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環境ニュース[海外]

中国 東北工業基地振興の戦略環境アセス報告 警告線を設定し方向性を正す

環境一般 環境アセスメント】 【掲載日】2007.06.18 【情報源】中国/2006.05.12 発表

 中央政府が古くから続く工業地帯である東北工業拠点の振興政策を打ち出して以来、遼寧省では循環型経済モデル事業の重点を定め、計画的かつ段階的に建設が進んでいる。しかし東北工業拠点は長期にわたる計画経済体制の下で蓄積した多くの問題を抱えており、深い次元での構造的な問題が多い。中でも環境問題が特に突出している。
 遼寧、吉林、黒竜江省の東北三省は将来的に、深刻な環境危機に直面する見込みで、2010年までに遼河、松花江、黒竜江、ウスリー川などを含む「松遼流域」一帯は現在の汚染状況が急速に深刻化する予測がある。乾燥期にはこれら河川の主流で、COD流域定における基準超過率は60%を超える水準に達し、中国の国家水質基準で汚染度が最も高い劣V類の比率がさらに上昇する見込みである。
 中国で初めて作成されたマクロ政策に関する戦略環境影響評価報告である『東北工業拠点の振興に関する戦略環境影響評価研究報告』は、東北工業拠点振興政策の実施において重要なのは経済と環境の調和的な内在的発展メカニズムを作り上げることだと指摘。同『報告』は、戦略レベルでは材料とエネルギーを大量消費する産業の発展規模を抑制し、付加価値の高いハイテク産業を重点的に発展させる必要があり、産業構造の調整や産業拠点の配置は資源や環境に配慮して計画する必要があるとしている。また環境面から企業の事業参入を規制すると同時に、零細企業を統合し、大企業の発展を促進することが必要だと説明している。そのほか循環型経済を発展させ、資源循環型の社会を整備するよう訴えており、汚染等の発生を予防するためにも環境影響評価を充分に行うことが必要であるとしている。このため、同『報告』は新たな概念として「警告線指標」を打ち出し、「東北工業拠点振興戦略・環境管理対策」を制定すると同時に、この「警告線指標」を画定することを提唱している。
 同指標について、同『報告』は[1]要素別警告線、[2]開発事業環境管理警告線、[3]地域警告線―の3分野での指標に区分けしている。[1]の要素別警告線は、同『報告』の資源・環境要素別に達成すべき目標値を指し、東北三省全体の総量指標と各省総量指標を含む全体総合指標、工業・農業・都市生活の分野ごとの各種指標を含む。具体的には水資源利用警告線、水質汚染規制警告線などがある。[2]の開発事業環境管理警告線は中央政府『東北地域等工業拠点振興戦略実施に関する若干の意見』に合わせ、農業・工業分野における各種事業参入の許認可に関する指標である。農業事業警告線、産業警告線、新規建設事業警告線などを含む。[3]の地域警告線は、地域全体規制警告線と地域総量警告線、生態脆弱地域警告線からなる。【中国環境報】

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