環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第75講「再生するか、国立公園」
第74講「化学物質対策の新展開―化審法改正」
第73講『当たるも八卦、当たらぬも八卦、新たな海域保護制度 ―付:ダーウィン生誕200年』
第72講『2009年霧中の旅―新春呆談』
第71講『いまこそ「時のアセス」を!』
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No. 第74講「化学物質対策の新展開―化審法改正」
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Issued: 2009.03.09
H教授の環境行政時評(第74講 その3)
乱立するクレジット

H教授―いろんなところでCO2クレジットの話が動き出しているみたいだ。

Aさん―CO2クレジット?

H教授―うん、京都議定書の京都メカニズムでは、CDMで削減したとみなされる一定量をCDMクレジットと呼んでいる【5】
同じように現在政府が試行をはじめた国内排出量取引制度でも、キャップのかからない中小企業でのGHG削減量などをクレジットとして売買の対象とする、「国内クレジット制度」が動き出した。

Aさん―それがクレジット? 意味がわかるような日本語にしてほしいな。

H教授―ボクに言ったって仕方がない。
一方、カーボン・オフセット【6】ということがしきりに言われるようになった。

Aさん―排出したGHGを帳消しにすることですね。

H教授―それをスムーズ、かつ公平にやるためにも、クレジット制度が必要だ。
環境省はカーボンオフセット用クレジットの認証制度として「J-VER」というのを立ち上げた【7】。このクレジットを企業が購入すれば、企業などがカーボンオフセットを行ったということになる。

Aさん―カーボンオフセット用クレジットって、具体的にはどんなことが考えられます。

H教授―例えば企業などが植林活動をして一定量を帳消しにするというのが直接的なカーボンオフセットだけど、そうじゃなくて、自治体や森林組合などがCO2削減に結びつく間伐材のバイオマス燃料化やCO2吸収量を増やす森林整備などをやった場合、企業がその分をクレジットとしてオカネを出して買ったって、オフセットしたことになる。
【5】 CDMクレジット
第42講(その3)「温暖化対策法改正と京都メカニズム」
【6】 カーボンオフセット
第59講(その3)「カーボン・オフセットとフィフティ・フィフティ」
【7】 J-VERの立ち上げ
オフセット・クレジット(J-VER)制度の創設について(お知らせ)(平成20年11月14日環境省報道発表)

Aさん―ふーん、オフセットクレジットのJ-VERはそのままさっきの「国内クレジット」として認められるわけですね。

H教授―うーん、ところがCO2吸収量の増大の方は、「国内クレジット制度」ではカウントされず、J-VERの一部だけが削減量として認知されるらしい。

Aさん―そうか、京都議定書ではCO2の森林による吸収分は、国の排出量算定に一定の限度内でカウントするけど、京都メカニズムのクレジットとしては認めていないんですよね。でも、ヘンなの。

H教授―他にも森林関係では、NGOなどの認証クレジットもあるし、都道府県でもCO2吸収量の独自の認証制度が動き出している。農水省や林野庁なども類似のクレジットシステムを構想しているけど、正直言ってその間の関係はよくわからない。
というより、まだまだ未整理みたいだ。きっちりと国民にわかりやすい形で、交通整理をしてほしいね。
捕鯨問題に光明?

Aさん―ところで何度も取り上げた捕鯨問題ですが【8】、新たな展開があったみたいですね。

H教授―うん、IWCの作業部会の議長提案が出された。
日本が行っている南氷洋の調査捕鯨の規模を縮小または段階的に廃止する代わりに、沿岸捕鯨を一定の範囲で認めようというものだ。

Aさん―今は沿岸捕鯨はやっていないのですね。

H教授―いや、もともと小型鯨類はIWCの規制対象外で、「小型捕鯨」と呼ばれ、現在でも細々と和歌山の太地はじめ4箇所で行われている。今回の議長提案は、日本沿岸でミンククジラなどの規制対象になっているものの捕獲を、一定の範囲内で容認しようという提案だ。

Aさん―以前センセイが言ってたことに近い案ですね【9】。受け入れられそうなのですか。

H教授―まだ、わからない。日本政府は前向きに受け止めているようだが、問題は反捕鯨国の強硬派だ。
この案を議論の叩き台にして暫定的にでも着地点を見出し、なんとか不毛な対立抗争は一日も早くやめてほしいね。

Aさん―ところで前講でセンセイが希望的観測を述べた自然公園法改正はどうなったんですか【10】
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【8】 捕鯨問題に関する過去の講義事項
第61講(その3)「捕鯨問題再考」
第54講(その3)「IWC年次総会顛末」
第50講(その2)「我、疑う故に我あり―「水伝」ブーム」
第15講(その2)「獲るべきか獲らざるべきかそれが問題だ 〜クジラ〜」
IWC(国際捕鯨委員会)
鯨ポータルサイト
日本捕鯨協会
【9】 捕鯨に関するキョージュの主張
第61講(その3)「捕鯨問題再考」
【10】 自然公園法改正
第73講(その2)「自然公園の新たな海域保護制度を予想する」
編集註:校了直後の3月2日に、自然公園法改正に関する閣議決定の環境省報道発表が出されている。
 「自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案」の閣議決定について(お知らせ) (平成21年3月2日 環境省報道発表資料)
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