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環境ニュース[海外]

EU 今後の環境戦略を示す「第6次環境行動プログラム」提案を採択

環境行政 その他(環境行政)】 【掲載日】2001.04.04 【情報源】EU/2001.01.24 発表

 欧州委員会は、今後5〜10年の環境戦略である「第6次環境行動プログラム」として「環境2010:我らの未来、我らの選択(Environment 2010:Our future, Our Choice)」を採択した。このプログラムは、今後の包括的な目標と優先すべき活動のリストを示すもの。重要な活動分野として、気候変動、健康と環境、自然と生物多様性、自然資源管理の4分野に焦点を当てている。また、革新的なやり方で、市民、民間企業の参加を促すことの重要性も強調している。
 前回、1992年の第5次環境行動プログラムに対しては、地球規模での評価(Global Assessment)が行われ、加盟国の環境関係指令の実施が不完全であること、関係者の環境目標に対する意識が低いことが指摘された。
 こうした背景に対し、新しいプログラムは既存の環境法を加盟国がよりよく実施する必要性があると強調。他のテーマとしては、民間企業及び消費者とともに、生産・消費形態をより環境にやさしいものとするよう取り組んでいくこととしている。さらに、運輸、エネルギー、農業といった他の分野に環境配慮を組み込んでいく必要性、そして、地方・地域レベルでの持続可能な開発を目指す計画・活動の重要性にも目を向けている。

<優先分野>
1.気候変動
 プログラムでは、京都議定書に基づき、2008〜2012年の期間中、温室効果ガスを8%削減することに焦点を当てている。さらに、2020年までに地球規模で20〜40%の削減を要望し、長期的には1990年比70%の削減が必要との科学的予測を引用している。対策としては、運輸・エネルギー部門での構造改革の必要性を指摘し、エネルギーの効率的な利用、省エネルギー、EU規模での排出権取引、さらなる調査と技術開発、市民の意識向上を提案している。

2.自然と生物多様性
 生物種及びその生息地の保全のため、重要な柱として、Natura2000のネットワークの完全な確立、一連の分野別の生物多様性アクションプランを掲げている。また、景観保護を農業及び地域政策に取り入れていく必要性を指摘。海洋環境保護のための新しい取組、工業及び鉱業における事故予防の提案も提示。土壌保全については、新たな分野として掲げた。

3.環境と健康
 政策アプローチの重点として、多様な環境要因による健康リスクの関連性、子供など影響を受けやすいグループに注目。主要な施策としては、化学物質によるリスク管理のためのシステムを抜本的に見直す。同様に殺虫剤等からのリスク削減戦略も重視されている。2000年水枠組指令及びその他の既存の規制はEU内の水質保護を統括するものだが、騒音枠組指令が理事会及び欧州議会で採択されれば、水と同様な実施体制がとられることになる。大気質に関する戦略については、既存の基準の効果をモニタリングし、必要な措置の優先順位等を明らかにする。

4.自然資源と廃棄物の持続可能な使用
 このプログラムでは、経済成長と廃棄物発生のデカップリングを望んでいる。リサイクルの増大に取り組むとともに、統合的生産政策に廃棄物抑制の目標を織り込む予定。下水汚泥、生物に悪影響を与える廃棄物の流れに照準を合わせた提案もある。


5.EUの拡大と国際的な側面
 新しいプログラムは新たなEU加盟国にも適用されることになる。加盟申請国はEUの既存の環境に関する規制を完全に適用させ、そして、行政、環境NGO、業界との対話を深めることが求められている。
 EUの対外政策に環境を統合していくこと、例えば、貿易協定、国際的な環境政策決定におけるEUの役割について、持続可能性に関するアセスメントの方法論等を確立することも優先事項の一つである。【欧州委員会環境総局】

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