と環境研修のあり方をめぐって」

H教授―もういい、キミと話をしていると疲れてくるよ。
彼らの国の鉱工業排水にかかる状況を話してくれたんだけど、やはり大変みたいだ。多くの国では金を採掘している。金をいったん水銀との合金(アマルガム)にするため水銀を使ったり、金をシアン溶液に溶解させたりするから、水銀やシアンによる健康被害が出たりする。
また、上水道など整備されておらず、重金属汚染の恐れのある水を利用している地域が多かったりもしているようだ。
でも研修にきた彼・彼女らは底抜けに明るくって、打ち上げパーティーではすぐに激しいダンスが始まった。ボクらは途中で帰ったけど、なんでも午前3時まで踊り狂ったという話だ。

Aさん―センセイは運動神経が鈍いから、ダンスが大の苦手ですものね。
さあ、ぼちぼち本論にいきましょうか。
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