環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第65講 「08年5月、神戸のG8環境大臣会合をめぐって」
第64講 「エコツーリズム推進法と小笠原」
第63講 「風雲急を告げる道路特定財源問題と温暖化問題」
第62講 『ニッポン、国内排出量取引制度導入に政策転換』
第61講 『日本列島、1月の環境狂騒曲』
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No. 第64講 「エコツーリズム推進法と小笠原」
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Issued: 2008.05.15
H教授の環境行政時評(第64講 その2)
暴走?する橋下サン

Aさん―そういえば大阪府も1100億円カットという改革プロジェクトチーム(PT)案を公表し、各課とPTのやりとりや知事と市町村長とのやりとりまで、オープンにしているそうですね【6】

H教授―橋下サンのやっていることで、唯一評価できることだね。

Aさん―“唯一”? ひゃあ、これは点が辛いですね。

H教授―今のところは拍手喝采、圧倒的な支持率みたいだけど、それは現時点で総論しか言っていないからだ。あの路線がもたらす激烈な痛みが府民には実感できていないんだろうし、一方で、テレビ受けするパフォーマンスが好感を与えているんだと思うよ。
やがて各論に入って予算編成にとりかかるけど、あのPT案通り、強引に1100億円カットを断行しちゃえば、「手術は成功したけど、患者は死んだ」ってことになりかねず、ブーイングの嵐の中で失速するんじゃないかなあ。
府財政は好転したけど、傘下の市町村が次々と夕張のようになっちゃったら、どうしようもないだろう。

Aさん―でも財政再建しなければいけないことは確かでしょう。
【6】 大阪府「財政再建プログラム試案」について
http://www.pref.osaka.jp/zaisei/
kaikaku-pt/shian/index.html
H教授―そりゃあそうだ。だけど、ただカットするだけじゃあ、だめだよ。
例えば、既存のある事業について、それと同等の効果を生む、もっと安価なやり方のアイデアを全庁的に募集すればいいだろう。
また、ユニークで、格差拡大にはつながらない法定外目的税のような、なんとか収入を増やすようなアイデア募集だっていい。職員にやる気を出させる方法がもっとあると思うな。
そのくせ、御堂筋イルミネーション構想なんて思いつきに20億円出すって言うのは、一体なんなんだ。
それから、今まで何度も話題にした淀川水系【7】の話だけど、3800億円かけて4ダムを建設するという国土交通省近畿地方整備局の河川整備計画原案に対し、同局の諮問機関である淀川水系流域委員会が「ダム建設は不適当」って意見書を出した。4ダムの建設費については、地元負担もあり、その額は大阪府では400億円だという試算もある。
新聞報道では、橋下サンは費用対効果と「わかりやすい説明」を同局に注文しただけだ。
今じゃあ、利水と言ったって水は余っているし、治水の方は総合治水という考え方が世界的な主流だ【8】。しかも流域委員会の委員長はウラのウラまで知り尽くした淀川工事事務所長だった元技官のMさんだ。どう考えても流域委員会に軍配があがるだろう。
橋下サンは「冗談じゃあない」って、どうして即座に蹴飛ばさなかったんだろう。

Aさん―まあ、最後には蹴飛ばすことになるんじゃないですか。

H教授―でも、マスコミも随分と橋下サンを持ち上げてるよね。これこそダブルスタンダードだ。

Aさん―え? どうしてですか。
【7】 淀川水系の話題
第2講(その2)「脱ダム宣言と淀川水系流域委員会提言について」
第5講(その1)「淀川水系脱ダムの行方」
第8講「読者のお便り part2」
第9講(その2)「夏のできごと・4 ──淀川水系5ダムのその後」
第12講(その2)「淀川水系のその後」
第45講(その3)「新たな河川行政の芽生え」
第47講(その3)「淀川水系流域委員会休止」
第56講(その3)「淀川水系流域委員会再開」
【8】 総合治水について
第22講(その2)「時評2 ─総合治水」

H教授―橋下サンは公務員の給料は高すぎるなんて言って、府民のルサンチマンにおもねっている。
だけど、よく考えてみろよ。橋下サン自身は公務員としての最高収入を得ながら、タレント活動をやめてはいないんだ。
太田サンは90万円の講演料で散々マスコミから叩かれたのに、橋下サンの公務外でのもっと高い収入に対して一言もクレームをつけないというのは、明らかにダブルスタンダードじゃないか。
H流フィフティ・フィフティ【9】ぐらい主張したっていいと思うけどね。
大体、大阪府は人事委員会勧告を無視して給料を抑制してきたんだ。府下の自治体だってそうだ。それでも人件費が高いと言う橋下サンを無責任に持ち上げるマスコミの連中は、府の職員よりもはるかに高給とりなんだぜ、まったく。
…もうやめよう、この話は!
 
【9】 フィフティ・フィフティ論
第59講(その4)「拡大フィフティ・フィフティ」
米国の新GHG総量目標発表

Aさん―はは、相当カッカきてますね。
ところでブッシュさんが米国の温暖化対策の目標を提示しましたね【10】

H教授―うん、2025年にはGHGの排出量の伸びを止める、つまりあと17年間は増やし続けるって内容だね。呆れてモノがいえない。

Aさん―ドイツの環境相は「ネアンデルタール人の演説だ」って酷評してましたね。

H教授―冗談じゃない。それはネアンデルタール人に対する侮辱だ。SF界最高の賞であるヒューゴー賞受賞作の「ホミニッド ─原人―」(R・ソウヤー)を読んでみろよ。

Aさん―そんなペダンチックな話はどうでもいいです。
7月に洞爺湖サミットがあって、その前哨戦で、今月下旬に神戸で環境大臣会合がありますよね。それに関連して、いろんな会議やイベントが神戸で行われるんでしょうけど、可哀想に、またブッシュさんがボロカスに叩かれるんでしょうね。

H教授―自業自得だろう。

Aさん―ところでセンセイは、環境大臣会合に関連する会議やイベントで、出番があるんですか。

H教授―当然だろう。5月18日にうち大学が主催、毎日新聞、神戸新聞共催で「ポスト持続可能社会を見据えて──誰がために鐘をならすのか」というイベントに出ることになっている。滋賀県知事の嘉田(由紀子)サンと兵庫県知事の井戸(敏三)サンが対談し、そのあと、ボクを含めた4名に嘉田サンも加わって、パネルディスカッションを行うことになっているんだ。
 
【10】 アメリカ政府の温暖化対策に関する中長期目標について
President Bush Discusses Climate Change (April 16, 2008)
Fact Sheet: Taking Additional Action to Confront Climate Change
鴨下大臣記者会見録(平成20年4月18日(金))
環境事務次官会見要旨(平成20年4月17日(木))
生物多様性基本法の動き
Aさん―(小さく)そうか、みんなの引き立て役になるわけね、センセイも可哀想に…。
ところで、生物多様性基本法を作るという動きがあるそうですね【11】

H教授―うん、与党と民主党それぞれが検討していて、与党の法案要綱も決まり、民主党はすでに独自の法案を提出している。GW明けから一本化協議がはじまるそうだ。
政治空白とか言われているけど、これはすんなり議員立法で決まるかもしれないな。

Aさん―どういう内容なんですか。

H教授―基本的には基本法だから理念的なものになるんだけど、与党の要綱では生物多様性条約に基づいて閣議決定されていた生物多様性国家戦略の根拠法にするとともに、生物多様性に影響を及ぼすような開発行為に対して早期の段階からSEA、つまり戦略アセスを義務付けるらしい。
民主党案では、SEAに関しては別途法案を検討中とのことで、外しているようだ。

Aさんアセスの義務化について、規模要件も決めるんですか。
【11】 生物多様性基本法(案)
民主党>生物多様性基本法案(仮称)へのパブリックコメント
民主党>生物多様性基本法案を衆議院に提出
野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク>「民主党・生物多様性基本法案(仮称)」に対する意見書

H教授―いや、そこまでは要綱には書いてなかった。そもそもこの基本法でそこまで規定するのか、それとも具体的なことはアセス法改正でやろうとするのか、どういう規模要件にするのかというのは、ちょっと議論がいるような気がするけどなあ。
まあ、こういう理念法はあってもいいけど、既存の自然環境保全法だとか、アセス法との整合性を図る作業は大変だろうな。
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