環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを、環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。
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第84講「2010年新春呆談―平成維新のその先は?」
第83講「COP15前夜―付:事業仕分けをめぐって─」
第82講「友愛か憂曖か―苦悩する鳩山政権」
第81講「鳩山革命の行方は?」
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No. 第83講「COP15前夜―付:事業仕分けをめぐって─」
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Issued: 2009.12.04
H教授の環境行政時評(第83講 その4)
懸賞付きケータイリサイクル

H教授―経済産業省が、ケータイのリサイクル率を上げるための、抽選で商品券があたる制度をはじめた。レアメタル回収のための都市鉱山の具体化だね【19】

Aさん―回収の義務化はされていないんですか。

H教授―現在は量販店や販売店で自主回収しているんだけど、家電リサイクル法のスキームで義務化しちゃえばいいのにね【20】

Aさん―経済産業省と環境省の縄張り争いでできないって訳ですね。
鳩山内閣になっても、行政の縦割りは一朝一夕ではどうにもならないんでしょう。
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【19】 経済産業省の携帯電話回収キャンペーン
国内ニュース「経産省「たんすケータイあつめタイ\(^o^)/」 始動!!」
国内ニュース「経産省 「たんすケータイあつめタイ\(^o^)/」 事業 当選者を公表」
【20】 携帯電話回収と家電リサイクル法のスキーム
第61講(その4)「レアメタルのリサイクルと国内資源の確保」
公共事業再説

H教授―行政の縦割りの話や、来年度予算とも関連あるんだけど、新幹線の整備方針を年内に決定するという報道が出ていた。北海道新幹線の札幌―長万部間、北陸新幹線の金沢―福井間といった未着工区間をどうするかということだ。
前政権は年内の着工決定を目指していたけど、多分凍結になるんじゃないかということだ。

Aさん―一方、日航の危機が伝えられている中、00年以降開港もしくは滑走路を拡張した30空港を朝日新聞が調査したところ、4空港以外、すべて当時の需要予測より乗降客数は下回ったという記事が出ていましたねえ。

H教授―つまりかつては全国至るところに空港、新幹線それに高速道路を通すことを目標としてきた。それが完全に破綻したということだ。願望を需要予測にすり替えたり、それぞれの部局が連携や調整もとらずに、借金しまくって作ってきたことの限界が誰の目にも明らかになってきたんだ。自民党内閣は潰れるべくして潰れたんだと思うな。
もちろん赤字路線は一切作るなということじゃあないけどね。

Aさん―新しいものを作るのは結構ですが、維持管理にオカネがかかるし、橋とかトンネルとかは、やはり寿命があるんじゃないですか。

H教授―うん、建設50年を越すと、要注意になるが、そういう橋がこれから増え続ける。米国では橋が崩壊する事故が起きたことがある。日本もそうならないようにする必要がある。トンネルもそうだし、東海道新幹線も50歳になるのはそう遠い先の話ではない。
補修だけならいいんだけど、やはり寿命ってものはある。
寿命が来たとき、すべてを更新することは不可能だという前提で、地域づくりをしていかなくちゃ仕方がない。
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邪馬台国大和説に軍配?

Aさん―うーん、もうこれで今年の時評は最後ですよねえ。なんか楽しい話題で締め括りましょうよ。
奈良県桜井市にある纏向遺跡で巨大な建物跡が発掘され、卑弥呼の宮殿かと話題になっていますね。これで一気に邪馬台国大和説が有力になってきましたね。

H教授―さあ、それはどうだろう。物的証拠がないから、あれだけでは何とも言えないだろう。付近にある箸墓古墳というのが昔から知られていて、伝承では第7代孝霊天皇の皇女、倭迹迹日百襲姫命の墓ということになっている。宮内庁が管理しているんだけど、昔っから卑弥呼の墓だという説を唱える人はいた。

Aさん―じゃ、それを発掘すればいいじゃないですか。

H教授―宮内庁が発掘を許可しないんだ。

Aさん―許可すりゃあいいのに。学問のためなんだから。

H教授―とうの昔に盗掘されていて、何も出てこない可能性が高いんじゃないかな。
大体、邪馬台国の所在については大和説と北九州説の真っ二つに別れているかのような報道がされているが、真っ二つじゃなくて、学界の多数派ははっきりしているという話を聞いたことがある。

Aさん―多数派は大和か北九州かどっちなんですか。

H教授―はは、忘れちゃった。

Aさん―ぷっ、しょうがないセンセイだこと。

H教授―それより、アマチュアの中には、とんでもないところを邪馬台国に比定する人がいて、佐渡だとか、挙句の果てはエジプトだという説まであるぐらいだ。
その牽強付会(けんきょうふかい)さがたまらない魅力でもある。
ま、吉野ヶ里もあることだし、当分日本史最大の謎ということでいいんじゃないか。
大体が邪馬台国でなく邪馬壱国だという説もあるくらいで、魏志倭人伝だってどこまでホントのことを伝えているかも怪しい。

Aさん―そういえば、「邪馬台国」にしても「卑弥呼」にしても「倭」にしても、なんとなくひどい漢字を使ってませんか。

H教授―ま、もともと中国は中華思想があり、事実、当時の日本は中国からすれば辺境の蛮族の国と思われても仕方なかったんだろう。
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本邦初の角竜化石発見

Aさん―あと丹波で恐竜が発見され「丹波竜」として話題になりましたが、同じ丹波層群のまた別の場所で、今度は日本初の角竜の化石がみつかりました。
角竜って、トリケラトプスの仲間ですよ。ロマンがあるじゃないですか。
センセイもわけのわからない石ころ拾いはやめて、恐竜発掘に切り替えたらどうですか。
H教授―放っておいてくれ。
さっそく市の脊椎動物化石保護条例の重点保護区域に指定し、土石の採取を禁止したとのことだ。民有地で、採集はおろか地権者以外は立ち入りも認めない方針のようだ。

Aさん―当然でしょうね。

H教授―そうかな。発見者は丹波竜と同じ人物で、研究者というわけでもない化石マニア。彼の活動のお陰で学術的に貴重な発見がなされたんだ。
だのに、この条例だと彼も締め出されてしまうことになる。
こういう博物学の世界では、アマチュアの活動で、しばしば貴重な発見がなされるんだ。単に締め出してしまえばいいというのは間違いだと思う。
報告を義務付けるとか、何らかの発掘のルールは必要だと思うけど、一切禁止というのはいただけないな。
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2012年に地球が絶滅?

Aさん―はいはい。センセイ、ひょっとしてその化石マニアにかこつけて、ご自分の趣味を正当化しようとされてません?
ところで2012年地球滅亡説というのがあるそうです。

H教授―ノストラダムスだとかなんだとかの、その手の話は昔からあるんだけど、今度の根拠は?

Aさん―マヤ暦だそうです。マヤの長期暦の区切りになるんですって。事実、2012年は太陽活動の極大期になり、磁気嵐だとかいろんなことが地球で起きる可能性があるそうです。

H教授―ばかばかしい。マヤの予言ですらないんだろう?
太陽の黒点に関しては11年周期で増減を繰り返しているように、活発期と停滞期が周期的に繰り返している。実は、もうとっく太陽活動は活発にならなければいけない時期に来ているんだが、まだ活動が停滞していて、そちらの方が問題になっているくらいだ。
2012年に、そんなとんでもない事象を引き起こすほど、太陽活動が活発になるとは到底思えない。

Aさん―そういえば、太陽活動が停滞期に入ったんで、温暖化から寒冷化に入ったなどという反温暖化論者もいましたね。

H教授―その説も含めて、いろんな類の反温暖化論を科学的に批判した本が出た。
「地球温暖化懐疑論批判」という冊子で、非売品なんだが、ネットでも公表されている【21】ので、キミも読んでおくといい。残念なことにこういう本は市販されないんだよねえ。

Aさん―トンデモ説の方が、面白いから売れるんですかねえ。
【21】 ネットでも公表されている「地球温暖化懐疑論批判」
IR3S/TIGS叢書No.1 「地球温暖化懐疑論批判」

H教授―ただボクにとって、2012年にひとつの時代が終わることは事実だ。

Aさん―第一約束期間の最終年だからですか。

H教授―ボクが定年退職するんだ。

Aさん―…。

H教授Aさん―それでは読者のみなさん。いいお年を。(礼)
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(平成21年11月29日執筆 12月1日編集了)
註:本講の見解は環境省およびEICの見解とはまったく関係ありません。また、本講で用いた情報は朝日新聞と「エネルギーと環境」(週刊)に多くを負っています。
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