環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第69講 「激動の9月」
第68講 「夏の夜の夢―キョージュの2030年論」
第67講 『戦いすんで日が暮れて─洞爺湖サミット終了!』
第66講 「福田ビジョンを超えて」
第65講 「08年5月、神戸のG8環境大臣会合をめぐって」
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No. 第68講 「夏の夜の夢―キョージュの2030年論」
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Issued: 2008.09.04
H教授の環境行政時評(第68講 その2)
ゲリラ豪雨、親水公園を襲う

Aさん―さて、先月末からしばしば“ゲリラ豪雨”があって、神戸の都賀川の親水公園では水遊びをしていた小学生ら4人が突然の増水で不幸にも亡くなってしまう事故が起きました。亡くなった小学生のご冥福をお祈りしたいですね。
ところで、こういうゲリラ豪雨の回数が年々増えているそうですね。

H教授―年々というわけじゃあないけど、5年単位ぐらいの平均値で見てみると明らかに増加しているし、そのときの雨量も増加傾向にあるようだ。ボクは気象のことはよくわからないけど、こういうゲリラ豪雨の頻発にはヒートアイランド現象温暖化が関与していることは十分考えられるそうだ。

Aさん―この事故で「よい子は川で遊ばない」みたいな風潮が戻ってくるのはイヤですね。
やはり警報システムのようなものが必要なんでしょうか。

H教授―すべての川にそんなことをするのは不可能だろう。上流で雨が降れば、突然の増水もあるということを周知徹底したうえで、あとは自己責任でリスク管理するしかないよ。
そもそも、都市的利用を優先するがあまり、都市河川は狭い川幅──あえて言えば垂直護岸で固めた排水路にしてしまったのが元凶と言える。おまけに、町全体をコンクリートジャングルにして、雨水が浸透できなくしてしまった。
迂遠なようだけど、ヒートアイランド現象の緩和と、雨水浸透・地下水涵養のために都市緑地を増やすこと、道路などの舗装は補修時に若干のコストがかかっても透水性舗装に切り替えること、さらには雨水利用を積極的に推進していくことだろう。
もちろん、親水性の維持確保は今後とも続けていくべきだ。
淀川水系4ダムと地方自治体

Aさん―洪水といえば、淀川水系4ダムについて【4】、大阪、京都、滋賀の三知事が国土交通省に連名で意見を提出する方針を決めたそうです。いつになるか、どんな意見になるかは、まだわからないそうですけど。

H教授―いいことだね。4ダムのうち滋賀県の大戸川ダムについては、すでにダムではなく堤防などによって洪水防止を図るという滋賀県独自の代替案がまとめられているそうだ。橋下さんだって、予算カットにしゃかりきなんだから、負担金にノーというしかないだろう。
これで三知事が真っ向から反対意見を述べれば、国土交通省も強行突破はできないと思うな。
ことここに至れば、役人でなく、政治家の決断が必要なんじゃないかな。前任の国土交通大臣は役人のいうがままだったらしいけどね。
【4】 淀川水系4ダム
第66講(その3)「淀川水系4ダムと橋下府政」
第64講(その2)「暴走?する橋下サン」
第56講(その3)「淀川水系流域委員会再開」
第47講(その3)「淀川水系流域委員会休止」
素人知事の<暴論>考

Aさん―その橋下さんですが、関西三空港に関連して、伊丹は廃港も検討すべきだなどと述べて、“暴論”だとか“素人の発想だ”などと総スカンをくってますね。

H教授―暴論と言うけど、現実性があるかどうかは別にして、正論だと思うよ。関西の空港問題については前にも言ったけど、正論が次々と敗れていった歴史なんだ【5】
ま、個人的には伊丹空港の方が関空よりはるかに便利だから残してほしいけどね。

Aさん―へえ、橋下サン嫌いのセンセイが珍しく橋下擁護なんですね。

H教授―好き嫌いと政策評価は別だ。ついでにいえば老朽化した府庁の立替問題をめぐって、遊休化しているWTCコスモタワーを府が市から買いとってそこを府庁にすればいいとか、府と市が一体化すべきだとかいう橋下サンの発想自体はボクも評価しているんだ。
ただそうなった場合、府庁までやたらに遠くなるから検討会などで呼ばれたときに行くのが大変になるから、個人的には迷惑なんだけどね。

Aさん―センセイ、そんな心配不要ですよ。何年も先の話でしょう。センセイ、とっくに定年になってヨボヨボ。府の検討会に呼ばれることもないですから。
【5】 関西の空港問題史
第6講(その4)「コーベ空港・断章」

H教授―キミもえげつないこと平気で言うよなあ。

Aさん―違うんですか。

H教授―そりゃそうかもしれないが、惻隠(ソクイン)の情ってものがあるだろう。

Aさん―ワタシはショクインじゃありません、院生です。

H教授―(小さく)日本語もろくに知らない院生か…。
改造福田内閣スタート

Aさん―センセイ、ところで先月末に内閣改造がありましたね。

H教授―うん。福田さんもこれでやっと自前の内閣を持てたということだ。新自由主義を標榜するコイズミ改革と縁切りができたと言っていいだろう。ただ、今度は旧来のバラマキ型政治屋からの圧力が強くなるんじゃないかな。

Aさん―もうすでに兆円オーダーの補正予算の話が出てるみたいですね。

H教授―例えば燃料高で採算割れしている漁業者に、ただ単に燃料費の増加分を補填するだけってのはいただけないねえ。そりゃあ、緊急措置としてやむをえないかも知れないけど、同時に燃料高が今後続いても、やっていけるような抜本的な方策を考えるのが政治だろうと思うけどね。
いずれにせよ、もはやバラマキ路線に戻ることができないことは福田サンも十分承知だと思う。そこをどううまく舵取りできるか、まずはお手並み拝見だね。

Aさん―今度の環境大臣はいかがですか。

H教授―斉藤(鉄夫)サンだね。個人的にはまったく知らないが、公明党で、珍しく理系のバックグラウンドを持った人だそうから、期待したいね。
温暖化対策の中期目標として、日本としては最低でも対90年比で25%カットだと抱負を述べ、経産省に挑戦状を叩きつけていた。その言やよしだ。それになんといっても公明党ってのは連立政権の生殺与奪の権を持っているんだ。がんばってほしいねえ。
また、文部科学大臣に就任した鈴木サンは昔からの環境族で、小中学校の教科に「環境」というのを作りたいと言っている。環境教育推進法立法のときにも頑としてカリキュラムへの干渉を拒否した頑迷な文部官僚相手【6】にどこまで頑張れるか見てみよう。
【6】 環境教育推進法
第8講(その3)「環境教育推進法の成立」
「低炭素社会づくり行動計画」閣議決定

Aさん―いよいよ9月には国会が始まりますし、税制改正や21年度予算でどれほど福田カラーが出せるかですね。
そういえば内閣改造直前に「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定しましたね。

H教授―うん、第66講でも紹介した福田ビジョン【7】を明文化したものだね。
2050長期目標を現状から60〜80%カット、世界全体のGHG排出量を今後10〜20年間にピークアウト──つまり減少──させる、また来年のしかるべき時期に日本の中期目標としての国別総量目標を明らかにするなどと言っている。
国内排出量取引は10月から試行的実施するそうだし、本年度秋の税制改正では環境税の取り扱いを含め税制グリーン化を推進すると随分前向きだ。

Aさん―そういえば経産省は自動車税を現在の排気量でなく、CO2排出量に応じて決めるという方針を打ち出したそうですね。
【7】 福田ビジョン
第66講(その1)「福田ビジョンの可能性と限界」

H教授―うん、それだけじゃなく、「見える化」策としてのカーボンフットプリント【8】についても9月中に経産省はガイドラインを策定するそうだし、そのISOの規格化に向けても積極的に対応していくそうだ。
あと、この閣議決定で注目したいのは、「ドイツを含む諸外国の再生可能エネルギー政策を参考に大胆な導入支援策や新たな料金システム等を検討」と言っていることだ。
わざわざドイツと明示していることは、現在のRPS法のようなおざなりなものでなく、自然エネルギー固定価格買取制度の導入も視野に入れているんじゃないかな。
【8】 カーボンフットプリント
第66講(その1)「福田ビジョンの可能性と限界」
Aさん―で、8月21日からは、ガーナで気候変動枠組条約締約国の作業部会が開かれ、日本政府は「セクター別アプローチ」【9】を正面から打ち出すとともに、国別総量目標を定めるのは先進国のみと、米国と一線を画するような提案をしたんですね。

H教授―うん、この部会は今も続行中なので、それ以上の言及は控えよう。

Aさん―じゃ、今日のメインディッシュはなんですか。
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【9】 セクター別アプローチ
第63講(その2)「温暖化対策の国内動向」
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