環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第73講『当たるも八卦、当たらぬも八卦、新たな海域保護制度 ―付:ダーウィン生誕200年』
第72講『2009年霧中の旅―新春呆談』
第71講『いまこそ「時のアセス」を!』
第70講『憂鬱なる硬派―「人類は絶滅する」考』
第69講 「激動の9月」
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No. 第72講『2009年霧中の旅―新春呆談』
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Issued: 2009.01.13
H教授の環境行政時評(第72講 その1)

H教授―やあ、明けましておめでとう。

Aさん―センセイ、なにがオメデタイんですか。
オメデタイことなんてなんにもないじゃないですか。ミ・ゾ・ユウの経済危機の中で、非正規労働者は3万5千人が解雇され、春までには30万人解雇だって話もあります。アタシの就職だって、難しそうだし…。
一方じゃあ、イスラエルがガザを連日空爆した上、ついに地上侵攻。ジンバブエでもコレラが大流行するなど、暗いことばっかりです。
そりゃあ、アタシだって、明けましてオメデトウって言いたいんですけど、とても言う気になれません。

H教授―それでも正月にはオメデトウって挨拶するんだ。それが日本の文化というものだ。"How are you?" と言われりゃあ、風邪で調子悪くったって"Fine thank you, And you?" って答えるのと同じようなもんだ。
Aさん―ぷっ、同じことを去年の正月もおっしゃってましたね【1】
でも、センセイ、ハワイに行かれたとき、"How are you?" って言われて、"How are you?" って返したそうじゃないですか。
センセイの環境庁時代のお友達が "How do you do?" と勘違いしたんだろうって、笑いながら教えてくれましたよ。あと、"Thank you" と言われて、"You're welcome" と言えずに、"Thank you" と返したそうじゃないですか。
【1】 「明けまして…」の常套句
第60講(その1)

H教授―(真っ赤になって)う、うるさい。誰だ、そんなことを教えたやつは! …S君か、それともT君か、チクショウ。

Aさん―ふふ、ま、それはいいじゃないですか。お正月から、カッカ来ちゃあダメですよ。

H教授―カッカ来てるのはキミじゃあないか。まったく…。

Aさん―それはともかくとして2008年は大変な年でしたねえ。
サブプライムローンに端を発し、リーマンブラザーズの破綻以降、とてつもなく深刻な世界同時経済危機に見舞われ、金融業界だけでなく、米国のGMなど自動車御三家も売れ行きは半減し、風前の灯みたいです。
日本でも、一気に円高になって、輸出企業はアップアップ。あのトヨタまでもが大幅赤字に転落しました。
またサブプライムローンの破綻は、いろんなところに波及し、農林中金だとか、資産運用に失敗したところが続出しています。
H教授―確かに不況は深刻なようだ。ボクの第二作の売れ行きもイマイチのようだし【2】

Aさん―そんなの関係ないですよ。第一作を読んだ人は、誰も第二作を買おうとは思わなかっただけでしょう。
そんなことより、大学までもが何百億円と赤字を出したところがあり、理事長が解雇されたところもありましたね。ウチの大学は大丈夫なんですか。
【2】 キョージュの著作
第71講(その4)「遠慮しつつも「ぼく自身のための広告」」
第60講(その4)「遠慮がちのPR」

H教授―(不機嫌に)知らないよ、そんなこと。ボクには大学や学部のことはわからないし、そんなことより自分の授業とゼミのことで、手一杯なんだ。

Aさん―手は一杯でも、遊んでいる足で、ミオと戯れ【3】、あとは石っころ集めに奔走しているんですね。<研究>の方はどうなっているんですか。

H教授―ボクに<研究>などできるわけないだろう。そんなこというのは木に魚を求めるようなもんだ。

Aさん―(小さく)あ、居直っちゃった。オタク本のことで傷つけちゃったかな。

H教授―キミこそ、修士論文の方はどうなったんだ。

【3】 愛猫ミオ
第46講(その3)「動物愛護を巡って2 ──動物愛護管理法の話」
成果の乏しかったCOP14

Aさん―(慌てて話題をそらす)えー、そろそろ本論に入りましょうか。
もう去年のことになっちゃいましたけど、前講以降の動きをさらっとおさらいしておきましょう。COP14が終わりましたけど、何か成果はあったんですか。

H教授―前講で予想したとおり、さしたる成果はなく、今後の作業日程だけが定められたといって過言じゃない。
EUはその直前の首脳会議でポスト京都の包括的な温暖化対策案を合意したが、もう一方の米国が死に体の大統領じゃどうしようもないだろう。
「2050半減」を先進国側が言えば、途上国側は「2020先進国中期目標」の明示が先決と譲らず、全世界が協力して今世紀半ばまでにとるべき長期的な行動とされる「共有ビジョン」は、ついに持ち越しとなった。

Aさん―今後の作業日程はどうなっているんですか。
H教授―今年の年末にCOP15がデンマークのコペンハーゲンで開かれ、ここでポスト京都の枠組みを定めるとされている。そのための本格折衝は6月の作業部会で示される予定の議長案が出てからということになる。
日本はそれまでに中期目標を決められるかどうかだけど、環境省と経産省の主張に隔たりがありすぎる【4】。だから、最後は政治のリーダーシップによる政治決着ということになるんだけど、いかんせん、今の政治状況ではどうにもならない。
それまでに行われるだろう総選挙の結果次第ということになるんじゃないかな。

Aさん―民主党政権が誕生すれば、多分環境省寄りの決着になるんでしょうけど、そうじゃない場合はどうなるんですかねえ。

H教授―さあねえ。「対90年比ゼロ%」というオバマさんに近い案でいくんじゃないかな。だとすれば、COP15もまとまらないということになるが、オバマさんのことだ、土壇場に来て豹変し、ウルトラCの提案でポスト京都の枠組みが決まるということもあり得る。
その場合、梯子を外された日本だけが取り残されて世界の笑いものになる可能性だってあるんじゃないかな。
…いかん、いかん、テーマは前講以降の出来事のおさらいということだったな。
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【4】 環境省と経産省の主張の隔たり
第63講(その2)「温暖化対策の国内動向」
第71講(その4)「COP14前夜」
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