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環境ニュース[国内]

日本学術会議、水産業や漁村が持っている多面的機能の評価を答申 具体的評価額提示には至らず

エコビジネス 環境と経済】 【掲載日】2004.08.03 【情報源】水産庁/2004.08.03 発表

 日本学術会議は平成16年8月3日、水産業や漁村が持っている水産物供給以外の多面的機能の(経済的)評価結果を農林水産大臣に答申した。
 水産業や漁村は水産物を供給する機能以外にも、物質循環、環境保全、文化の継承など多面的な機能を持っており、13年に制定された水産基本法でも多面的機能に関する施策の充実が明記されている。
 水産庁自身も15年3月に多面的機能の経済的評価についての調査をとりまとめ「環境保全機能だけで4兆5,111億円の価値がある」と発表したが、権威ある機関により検討を深めることが必要と判断し、15年10月に改めて日本学術会議にこのテーマで諮問を行っていた。
 日本学術会議は多面的機能として(1)食料・資源の供給機能、(2)自然環境保全機能、(3)地域社会の形成・維持機能、(4)国民の生命財産保全機能、(5)居住や交流の場の提供機能−−を指摘。
 このうち自然環境保全機能としては、(一)漁獲を通じた海中有機物の回収(富栄養化防止)など物質循環系補完機能、(二)水俣病など過去の経験を通じた環境浄化コスト負担意識の醸成、海域と山林、河川を一続きの生態系ととらえた漁民の環境管理、(三)水質浄化や生物多様性の上で重要な藻場干潟生態系保全機能−−などをあげた。
 ただし、これらの機能の経済的・定量的評価については、これまでの調査研究の蓄積が薄く、十分な精度での成果が得られないとして、具体的な数量・金額の提示を見送り、代わりに参考資料として「年間漁獲による窒素・りんの回収機能を下水処理費に置き換えると2兆2,675億円」、「濾過食性動物による海水浄化機能を下水処理費に置き換えると6兆898億円」、「干潟の水質浄化機能をCOD除去下水処理費に置き換えると2,157億円」、「藻場の水質浄化機能を下水処理費用に置き換えると5,527億円」など経済的・定量的評価を行った最新の研究事例がいくつかを示した。
 なお答申を受けた農水省大臣は「これまで見過ごされがちだった水産業・漁村の機能にて、学術的な見地から位置付けがなされたことは極めて有意義」との談話を3日中に発表した。【水産庁】

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