環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第81講「鳩山革命の行方は?」
第80講「政権交代と環境政策」
第79講「新たな政策形成回路創出に向けて―わが国の政権運営の行方は」
第78講『日本政府、「中期目標」決定』
第77講「後退する氷河と増大する氷河湖決壊の危機」
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No. 第80講「政権交代と環境政策」
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Issued: 2009.09.11
H教授の環境行政時評(第80講 その4)
政権交代と環境政策

Aさん―センセイ、もう予定の時間の半分を過ぎています。政権交代と環境政策との関連に絞りましょう。

H教授―まずやることは、ポスト京都の2020年中期目標で、対90年比25%削減という方針を閣議決定することだろう。そしてそのバックになる「エネルギー需給見通し」を全面改正することを宣言する。
ガソリンの暫定税率廃止【8】だとか、高速道路無料化【9】だとか、低炭素化社会づくりに逆行するようなとんでもないことを、民主党はマニフェストに掲げてしまった。
これはやめるべきだと思うけど、国民との約束でどうしても守らねばならないというのなら、それを補ってあまりあるような、対90年比25%カットを可能にするだけの環境税というか温暖化対策税と、厳しいキャップをかぶせた国内排出量取引制度の即時導入と、自然エネルギー固定価格買取制度の大胆な拡充が必要だろう。

Aさん―でもそれじゃあGDPはマイナスになってしまうんじゃないですか。雇用にだって大きく響きます。
【8】 ガソリン暫定税率廃止
第62講(その3)「山場に来たガソリン暫定税率延長問題」
第61講(その2)「ガソリン税暫定税率延長をめぐる混迷」
【9】 高速道路無料化
第79講(その2)「自公政権の落日―新たな政策形成回路創出に向けて」

H教授―新たな政策で新たな経済的効果と雇用も生まれるだろう。それにしても、キミの言いっぷりからすると、いまだに成長神話が生き続けているんだな。
そういえば、先日、環境省は2050年にGHGを80%カットするための2つのシナリオを示した。「経済発展・技術志向」「地域重視・自然志向」の2つなんだけど、前者は成長率は年率2%、後者は1%と言っている【10】
やっぱり40年先まで延々と経済成長をつづけているというシナリオなんだよねえ。
未来永劫に成長を続けなければいけないのか、また、続けられるのか。
ボクはやはり「成長の限界」というのがあって、すでにそれに限りなく近づいているんじゃないかと思っているんだけど、民主党も含めて、やはり無限成長の呪縛に縛られているんだ。
まさにダーウィン・ディレンマ【11】だな。
先進国で必要なのはもはや成長ではなくて、安定と持続なんだ。

Aさん―ご荒説、伺っておきます。あとはなんかないですか。

H教授―民主党自体も一枚岩じゃないし、国民新党なんかは公共事業重視派で、政策協議がきちんとできるかどうか不安なんだけど、とりあえず道路やダム、港湾などの大型公共事業はいったんストップさせて、本当に必要かどうかを一から検討しなおすことが必要だろう。
それでなくても来年は生物多様性条約COP10が日本で開催されるんだ【12】
この際、埋立などの新規の面的開発は原則禁止という方針を打ち出してもいいんじゃないか。
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【10】 2050年 GHG80%削減のための2つのシナリオ
「温室効果ガス 2050年80%削減のためのビジョン」(平成21年8月14日)(PDF)
【11】 ダーウィン・ディレンマ
第70講(その4)「ヒトは「ダーウィン・ディレンマ」を超えられるか」
【12】 生物多様性条約COP10
第57講(その3)「第三次生物多様性国家戦略案まとまる」
自民党の再生は可能か
Aさん―…経済界、産業界は戦々恐々だろうなあ。
ところで自民党は今後どうなるんですかねえ。

H教授―さあなあ、きちんと自分たちの敗北の原因を総括できるかどうかだよね。
コイズミ改革の評価だって、コイズミ改革自体が誤りだったとするのか、コイズミ改革それ自体は正しかったが行き過ぎの点があったとするのか、最後までコイズミ改革をやりきらなかったことがいけなかったとするのか、なんだかさっぱりわからないままだ。
それにカネの切れ目が縁の切れ目ということもある、政党交付金は大幅に減らされた上、権力を手放せば政治献金だってぐっと減ってしまうだろう。
そうなると下手すれば解党の危機だってあるんじゃないかな。
もちろん民主党の失政で、再び振り子が逆に戻る可能性だってないわけじゃあないけど。

Aさん―じゃあ、とりあえずの一、二ヶ月は新政権のお手並み拝見と洒落込みますか。
ま、いずいれにしても、環境行政、環境政策にとっては大きなチャンス到来ですね。
もう時間がなくなってしまいましたけど、他の話題も簡単に触れておきましょう。
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新型インフルエンザ蔓延
Aさん―まずは新型インフルエンザの話題【13】です。とうとう流行し出したそうですね。

H教授―すでに日本でも世界でも流行期に入っていて、9月末、つまり新政権発足直後にピークに達するなんて話もある。致死率も従来の季節性インフルエンザよりも高そうだし、ワクチンはまったく不足している。こういうことこそ新旧両政権が協力して被害を最小限に食い止めるよう努力すべきだろうねえ。

Aさん―お年寄りは免疫ができていて罹らないという話もありましたが、どうやらガセだったようで、もうすでにお年寄りにも死者が出ています。センセイも気をつけてくださいね。
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【13】 新型インフルエンザの流行
第77講(その1)「新型インフルエンザ論」
第76講(その1)「鳥インフルから豚インフル」
夏の終わりの余談
Aさん―それから、この夏、センセイの好きそうな世間を賑わせた話題としては、酒井法子の覚醒剤事件があります。センセイ、一時このニュースばっかり追っかけてたでしょう。ファンだったんですか。

H教授―ボクはのりPより大原麗子の方が好みだったよ。それにしても、あの大原麗子があんな無残な死に方をするなんてなあ…。
のりPの方は、気分転換に、2ちゃんねるで幸福実現党についての書き込みと併せて見ていただけだ。でも、のりPよりも押尾学の事件の方が死者も出ているし、政官界とも関係ありそうで、もっと闇が深いと思うんだけど、のりP一色なのは腑に落ちないなあ。なんか作為を感じないか。

Aさん―そういうのを陰謀史観というんです。
それからもう一つセンセイ向きの話題がありました。ミスユニバース日本代表の宮坂絵美里サンの、奇抜で破天荒というか、破廉恥な着物のデザインに非難が殺到しました。

H教授―ウフフ、ぼくは涎を垂らしたけどねえ。

Aさん―ほんと、センセイったら品がないんだから。
楽しい話題もひとつくらいないですか。

H教授―いっぱいあるぜ、ウサイン・ボルトの陸上100メートル、200メートルの驚異的な世界新もそうだし、ウチの高等部が70年ぶりに高校野球で甲子園に出場してみごと実質的に準優勝の栄光に輝いた。

Aさん―えっ、二回戦敗退でしょう。

H教授―「実質的に」と言っただろう。二回戦の対戦相手が中京大中京。ここが優勝したんだけど、ここと大接戦したのはウチの高等部だけだから準優勝みたいなものだ。

Aさん―ばっかばかしい。そういうのを詭弁というんです。
さあ、ぼちぼち終わりましょうか。

H教授―あ、ひとつだけ前講の修正をしておこう。読者から指摘があったんだけど、(その1)で土砂災害警戒区域は法定の地域指定じゃない【14】と言ったのは誤りだった。土砂災害防止法に規定があって、周知の徹底や警戒態勢の整備が行われることになっているし、不動産取引でも告知の義務があるそうだ。
土砂災害防止法自体、できてまだ10年の法律で、ボクが家を買ったときにはなかったんだよ。

Aさん―情けない。結果的に読者をだますことになるんですよ。そんなのヤフーか何かで調べればすぐわかることでしょう。

H教授―申し訳ない。ただ豪雨災害だったから…、

Aさん―それがどうかしたんですか。
【14】 前講の訂正(土砂災害警戒区域について)
第79講(その1)「西日本を豪雨襲撃」
土砂災害防止法の背景と法律の流れ

H教授―…「上手の手から水が漏れた」んだ。

Aさん―??(意味が分からずキョトンとしている)
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(平成21年9月3日執筆 9月4日編集了)
註:本講の見解は環境省およびEICの見解とはまったく関係ありません。また、本講で用いた情報は朝日新聞と「エネルギーと環境」(週刊)に多くを負っています。
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