環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第77講「後退する氷河と増大する氷河湖決壊の危機」
第76講「低炭素革命雑感 ─附:漂着ごみの行方」
第75講「再生するか、国立公園」
第74講「化学物質対策の新展開―化審法改正」
第73講『当たるも八卦、当たらぬも八卦、新たな海域保護制度 ―付:ダーウィン生誕200年』
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No. 第76講「低炭素革命雑感 ─附:漂着ごみの行方」
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Issued: 2009.05.15
H教授の環境行政時評(第76講 その1)
春の椿事―草なぎクン、全裸に

Aさん―センセイ、SMAPの草なぎクンが公園で裸になり、公然わいせつの容疑で逮捕されました。ヒトって見かけによらないものですねえ…。

H教授―ま、有名人だからこその何らかのストレスが溜まっていたんだろう。傍目からみりゃあ、カネにも不自由しないし、女性にもモテモテだろうから、うらやましい限りだけどね。

Aさん―でも逮捕するほどのことなんですか。

H教授―留置所に一晩泊めておくぐらいで十分だろう。そりゃあ、覚醒剤を疑っての尿検査くらいは仕方がないとしても、家宅捜索までやるなんてのは明らかに行き過ぎだと思うよ。
マスコミも大騒ぎするほどの問題じゃないというのに、袋叩きにしてしまう。警察権力の横暴への批判などこれっぽっちもなく、迎合するだけだもんなあ。
でも、なんで裸になったんだろう。よっぽど自信があったのかなあ。うらやましい…。

Aさん―センセイ!(睨みつける)
鳥インフルから豚インフル

H教授―う、今のは取り消し。
ところで、メキシコ発の豚インフルエンザが米国に飛び火。カナダでも発病者が出たし、その他の国でも疑いのある患者が発生した。WHOは緊急事態宣言をし、日本も検疫体制を強化するそうだ【1】

Aさん―メキシコじゃあ、死者も百人以上出て、学校もすべて休校、街を歩く人はみなマスクをして、握手や抱擁も控えるよう政府は国民に呼びかけているそうです。

H教授―昔から豚インフルエンザは、豚と濃厚に接触した場合にヒトにもかかることが知られていたが、ヒトからヒトへの感染はしにくいと考えられていたんだ。
ウイルスが変異したのではないかと言われている。
【1】 豚インフルエンザのヒトへの感染
米国やメキシコで発生している豚インフルエンザの状況を発表
豚インフルエンザのヒトへの感染について政府の対処方針を発表

Aさん―新型ウイルスで人類絶滅なんてならないように祈るしかないですね。

H教授―小松左京のSF小説にそんなのがあったね。
でも、ウイルスは宿主に寄生してしか増殖ができない。宿主が全滅してしまえばウイルスも自滅する。だからウイルス自体がどんどん変異していって、宿主と平和共存できるようになるって聞いたことがあるから、そこまでの心配は無用だろう。
それでもスペイン風邪のように、その過程で何千万人のヒトが犠牲になれば大変だけどね。
今回の件はまだわからない点だらけだ。情報収集に全力をあげるとともに検疫体制の強化を行うのは当然だけど、メキシコに対しての緊急援助も必要だね。

Aさん―アタシ、豚肉食べるのをやめようっと。

H教授―そういう発想が流言飛語を招くんだ。豚肉は加熱処理すれば、大丈夫らしい。
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低炭素革命(1)
Aさん―そうか。でも経済危機でアップアップしているのに、弱り目に祟り目ですね。一日も早く収まってほしいです。
ところで麻生サンは「低炭素革命」なんてことを言い出してますが、その中身はどうなんですか。

H教授―「低炭素革命」は4月に入って発表した『経済危機対策』【2】の主要な柱になっているんだけど、それだけじゃないよ、自民党では仮称「低炭素社会形成推進基本法」というのを5月中にまとめて、今国会に提出するそうだし、国連に対してはポスト京都の枠組みについての議定書原案を提出した。

Aさん―ようやく麻生サンも本腰を入れたってところですか。

H教授―そうならばいいんだけどねえ。

Aさん―結局はパフォーマンスだけって言いたげですね。

H教授―「経済危機対策」ってことで、補正予算を15兆円組んだ。財源は国債つまり借金11兆円と、いわゆる埋蔵金から4兆円。当初予算と合わせると今年度の財政規模は100兆円を越し、国債発行は44兆円にも達するんだ。
44兆円というのは今年度の税収にも匹敵するぜ、いや税収を上回る可能性だってある。

Aさん―でも非常事態なんですから…。

H教授―「低炭素革命」はその補正予算の柱の筈で、日本版グリーンニューディールの中身なんだろうけど、その額は1.6兆円。補正予算のわずか一割に過ぎない。
残りの半分以上はばらまきと言われても仕方ないんじゃないかな。どうみても抜本的な構造改革を促すものとは思えない。
三大都市圏の環状道路早期完成だとか羽田−成田両空港間の移動時間を50分以内にするなんてのは、まさに悪乗りだ。

Aさん―まあ、でも1.6兆円というのは、それなりに巨大な額です。
【2】 内閣府発表「経済危機対策」
経済危機対策(平成21年4月10日)
『経済危機対策』本文(「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議/平成21年4月10日)(PDF)
H教授―大雑把に言うと、そのうちの半分近くが低燃費車とエコポイント制度とやらでの省エネ家電の購入補助【3】だ。残りは公共施設への太陽光発電の設置だとか、自治体の地域環境保全基金への積み増しなどだ。
再生可能エネルギーで太陽光、太陽光と騒いでいるけど、風力小規模水力にも力を入れなきゃ、不公平なような気がする。

Aさん―ま、それはともかくとして、購入補助でもって低環境負荷型製品にシフトさせていこうというんですね。いいことじゃないですか。

H教授―でも、まだ使えるものをどんどん新しいものに買い替えを進めるっていうのが、本当にエコライフなのかっていう疑問を持っちゃうね。
【3】 エコポイント制度による省エネ家電への購入補助
「エコポイントの活用によるグリーン家電普及事業(仮称)」は、「エコ・アクション・ポイント」とは異なる制度で実施へ 5月15日からポイント付与(国内ニュース)

Aさん―うーん、でもそれでもって内需を増やして景気回復を図ろうとしているんでしょう。
そうすれば、ひいては雇用対策にもなるんじゃないかしら。

H教授―それを税金でやるなんて、タコが自分の足を食っているようなものじゃないのかな。それで本当に景気回復が図れるのかな。
ボクは基本的にはそんなことで景気回復ができるのか疑問なんだけど、仮にそうだとしても、購入補助で恩恵を受けるのは、買い替えをできる層、つまり比較的富裕な人たちということになる。そういう富裕な人たちに税金を投入するってことは、ますます格差を助長することになりはしないかということだ。

Aさん―つまりセンセイは反対なんですね。

H教授―買い替え補助というのは基本的には賛成できない。もし、やるとすれば、格差縮小と総エネルギー需要抑制につながるように、税制体系と公共料金体系も同時に、全面的に見直すべきだ。
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