H教授―うん、まだ各省協議中のようだ【*】。次講あたりで、話ができるかもしれない。
それよりも前講で先送りした「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」、いわゆる「化審法」改正の動きを見ておこう。
Aさん―もう法案はできたんですか。
H教授―うん、すでに閣議決定されて今国会に提出されている。多分全会一致で可決されるだろう。
Aさん―そもそも化審法というのはどういう法律なんですか。
H教授―PCBの環境汚染問題がきっかけで1973年に制定された新規化学物質の製造や輸入を、ヒトの健康や生態系への化学物質による環境汚染防止のために審査し、必要に応じて規制しようとする法律だ。
Aさん―つまり大気汚染防止法だとか水質汚濁防止法の規制が、公害防止のための出口規制だとしたら、化審法は入り口規制なわけですね。
H教授―うん。で、化審法は環境省、厚生労働省、経産省の共管になっている。
新規の化学物質の製造・輸入に関しては、あらかじめ毒性、分解性、蓄積性、という3つの観点からチェックしていたんだ。
毒性は特に慢性毒性や生態毒性の有無をチェックする。また、分解性というのは、毒性があっても、生体内で速やかに無害なものに分解するようなものであればいいという観点からのものだ。さらに蓄積性というのは、生体内に入っても速やかに排泄されるのでなく、生体内にどんどん蓄積していくようなものであれば要注意という考え方だ。