環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第72講『2009年霧中の旅―新春呆談』
第71講『いまこそ「時のアセス」を!』
第70講『憂鬱なる硬派―「人類は絶滅する」考』
第69講 「激動の9月」
第68講 「夏の夜の夢―キョージュの2030年論」
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No. 第71講『いまこそ「時のアセス」を!』
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Issued: 2008.12.05
H教授の環境行政時評(第71講 その1)
オバマ政権を占う

Aさん―センセイ、オバマさん、地すべり的な大勝利でした。代議員数でダブルスコアですよ。よかったですね。やはり合言葉の<チェンジ!>が利いたんですかね。

H教授―代議員数はそうだろうけど、それはアメリカの選挙制度のせいで、票数ではそんな大差じゃないことを忘れちゃいけない。もちろん、“ブッシュ・ノー、チェンジ!”ということの表れだろうけど、マケインさんもブッシュさんと距離を置こうとして涙ぐましい努力をしていた。ただ、マケインさんの奇策が裏目に出たこともあるんじゃないか。

Aさん―というと?

H教授―副大統領候補にアラスカ州知事のペイリンさんを担いだ。まだ若い庶民的な主婦候補だということで、支持率は急上昇したけど、彼女のお粗末な知的レベルが露わになってから、一気に評判は下落した。

Aさん―そんなお粗末なんですか。

H教授―そりゃあ、アフリカを一つの国だと思っていたなんて知的レベルじゃ、有権者が見放すのも当然だろう。どっかの国の総理大臣が、漢字の読み間違いをしょっちゅうしているそうだけど、そんなことの比じゃない。

Aさん―へえ、“そんなことアラスカ”って感じですね。

H教授―オバンギャグか…。

Aさん―(真っ赤になって)セ、センセイのレベルに合わせただけです!
そんなことより、オバマさんになってどう変わるかの方がはるかに重要でしょう。

H教授―うーん、具体的にはよくわからない。規制緩和一辺倒だったブッシュさんだって、サブプライムローン問題が明るみに出たり、リーマンブラザース破綻以降はそうはいかなくなったみたいだから、経済政策は基本的には変わらないかもしれない。
ブッシュさんはやむを得ない不本意な緊急対策だと思い、オバマさんは本来的な政策だと思ったとしても、この超不況期にはやることは基本的に変わらないんじゃないかなあ。

Aさん―でも外交政策や環境政策は変わるでしょう。

H教授―外交では単独主義から協調主義に変わるだろうし、イラク侵攻はそもそもの誤りだったと公言はしても、イラクから即時撤退とはいかないだろう。アフガンについても軍事圧力を強めると言っているから、そう大きな変化を期待する方がムリだろう。
ただ、反米色を強めていた中南米なんかとの関係は好転するかもしれない。

Aさん―でも日本政府は、オバマさんが「イラク侵攻はそもそも誤りだった」と言ったら、どうするんでしょうね。

H教授―ふふ、できればコイズミさんに聞いてみたいよね。

Aさん―環境問題はどうですか。

H教授―ブッシュさんがゴーサインを出した、ユタ州沿岸の原油開発方針は取り消すそうだ。
温暖化対策でも「2050年にGHG80%カット」を表明して、一応、日米欧の長期目標は平仄がとれるようになった。

Aさん―よかった。早くブッシュさんは歴史のくずかごに消えてほしいですね。

H教授―ふふ、キミのブッシュさん嫌いも相当なものだな。
ただ、2020年の中期目標については90年レベルに戻すということで、日本の経産省や経団連と同レベルのことしか言っていない。

Aさん―なんだ、ちょっとがっかりだな。

H教授―ま、2025年まで増やし続けるというブッシュ路線【1】に較べりゃ、ぐっとマシさ。
でも、オバマさんは軸足を民主党リベラル左派に置かずに、共和党穏健派を取り込む中道路線を意識的にとるように思えてきた。経済危機に対応するための挙国一致政権ということを意識しているのかもしれない。国防長官だって留任という話だし。

Aさん―で、うまくいくんですか。

H教授―わかんないけど、米国の経済危機は泥沼の様相を呈してきた。シティグループやファニィ・メイも危ないらしいし、GMなども救済するとすれば、米国の不況は一層深刻になり、ドルは遠からず基軸通貨から転落することだって考えられる。
つまり、ソ連崩壊以降、米国の単独覇権が続いてきたけど、それが崩れて一気に多極化時代に入るということかもしれない。

Aさん―じゃあ、ひょっとして円が世界通貨になるのかしら。

H教授―日本だって安泰じゃない。農林中金が危ないなんて話もあるし、GDPは確実にマイナスが続くだろう。むしろ、今後の日本はGDPマイナス成長を前提として、それでも楽しく暮らしていけるという構造改革を考えなきゃいけないんじゃないかな。
そういう意味では、相も変わらずプラス成長を至上命題にしている日本社会は、まだまだ能天気だと思うけどな。
【1】 ブッシュ政権のCO2排出削減方針
第64講(その2)「米国の新GHG総量目標発表」
官僚テロ?

Aさん―気が滅入るから、その話題はやめましょう。
センセイ、元厚生事務次官を狙ったテロ事件が起きました。センセイも知っている人じゃないんですか。

H教授―殺された山口サンは厚生省ではボクの二期上だけど、幸か不幸か、レンジャーに関しては厚生省は人事院試験がどうあろうと、一切キャリア扱いしなかったから【2】、面識はないんだ。でもいい人だったという話はよく聞かされてたから、たまらないよね。奥様ともどもご冥福をお祈りしよう。
でもねえ、あんなのをテロだなんていうから世の中おかしくなる。いつの時代にでも起こりうる異常人格者の異常な犯行であって、それ以上でもそれ以下でもない。テロだとかなんだとかいう、変な意味づけだけはするべきではないと思うよ。

Aさん―「2ちゃんねる」じゃあ、賞賛の書き込みが結構あるそうですね。
【2】 厚生省のレンジャーに対する扱い
第56講(その4)「回想―役所新人時代」

H教授―そちらの方も大問題だね。匿名ネット社会は、封印された人間の負の情念を解放するという、極めてネガティブな面も持っているんだ。これで模倣犯が出てくるなんてことにならなきゃあいいけどね。

Aさん―かと思えば、海外に目をやればムンバイの惨劇ですもんね。

H教授―うん、やりきれないことが多い。
麻生サン寸評

Aさん―やりきれないといえば、日本のソーリは「怪我」をカイガと読んだそうですね。「踏襲」はフシュウだそうです。

H教授―ま、日本の顔がそれじゃあ正直恥ずかしいけど、キミだってエラそうなことはいえないだろう。コウソウ、コウソウっていうから、なんだと思えば「更迭」のことだったもんな。

Aさん―(真っ赤になって)そんなこと、ばらさなくたっていいじゃないですか。もうセンセイを更迭したいわ。

H教授―ま、それはともかくとして、麻生サンに関して言えば、就任2ヶ月でもう政権末期の様相だね。定額給付金にしたって、地方整備局と地方農政局との統合、廃止の話にしたって、言った次の日からころころ変わるようじゃどうしようもない。
閣僚も官僚もバカにしてマトモに相手にしていないみたいだし、失言か本音かはともかくとして、非常識な発言をぼろぼろしては、陳謝取り消しの繰り返し。
しかも、そのことを恬として恥じる気配もないんだから、どうしようもないじゃないか。

Aさん―センセ、そんな一刀両断じゃダメですよ。
ただ単にセンセイが麻生サンを嫌ってるだけのように聞こえますよ。
ま、確かに麻生サンは毛並みもいいし、大金持ちですから、センセイが僻むのもわかりますけどね。

H教授―バカいうな。嫌ってなんていないよ。人は悪くないんだろうけど、お粗末だなあって思ってるだけだ。
じゃあ、一つひとつ見てみようか。
まずは定額給付金のドタバタ。
全世帯に給付するって言ったけど、金持ちにも給付するのかって言われたら、金持ちは除くなんて言ってしまった。

Aさん―ま、確かに金持ちに給付するのは、国民感情からしてオカシイですよね。

H教授―だからといって、国民総背番号制を敷いているわけじゃないから、その事務手続きは膨大なものになり、実施は困難だ。

Aさん―だから、辞退を呼びかけると言ってみたり、とどのつまりが、給付事務に当たる市町村の判断に委ねるそうで、要は自治体に丸投げ。で、これが地方分権だなんて言ってのけたから、自治体はカンカン。

H教授―しかもその給付金は緊急対策だなんて言っておきながら、結局のところ今国会ではその給付金を含めた二次補正予算案は提出せず、来年回しになった。

Aさん―で、センセイのご意見は?

H教授―いやあ、これぞ世紀の愚策だろう。何年か前に総額7000億円の地域振興券という愚策があったけど、今回は額が違う。その3倍、なんと総額2兆円だぜ。
2兆円あれば、いろんなことができる。それをただばらまくってのはあんまりだろう。
だったら低額所得者中心に大幅な所得減税をし、所得税も免除されているような世帯には生活保護費の増額などで対応するだとか、いくらでもやりようがあったと思うよ。
同じばらまくのなら、昔竹下サンがやった「ふるさと創生」のような、市町村へのお年玉の方がまだマシだと思うよ。

Aさん―お年玉?

H教授―うん、交付税不交付団体以外の全市区町村に、それぞれ1億円をばらまいたんだ。市町村はそれで温泉を掘ったり、金塊を買って展示したり、世界一の滑り台を作ったりといろんなことをした。
それでも総額三千何百億円かだ。
今度は桁外れの2兆円。だったら人口に比例させて市町村に配って、使い道を市町村に任せりゃあいい。
人口5000人の村だって1億円近い金額になるし、ボクのいるS市は10万人ちょいだから、20億円近い金になる。そして、市町村はそれをどう使うかをみんなで議論すればいい。議論が盛り上がり、その議論だけで地域は相当活性化すると思うよ。
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