環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第79講「新たな政策形成回路創出に向けて―わが国の政権運営の行方は」
第78講『日本政府、「中期目標」決定』
第77講「後退する氷河と増大する氷河湖決壊の危機」
第76講「低炭素革命雑感 ─附:漂着ごみの行方」
第75講「再生するか、国立公園」
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No. 第78講『日本政府、「中期目標」決定』
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Issued: 2009.07.15
H教授の環境行政時評(第78講 その4)
地球寒冷化説の逆襲?

Aさん―はいはい。ところで水を差すようですが、6月1日の夕刊には『太陽どうした? 活動鈍く ──200年ぶり、地球「ミニ氷河期」可能性』という記事が出ていました。太陽の活動がここ2年ほど急速に鈍くなってきているというんです。温暖化どころの話じゃないんじゃないですか。

H教授―うん、正確には、11年周期で黒点数は増減を繰り返すんだけど、最小期を過ぎて活発にならなきゃいけない時期だのにまだなっていないという記事だ。
反温暖化対策論者の池田氏の6月7日のブログ「太陽活動は弱まっている」では「(温暖化どころか)寒冷化が起こる可能性があると研究者は懸念しはじめている。広大な宇宙の摂理の中では、人類の活動が与える影響はよくも悪くも微々たるものである。「人類が地球を救う」などという発想は、西欧的な自民族中心主義の変種にすぎない」と言っている【21】
また今年はじめの日経新聞の記事でも「05年以降地球の平均気温は下がり続けている」という記事が出ていて、反温暖化対策論者や温暖化懐疑論者を喜ばせている。

Aさん―ホントのところどうなんですか。
【21】 太陽活動と人類の影響について
反温暖化対策論者・池田信夫氏のブログ記事

H教授―前者の話で黒点の活動が鈍いままになっていることは事実だけど、でも11年の周期変動が地球への日射に及ぼす変動は微々たるものだそうだ。詳しくは国環研の江守サンの書いた日経Ecolomyの記事を読んでほしい【22】

Aさん―「05年以降地球の平均気温は下がり続けている」っていうことについてはどうなんですか。

H教授―キミ、温暖化って言ったって毎年毎年直線的に上がるわけじゃない。それこそ太陽の脈動や地球内部の脈動などさまざまな要因に規定されていて、毎年上下するのは当たり前。20年、30年というロングタームでトレンドをみるもので、2年や3年でわかるわけがない。2月8日の安井先生の記事をよく読んでみるんだな【23】

Aさん―でも太陽活動と地球の平均気温って、なんとなくリンクしているかも知れないじゃないですか。

H教授―ああ、もちろんその可能性はゼロとは言えない。
10年後になっても太陽の黒点活動はなおも縮小していき、それまで毎年地球の平均気温は基本的に下降して、誰の目にも氷河期に向かっていることが明らかになる可能性が皆無とはいわない。
でも少なくとも現時点では、同じ寒冷化でも、そんな可能性よりは、地球のどこかで超大火山、スーパーボルケーノが噴火し、その噴煙が全球を覆い、太陽光を遮って数年以上にわたる気温低下を招くという確率の方がまだ高い気がするなあ。
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【22】 11年の周期変動が地球への日射に及ぼす変動について
国立環境研究所・江守正多氏
【23】 05年度以降の地球の平均気温について
気候と気象の違い(市民のための環境学ガイド)
水俣病問題最終解決へ近づいたか

Aさん―それと水俣病については何度も取り上げてきましたが、今国会で急に話がまとまり、与党PTチーム案に民主党案を大幅に取り込んだ「水俣病被害者救済法案」がまとまり、この時評がアップされる頃にはもう可決されているのでないかという話ですね【24】

H教授―うーん、あまりに話が急テンポで進みすぎてよくわからない。被害者の救済という意味では以前より広くなったのは事実だろうが、依然として反対している被害者団体もあるようだし、分社化ということの意味ももうひとつボクにはよくわからない。
それにいわゆるダブルスタンダード問題【25】がどうなったのかも新聞だけではよくわからないので、とりあえず今回は評価を保留しておこう。ただ残念ながら「最終解決」ということにはなりそうにない。
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【24】 水俣病被害者救済法案
水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法案(第171回国会 衆法一覧より)
・経過
・提出時法案
参議院インターネット審議中継
【25】 水俣病のダブルスタンダード問題
第39講(その4)「水俣病再説」
第53講(その3)「最近の話題3 ──水俣病のダブルスタンダード問題」
今月のサプライズ
Aさん―ほかにもPM2.5環境基準案が決まったとか、POPs条約締結国会議で決まった8物質についての国内法対応として、それら8物質を化審法の第一種特定化学物質に指定する方針を決めたとか、国土交通省は淀川水系流域委員会の休止を決めたとか、いろいろありますが、とりあえず、今日はこれで終わりにしましょうか。
あれ、センセイ、今日は灰皿がきれいですね。

H教授―あ、うん。(照れくさそうに)実は思うところあって禁煙したんだ。

Aさん―えー、キ・ン・エ・ン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ウ、ウソでしょう。人類最後の一人になっても吸い続けるなんて豪語していたじゃないですか。やめて何時間ですか。

H教授―もう5日だ。

Aさん―ひぇえー、驚いた。
あの冷酷無比極悪非道傍若無人言語道断阿鼻叫喚支離滅裂のセンセイが回心したんだ。
奇跡だ、奇蹟だ、センセイ、鬼籍に入っちゃうんじゃないですか。

H教授―…。

Aさん―(涙ぐんでキョージュの手を握り締め)センセイ、きっと日本だって変わります。低炭素社会は実現します、いえ実現させなければいけません…。
(しばらく経って不思議そうに)でも何があったんだろう…。

 
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(平成21年7月5日執筆、7月7日編集了)
註:本講の見解は環境省およびEICの見解とはまったく関係ありません。また、本講で用いた情報は朝日新聞と「エネルギーと環境」(週刊)に多くを負っています。
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