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環境ニュース[海外]

中国 山東省海水淡水化事業がコストの壁にぶつかる

水・土壌環境 その他(水・土壌環境)】 【掲載日】2007.05.14 【情報源】中国/2006.06.13 発表

 現在、山東省は、先進的海水淡水化技術により沿海の水資源不足問題を解決する面で全国最先端となった。同省の海水淡水化生産量は全国総生産量の50%余りを占め、設備総量と技術水準ともに全国の最先端となっている。
 青島市の海水淡水化技術は全国の最先端水準にある。科学技術部、国家海洋局の支援により、近年黄島発電所は天津海水淡水化・総合利用研究所と協力して低温マルチ海水淡水化事業を立ち上げ、わずか一年余りで、高基準のボイラー用水と良質のクリーン飲料水を作り出した。これは中国における初の低温マルチ海水淡水化事業であり、現在、クリーン飲料水の生産量は日量60トンである。
 国家発展改革委員会、国家海洋局、財政部が共同で配布した『海水利用計画』では、青島市は国家級海水淡水化・総合利用実証都市・産業基地に認定された。計画では、同市は2010年に海水淡水化規模を18万トン〜20万立法メートル/日とし、2020年に35万トン〜40万立法メートル/日とする。2010年に海水直接利用量を15億立法メートル/年に、2020年には25億立法メートル/年とする。海水淡水化の進展を早めるために、山東省と清華大学が共同で建設した原子力海水淡水化事業も煙台で開始したが、その総事業費は16億元、生産規模5200万トン/年という計画である。  
 しかし海水淡水化に良好な政策環境はできあがっておらず、また具体的な政策支援に欠けており、資金投入も科学研究機関から産業分野に転換する必要がある。
 威海市は海水淡水化商業化の道を歩んでいるが、それは6年前の大干害が原因である。2000年、同市は100年一度の大干害に遭った。市政府は対策措置を定め、給水制限を行い、水を多く使う企業に対して節水活動を全力で推進した。
 2000年9月、華能威海発電所は1980万元を調達し、日量2500トンの海水淡水化システムを建設した。2001年3月、華能威海発電所の海水淡水化設備が操業開始し、その効果は顕著であった。同発電所の水使用量が減り、年間550万元が節約できた。
 2003年11月21日、石島水産集団は4000万元を投じて大型反浸透技術の海水淡水化システムを建設し、試運転を始めた。このシステムは日量5000トンの淡水を生産し、当時国内最大の海水淡水化設備となり、民間分野にも進出するようになった。
 2004年11月、新力熱電併給設備での1万トン級海水淡水化事業が国家発展改革委員会国債事業に認定された。
 20004年7月に劉公島海水淡水化事業が生産開始するまでに、威海市で建設中または完成した海水淡水化事業の総生産能力は日量1.8万トンとなり、市内水使用量の2割となった。
 しかし順風満帆のように見える海水淡水化産業は、初期の高い成長と産業拡張を経た後、コスト面での壁にぶつかった。
 現在、威海市の4つの海水淡水化事業の経営事情はあまりよくない。劉公島海水淡水化事業は、島上での飲料水の問題を解決するため、財政補填して初めて経営維持が可能となっている。
 華能威海発電所の海水淡水化事業だけが、技術的原因で水務集団から調達する水コストより低く抑えられ、良好な経済的、社会的効果を上げている。石島水産集団の海水淡水化事業は試運転が終わった後、長い期間ずっと正常な稼動ができなかった。新力熱電併給の海水淡水化事業の資金調達問題は今まで解決できていない。石島水産集団の淡水化コストは5元/トン、しかし市場価格より高いため、完成直後で稼動開始する前に生産停止に追い込まれた。同時に、最初に決まっていた2台目の設備導入計画も行き詰まった。
 また海水淡水化産業の将来性が見えにくい問題があるが、それは現在の水政策の方向性である。石島水産集団の新強副総経理によると、石島水産集団の海水淡水化事業の計画建設時に、関連部門との間で電気代1kWh0.35元と合意したが、その後の稼動では優遇を受けられず電気代が0.7元/kWhになった。これが淡水化コストが高くなった原因である。逆に、劉公島の海水淡水化事業が成功した原因は政財から3.15元/トンの補助という政策支援があったためである。
 しかし現在、水資源の供給需要情勢に対して、導水だけで現地の発展需要を満足できる。しかし海水淡水化の建設・運営コストは高すぎるので、政府は都市水道水供給のモデルの上で、海水淡水化産業を推進できるかどうかという問題がある。【中国環境報】

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