環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第83講「COP15前夜―付:事業仕分けをめぐって─」
第82講「友愛か憂曖か―苦悩する鳩山政権」
第81講「鳩山革命の行方は?」
第80講「政権交代と環境政策」
第79講「新たな政策形成回路創出に向けて―わが国の政権運営の行方は」
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No. 第82講「友愛か憂曖か―苦悩する鳩山政権」
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Issued: 2009.11.11
H教授の環境行政時評(第82講 その2)
大蔵省の復活?
H教授―うん、で、予算を切り込む行政刷新会議の背後にあるのは財務省だといわれている。国家の中の国家と謳われた旧大蔵省が復活したんじゃないかとの見方も一理ある。
だって日本郵政のトップにデンスケ氏を持ってくるってんだから何をかいわんやだ。

Aさん―デンスケ氏?

H教授―うん、齋藤次郎氏はボクの現役時代の最後の頃の大蔵事務次官。10年に一度の大物事務次官と言われていたんだが、渾名がデンスケ。
マージャンがうまくて、上がるとき、デーンと掛け声を挙げるからついたそうだ。

Aさん―センセイ、面識があるんですか。

H教授―向こうは陣笠代議士など屁とも思わない、飛ぶ鳥を落とす大蔵事務次官。ボクは弱小環境庁の出先機関の長。あるわけがないだろう。

Aさん―そりゃそうですね。
でも民主党は天下り根絶が公約でしょう。完全に公約違反じゃないですか。おまけにワタリになるわけでしょう。

H教授―コイズミさんが引っ張ってきた日本郵政の西川前社長は三井住友銀行の元頭取という大物民間人。デンスケ氏はそれに匹敵するキャリア官僚の超大物。
つまり民からの天下りが、小沢サンや亀井サンと仲のいい官からの天下りに変わるだけといえばそれまでだし、官からの天下りが必ずしも悪いとは思わない。
だけど、民も官も、法文系重視の構造をまず変えなきゃいけないし、それになにより、やはり大蔵官僚上がりはまずいだろう。

Aさん―どうしてですか。

H教授―民主党は官僚主導の政治を廃すると言っている。なのに官僚主導の政治を地で行った人物を持ってくるというのはあんまりだろう。鳩山サンがそれを追認したのはいただけないなあ。

Aさん―日本郵政のトップに元・大蔵官僚を持ってきたというのは、それ以上に深いわけがあるんですか。

H教授―さあなあ。でも、財務省と日本郵政がツーカーの仲になれば、かつてのように郵便貯金で国債を引き受けるだとか、聖域のような特別会計を支える財投の原資になりかねない。
郵政の民営化がいいとは思えないけど、政府・財務省の思い通りになる貯金箱になるというのもまた問題だ。
ボクらが現役の頃は、大蔵省は国家の中の国家と言われ、それこそ予算要求のときなんかは、いわば課長補佐にすぎない主計局主査が、他省庁の課長よりずうっと偉そうにしていた【4】
鳩山内閣はそういう官僚主導を廃するといいながら、官僚主導の象徴のような人物を担ぎ出し、予算査定でも財務省主導に任せるというのなら、ちょっとその神経を疑うね。

Aさん―財務省主導か…。少なくともそういう疑念をもたれても仕方ないですね。

H教授―そのデンスケ氏を引っ張り出した亀井サンは10兆円規模の補正予算が必要だなんて言ってるしね。

Aさん―コイズミさんが総理に成り立ての頃、党首討論で鳩山サンがコイズミさんにエールを送ったことがありますよね。
一方の亀井サンはコイズミさんとは犬猿の仲というか、正反対に位置する、古き良き自民党時代そのままの「大きな政府」主義者ですもんね。

H教授―警察官僚上がりの強面だけど、でもいい人だと思うよ。

Aさん―どうしてですか。胡散臭げな話もちらほらしているんじゃないですか。
【4】 かつて国家の中の国家といわれた、大蔵省
第41講(その3)「回想―総理府審議室の日々」
第24講(その2)「地方分権と環境行政 ―三割自治」

H教授―亀井サンの尊敬する人は、あのチェだそうだから。

Aさん―チェって、あのゲバラ? へえ、人はみかけによらないんだ。
でも、ゲバラが好きな人だったら「いい人」なんですか。ほんとうにセンセイは単細胞なんですね。

H教授―人を評価するのはなかなか大変だけど、好きな本や映画、歌、それに尊敬する人物などで、まずフィルターをかけるのが一番手っ取り早いからいいんだ。
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切り込み不足の深因―付:G30ドタバタ劇
Aさん―ヘンなの。それにしても、前原サンはじめ各省大臣はみな結構切り込んだと新聞にありましたが、なんで概算要求は97兆円にもなったんですか。

H教授―そりゃあ、マニフェストで約束したものは予算化しなくちゃいけない。その分がオンされる。
だから、それ以外のものを大幅にカットしなければならないんだけど、前講でも言った通り、どんな予算にも背後にはそれを仕切っている省庁の組織とヒトが付いている。
その予算を切るということは、その組織とヒトは不要だと言うようなものだから、なかなか切れなかったんだ。
ま、そうは言っても、もちろん切ったものもいろいろある。
Aさん―大型公共事業ですね。国立マンガ喫茶と揶揄されたのも姿を消しました【5】

H教授―それは補正予算の見直しの方だろう。
例えば、G30というのがある。国際化の最先端を行く30大学を選んで、文科省が5年間の補助を出すものだ。今年は13の大学が採択され、来年残りの17大学を採択するとしていた。

Aさん―それがどうかしたんですか。

H教授―キミ、自分の大学の動きぐらいちゃんと知っておけよ。
これに採択されるには留学生を大幅に増やさねばいけないだとか、英語だけで卒業できるコースを作るだとかの厳しい条件がある。だからわが大学は今年は立候補を見送ったんだけど、来年は立候補すべく、その準備に向けてボクたちは四苦八苦、悪戦苦闘していたんだ。
ところが…。

Aさん―どうかしたんですか。

H教授―文科省が出し直した概算要求からは、G30はきれいさっぱり消えていた。G13で終わっちゃった。

Aさん―プッ。まあ、いいじゃないですか。大体がセンセイが国際化を言うなんておかしいんです。まずご自分が英語ぐらい話せなきゃあ。
【5】 国立マンガ喫茶
第77講(その2)「補正予算とキョージュのマンガ論」

H教授―うるさい、ボクはカラオケで英語の歌のレパートリーなら何曲か持っている。
キミこそどうなんだ。キミの英語の失敗談ならBクンからいっぱい聞いたぞ。なんならここで披露しようか。

Aさん―ちょ、ちょっと、やめてください! (小さく)ヤブヘビだったか。
ま、それはともかく、予算を切るにはセンセイだったらどうします。

H教授―来年一年かけて精査するので、それまで待てといえばよかったんだ。
大型公共事業は、来年一年は徹底的に必要性を洗い直すとして、来年度は凍結、ハコモノ予算をまずゼロにする。
その他の公共事業はじめ法定以外の予算は、マニフェストに掲げたもの以外のものは、来年度は徹底的に見直すとして、とりあえずは半減。
そうすれば、来年度はなんとかなっただろうと思うけどな。

Aさん―それができなかったんでしょう。それをすれば来年は大変なことになるって、泣きと脅しがいっぱい入ったんじゃないですか。

H教授―そうかもしれない。
でもねえ、大体が、公共事業の対GDP比が日本は6%と先進国の中では群を抜いて高いんだ。最高時は8%にも達した。でも欧米諸国なんか大体2から3%なんだ。
一方、教育費の対GDP比が日本は3.5%だが、北欧などは軒並み6%。
一年かけて国の在り方を考え直すいいチャンスじゃないか。

Aさん―I先生の受け売りですね【6】

H教授―う、ばれたか。

Aさん―ま、そのマニフェストにしても、高速無料化だとか、ガソリンの暫定税率廃止などというものをやめれば、少しは予算編成もしやすくなるんでしょうけどね。
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【6】 一年かけて国のあり方を見直すよいチャンス──I先生の受け売り
ヒト,人,社会,環境そして文明「フィンランドの教育費と日本の公共事業費」
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