環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第64講 「エコツーリズム推進法と小笠原」
第63講 「風雲急を告げる道路特定財源問題と温暖化問題」
第62講 『ニッポン、国内排出量取引制度導入に政策転換』
第61講 『日本列島、1月の環境狂騒曲』
第60講 『京都議定書第一約束期間初年』
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No. 第63講 「風雲急を告げる道路特定財源問題と温暖化問題」
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Issued: 2008.04.10
H教授の環境行政時評(第63講 その1)

Aさん―センセイ、どこかへ出かけてたんですか。しばらくお会いしないうちにすっかり春になって、年度も今日で変わってしまいました。

H教授―うん、桜花爛漫だな。昨年よりだいぶ早い。これも気候変動の影響かな。

Aさん―梶井基次郎は「サクラの木の下には死体が埋まっている」と言ったそうですね。

H教授―くだらないことを知ってるな。

Aさん―なに言ってるんですか。センセイが教えてくれたんじゃないですか【1】。でも、「サクラの季には腐臭が漂う」という方が正解じゃないんですか。

H教授―おいおい、なんだ、いきなり。

【1】 サクラの木の下には…
第15講(その1)
新銀行東京に桜は咲くか
Aさん―石原サンの肝入りで作った新銀行東京が事実上破綻しているのに、その再建に東京都は400億円も出資することが決まったそうですね。
どう考えてもデタラメじゃないですか。税金ですよ、税金。これを腐臭と言わずして何と言うんですか。

H教授―ま、ボクは東京都民じゃないし、銀行経営のことなど何も知らないから、なんとも言いようはないな。

Aさん―再建計画なんてうまく行くはずないじゃないですか。

H教授―さあなあ、世の中、何があるかわからないから、うまく行くことが絶対ないとは言えないだろう。競馬の万馬券に当たる確率よりは相当低いと思うけど。
石原サンは、破綻の原因は元の経営トップの乱脈経営だって決め付けてるけど、元の経営トップにしたって別に私腹を肥やしたわけでもなさそうだから、彼にも言い分があると思うよ。それに、そもそも石原サンには任命責任もあれば監督責任だってあるだろう。
だのに都議会は石原サンの言い分を鵜呑みにして、元経営トップの参考人招致すらもやらなかった。しかも具体的な再建計画の中身すら明らかにしないまま可決しちゃった。ホント不思議だよねえ。
400億円出資してホントに再建可能だと思うのなら、万一破綻した場合に少なくとも石原サンは1億円、賛成した都議も1千万円は私財を投じるぐらいの覚悟は持ってほしいねえ。

Aさん―万一みごと再建して利益を出した場合は?

H教授―そりゃあ利益の5%を石原サン、賛成した都議にも応分のボーナスを出してやればいいだろう。そうすれば真剣に議論すると思うよ。

Aさん―また無茶苦茶を。

H教授―じゃ、本題に入る前に海外の事件も見ておこう。

キョージュ、チベット騒乱を憂う
Aさん―チベットで騒乱が起きましたね。

H教授―まあ、起こるべくして起こったんだろう。例えCIAの工作のようなものがあったとしてもね。
おそろしく広い国土に十数億の人間がいるんだ。そして、多くの民族がいて、宗教や風俗、文化も違えば、地域による経済格差もすさまじいものがあるんだもの、統一国家である方が不自然というものだ。
遠い将来は間違いなく、単一国家でなくて連邦制のようなものに移行せざるを得ないんじゃないかな。さもなければバラバラに分解してしまうか。

Aさん―じゃ、これからどうなっていくんですか…。

H教授―少なくとも、チベット、内モンゴルについては、住民が望むなら独立国家になるのが普通だろう。
ソ連も解体したんだ、いずれはそうなるんじゃないかな。できればソフトランディングしてほしいけどね。

Aさん―(読者に)センセイは中国に行ったことはないんです。思い付きと思い込みだけの典型的な床屋政談ですから、気にしないでくださいね。
そうそう、今日はエープリルフールですから。

ガソリン暫定税率期限切れをめぐるドタバタ劇
Aさん―ところで、センセ、いよいよガソリンの暫定税率が期限切れで、今日(4月1日)から大幅値下げですって。

H教授―ああ、混乱するだろうなあ。でも今日からというのはどうかなあ。今日以降に仕入れしたガソリンは廉くなるけど、在庫はそうじゃない。
でも、赤字覚悟で在庫のものも含めて値下げするスタンドも出ているようだし、一方じゃ1ヶ月後には衆院再可決でまた元に戻る可能性も高い。
まったく何をやってんだか。

Aさん―ぎりぎりの3月の最終週になって、福田サンが21年度から特定財源から一般財源化すると言い出しましたけど、なぜもっと早く言い出さなかったんでしょうかねえ。
そうすればまた違った展開になったかもしれないのに。

H教授―さあ、ボクら下々にはわかるわけもないけれど、ひょっとすると福田サンはわざと言い出すタイミングをぎりぎりまで遅らせたのかもしれない。

Aさん―はあ? どういうことですか。

H教授―早くに言い出せば、確実に政府・与党内からはブーイングの嵐で、撤回せざるを得なかったかもしれない。
だって、一般財源化は政治屋じゃないマトモな政治家なら誰でも考えることだし、コイズミさんだって安倍サンだってやりたかったんだけど、やれなかったんだ。
それくらい革命的なことなんだ。

Aさん―どうしてですか。

H教授―道路特定財源というのは不透明なブラックボックスで、土建屋国家の象徴みたいなものだし、多分いろんな利権がそれにべったりくっついているんだと思うよ。
その一般財源化は、国鉄民営化や郵政民営化よりもっと難しいことだと思うよ。
国鉄や郵政の民営化は対労働組合が大変だったろうけど、与党としてはやりたかったことなんだ。だけど、道路特定財源の一般財源化というのは、与党の最大のメシの種をつぶすようなものなんだもの。
現にあれだけデタラメな使い方がぼろぼろ出てきて、世論も特定財源をおかしいと思う人が圧倒的になった。
そして、野党となんらかの妥協の道を探さなきゃいけないというぎりぎりのタイミングでの福田発言だった。
それでも与党の幹事長も国交相も、一般財源化に対してどこか突き放したような冷淡な発言だったろう。それだけ特定財源というものが与党にとって魅力的なんだ。

Aさん―でも31日の閣僚協議会では、福田サンの方針でいくと決めたってありましたけど。

H教授―野党が拒否したからどうせできないとタカをくくっているか、面従腹背を決め込み、一般財源化を隙あらば阻止するか、骨抜き・形骸化させようと思っている輩も多いに違いないと思うよ。
それこそ国交省は必死になって巻き返しを図るだろうしね。

Aさん―でもなぜ野党はノーだったんですか。

H教授―さあ、小沢サンに聞いて見なければわからないけど、いっときでもガソリン値下げという成果を国民にアピールし、選挙戦を有利にしたかったのかも知れないし、福田サンの言う一般財源化にしても実現する担保が何もないことに警戒感を持ったのかもしれない。

Aさん―だって首相の発言ですよ。そんな軽いわけないでしょう。

H教授―細川首相(当時)は国民福祉税構想をぶちあげ、あっという間に撤回した。もう十年以上前の話だけど。
ま、スジ論としては道路特定財源制度をやめるのなら暫定税率は廃止というのが正しいんだろうけど、日本の財政赤字や新たな行政需要を考えればそんなのは空論で、ボクは暫定税率維持という福田サンの発言は至極もっともだと思うけどね。
それに年末に発表した民主党の税制改革大綱じゃ、福田発言とそう大して変わっていないはずで、ガソリン値下げ、値下げと騒ぐのはどうかと思うな。

Aさん―でも世論調査では、暫定税率廃止、ガソリン値下げを歓迎する国民が多数派みたいですよ。

H教授―そりゃあそうだろう。誰だって税金は廉い方がいいに決まってるし、行政サービスは手厚い方がいいに決まってるから、世論調査すればそうなっちゃうだろう。
だけどできないものはできないに決まってるし、国民にだってそれはわかっている。だから政治家には国民への説明責任が必要なんだ。

Aさん―これからどうなるんでしょう。
H教授―さあ、わからない。この時評がアップされる頃には新たな展開があるかもしれないけど、一寸先は闇だね。
ボクの持論【2】は、暫定税率分は環境税の一部にすることなんだけど、展開次第でその可能性はゼロではないかもしれない。もちろん道路族や国交省の巻き返しによって頓挫する可能性の方が高いだろうけどね。

Aさん―それにしてもこの問題に関して、環境省サイドの発言がまったくないというのも情けないですね。

H教授―ま、国交省を敵に回したくなかったんだろう。たとえ特定財源のままでも、道路に関連しての環境対策にオカネが回るのは間違いないだろうしね。

Aさん―そんなもんなんですかねえ。

H教授―そんなもんなんだよ。
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【2】 キョージュの持論
第62講(その3)「山場に来たガソリン暫定税率延長問題」
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