EICネット
前のページへ戻る

環境さんぽ道

様々な分野でご活躍されている方々の環境にまつわるエッセイコーナーです。
4人のエッセイスト(夏原和美、八巻和彦、岡内完治、堤江実)が1年間、毎月交替して登場します。

トップページへ

グローバルメニュー
  • 国内ニュース
  • 海外ニュース
  • イベント情報
  • 環境Q&A
  • 機関情報
  • 環境リンク集
  • 環境用語集
  • ライブラリ
  • 森づくり

環境さんぽ道

様々な分野でご活躍されている方々の環境にまつわるエッセイをご紹介するコーナーです。

No.079

Issued: 2018.07.10

ネパールにホテル建設

岡内完治(おかうちかんじ)さん

岡内完治(おかうちかんじ)さん
(株)共立理化学研究所 会長
「誰でもどこでも使える、水質の簡易分析器」の研究・開発、製造・販売に従事。開発した簡易器材を使用して、現地で水質調査、指導…日本各地、中国、タイ、台湾、ベトナム、タイなど。
日本化学会会員、日本水環境学会会員、日本分析化学会会員…2011年技術功績賞受賞、大田区異業種交流グループ連絡会「産学連携広場」事務局長
著書:「だれでもできるパックテストで環境測定」…合同出版(株)
趣味:写真撮影…SSP会員、農作業、旅行、その他

 2018年の正月、ネパール第二の都市ポカラに「ホテルアンナプルナビュー」がオープンしました。立案者は、ネパールに移住して半世紀になる旅行会社「ヒマラヤ観光開発」社長の宮原巍(たかし)さん。ホテルは観光客を迎えるための施設ですが、「如何に地元の人に還元できるかを考慮した建設」と話してくださいました。地元の人を従業員として採用、近隣ガイドとして仕事を与え、地元から野菜を買い入れ、排水は浄化して農業用水に、残渣は堆肥化して提供するという構想だと言います。この話に共感して、私も出来ることに協力させて頂くことになりました。
 ホテルの立地場所は、サランコットの丘(1592m)と呼ばれている眺望の良い丘で、眼前にMt.マチャプチャレ(6993m)、奥には手前にアンナプルナ南峰(7219m)と主峰(8091m)、続いてアンナプルナIII、IV、II峰、ラムジュンヒマール、その右側にマナスル(8156m)、そして西側にはダウラギリ(8167m)と、アンナプルナ連峰の山々を一望できる場所なのです。

Mt.マチャプチャレに朝陽…右側のアンナプルナ(III)が先に赤くなる。低く見えるが遠いからで、ややしばらくして手前の山に朝陽があたった。
Mt.マチャプチャレに朝陽…右側のアンナプルナ(III)が先に赤くなる。低く見えるが遠いからで、ややしばらくして手前の山に朝陽があたった。

ヒマルチュリ山麓から朝陽…幸運にも5日連続で朝陽を拝めたが同じ光景はなかった。
ヒマルチュリ山麓から朝陽…幸運にも5日連続で朝陽を拝めたが同じ光景はなかった。


 今はまだ一部開業ですが、完成した暁には、連泊のお客様にこの大自然を楽しんでいただくと同時に、自然環境保護の大切さを知って頂くことを計画しています。そのため、以下の5つのコースを提案しました。この案も前回、紹介させて頂きました[ヒマヤ総合開発」の役員でもある大森弘一郎さんのアイデアです。今回はその下調査を目的として、ネパールを訪れた訳です。
 5つのコースとは、
 ①ホテル近くの散策コースに森林公園…現地にある樹木を集め、来客には記念植樹をして貰いながら森を拡げ、小鳥の声が響く森を歩く。中でも美しい花はネパールの国花でもある深紅のシャクナゲです。ただ、街の苗木も見て来ましたが選定には専門家の知識が必要だと感じました。


美しいシャクナゲ…ネパールの国花であり、日本では見ることができないが大木になる。
美しいシャクナゲ…ネパールの国花であり、日本では見ることができないが大木になる。


 ②トレッキングコース…今回、歩いたのは短い日帰りコース(往復18km)だけの実地踏査でした。数キロおきにある村落を通るのも楽しい。
  日帰りコースからさらに遠くへ足を延ばすこともできます。アンナプルナのベース基地まで、時間と体力とを考慮しながら、2泊3日くらいでテント生活を送り、料理人も同行して、壮大な山々に囲まれて、満天の星空を仰ぎながら夕食。そんなツアーも良いかもしれません。


トレッキング途中の村の池…水辺では洗濯を、時には牛が水浴びを。それでも雨季には水が入れ替わることで激しい水質汚染にはならないようだ。
トレッキング途中の村の池…水辺では洗濯を、時には牛が水浴びを。それでも雨季には水が入れ替わることで激しい水質汚染にはならないようだ。


 ③ダウンロードコース…ホテルの南側の麓にはフェア湖があり、標高差は約800m。田舎道を走り、湖まで山岳用の自転車で降りるのは如何でしょう。途中、農家の人たちと顔を合せ、コースにある茶屋で休憩、軽食、トイレ。非常時の連絡場所となる店をホテル側で建設し、村人が経営する。コースを探索しながら歩いたのですが、途中で道に迷い、湖の目的の場所とは違うほとりに出てしまいました。


いたるところにある春の千枚田…斜面を耕地面積に作り直す。先人の知恵と苦労を見ているようだ。
いたるところにある春の千枚田…斜面を耕地面積に作り直す。先人の知恵と苦労を見ているようだ。


 ④フェア湖でボートに乗るコース…これは初日に実施。上陸した草原には牛がたくさん放牧されていました。聞くところによると雨季には水没するらしい。するとこの牛の糞は湖に流れ込み、富栄養化の要因になる。そういえばこの島の廻りにはホテイアオイも繁っている。しかし、雨季の雨はこの湖の水が入れ替わるほどの量らしい。そのお蔭でCOD値も周辺は高いが中ほどは1〜3程度。大自然の偉大さが感じられます。


夜明け前のフェア湖…静寂のなかで、朝の漁をする小舟。
夜明け前のフェア湖…静寂のなかで、朝の漁をする小舟。


 ⑤その外…パラグライダー、遊覧飛行など。
  ホテルの近くにはパラグライダー発進基地があります。大勢の人が空を舞いながら、空中散歩を楽しんでいました。上昇気流に乗って長時間楽しむことができます。二人乗りのパラグライダーなら、初めてでもOKのようです。
  遊覧飛行は軽飛行機と、翼はシート製のモーターグライダーの二種があり、共にパイロットと2人しか乗れませんが意外と長距離を飛行できます。今回は軽飛行機を利用、十分に楽しめました。山岳地区や湖の上など、地上からは見ることが出来ない大自然を撮影してきました。


Mt.マチャプチャレ…Mt.マッターホルンを思い起こすような姿。多くのパラグラーダーが上昇気流に乗り長時間、空中散歩を楽しんでいた。
Mt.マチャプチャレ…Mt.マッターホルンを思い起こすような姿。多くのパラグラーダーが上昇気流に乗り長時間、空中散歩を楽しんでいた。

エベレスト近辺の雪とは違う…山肌に絹布をかぶせたような雪原。スキーで滑ってみたいと思う人もいるだろう。
エベレスト近辺の雪とは違う…山肌に絹布をかぶせたような雪原。スキーで滑ってみたいと思う人もいるだろう。

湖畔の砂洲…パラグライダーの着陸地点として利用されていた。雨季には一変して、翌年には砂洲の形は変わるのかもしれない。
湖畔の砂洲…パラグライダーの着陸地点として利用されていた。雨季には一変して、翌年には砂洲の形は変わるのかもしれない。


 このように大自然を楽しむ企画を立て、実際に調査してきて提案してきましたが、これからホテルがどう実行してくれるか。このホテル建設の夢に資金面で惜しまずサポートしてくれた旅行会社「ワールド航空サービス」会長の菊間潤吾さんサポートで、きっと実現してくれるでしょう。
 これから、宿泊客が大自然の中で、地元の人と共に過ごして、それぞれに環境への意識が上がってくれることを願っています。


(図版の無断転写・転載はご遠慮ください)


(記事・図版:岡内完治)